離婚慰謝料の金額12~内縁の破棄
[投稿日] 2015年03月24日 [最終更新日] 2016年10月28日
慰謝料を得意としている弁護士
伊佐山 芳郎 弁護士 東京都
伊佐山総合法律事務所昨今、結婚に対する考え方も様々でして、現在は内縁関係を選択するカップルも珍しくありません。そこで今回は、内縁関係が破綻した場合を見ていきたいと思います。
内縁とは、結婚の意思と事実上の夫婦としての生活関係はあるものの、婚姻の届け出がないという関係です。その実態は婚姻している場合とほとんど同じですので、内縁関係については、婚姻に準じる関係として、法律で一定の保護がされています。
したがって、内縁関係を不当に破棄した相手方に対する慰謝料の算定の要素は、基本的には離婚の場合と同じと考えられています。
内縁関係の破棄
東京地判平成3年7月18日
事件の概要
A男(会社経営)とB子は、内縁関係30年。子あり。また、A男には妻(C子)との間にも子どもがいます。A男はB子に生活費として毎月50万円から60万円程度の生活費を長期間渡していました。その他にもB子との子どもに必要があるときは、生活費とは別に500万円から600万円の金銭も支給しています。
B子との交際が20年経過したあたりで、A男はC子と離婚。しかし、その頃同時に別の女性D子との間にも子どもをもうけています。その約10年後、A男は一方的に生活費を支払わなくなり、内縁関係が破棄されました。B子はA男に対して慰謝料として10億円を請求しました。
裁判所が認めた慰謝料の金額
1000万円(請求金額:10億円)
裁判所は、A男に妻がある状態での内縁関係(これを重畳的内縁関係といいます)であったとしても、妻との関係が冷えきっているといったように、その結婚が形ばかりのものになっているような場合には、妻がある状態での内縁関係にも法的に守られるべきものであるとして、これを不当に破棄することは慰謝料請求の対象となるとしています。
その上で、
- 共同生活が30年と長期に及んでいること
- 内縁関係の破棄は専ら内縁の夫の意向で行われたこと
- 内縁の妻に責められるべき事情はうかがえないこと
という事情を考慮して、1000万円の慰謝料を認めています。
もっとも、1000万円という慰謝料は、同じ程度の婚姻期間の一般的な離婚と比べても極めて高額です。判決では、A男の経営するタクシー会社の状況や、資産についても詳細に検討していることから、A男の資力も大きな考慮要素となっていると言われています。
別の事例も見てみましょう。
19歳の未婚の女性に対して、妻子ある男性が結婚すると言って子どもをもうけ、内縁生活を始めたものの、開始後2ヶ月で内縁関係を破棄したケースでは、男性の対応の悪質さが考慮されて、約2300万円の慰謝料請求のうち300万円の慰謝料が認められています。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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