離婚慰謝料の金額3~DVが原因の場合
[投稿日] 2016年01月16日 [最終更新日] 2016年10月28日
慰謝料を得意としている弁護士
具体的な場面の第3回目として、夫婦間において暴力があったという問題に起因する離婚の場合、どの程度慰謝料が認められるかを取り上げたいと思います。
夫婦間の暴力
大阪高判平成12年3月8日
事件の概要
夫(船員60歳)と妻(化粧品訪問販売員56歳)は、婚姻期間は約29年、うち別居期間約5年。夫と妻の間には子供が3人がいます。夫は船員であり、年に6~8ヶ月は船で過ごすため、妻に家庭内の一切を任せていましたが、妻はややルーズなところがありました。家事のできや子育てに対する夫の希望が妻によってかなえられないと、夫は妻に対して暴力を振るう傾向にありましたが、それがだんだんエスカレートし、日常的に暴力を振るうようになりました。ある日夫は、妻を投げ飛ばしたうえ、顔面、頭部、腰等に何度も殴る蹴るの暴行を加え、妻は右鎖骨を骨折し、腰椎間板ヘルニアを発症するに至りました。
妻から夫に対して離婚請求及び500万円の慰謝料請求がなされました。
裁判所が認めた慰謝料の金額
350万円(請求金額:500万円)
裁判所は、夫の日常的な暴力により婚姻が次第に破綻していき、本件暴行が決定打となったこと、夫の妻に対する暴力は、暴力の激しさや回数において夫婦喧嘩の域を超えているものだとして、妻の夫に対する500万円の請求のうち350万円を慰謝料として支払うことを認めています。また、慰謝料とは別に、夫の暴行による損害賠償については、交通事故の損害賠償に準じて判断されており、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、後遺障害による逸失利益の合計約1700万円を認めています。
また、夫(公務員)、妻(美容師)、婚姻期間7年、別居期間2年、子供1人、夫が妻に対して暴力をふるい、妻が左眼窩吹き抜け骨折、鼻骨骨折、上顎骨骨折等の傷害を負ったケースでは、妻の800万円の慰謝料請求に対して、200万円を慰謝料として支払うことを認めています。慰謝料の算定にあたっては、婚姻期間、夫の暴行の態様、妻の受傷の程度が考慮されています。結婚の年数ごとに慰謝料をみていくと、
- 30年以上だと300万円程度
- 10年~20年だと200万円程度
- 10年未満だと100万円以下
が多いように思われます。但し、暴行の態様や受傷の程度により状況はかわりますので、期間が同じだからといって、慰謝料が同じになるとは限りません。
また、夫から妻に対する暴行のケースが一般的となっていますが、昨今妻から夫に対する暴力も問題となっていますので、今後は夫から妻に対する慰謝料請求というケースもでてくるのではないかと思われます。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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