公正証書の作り方とメリット│離婚後、慰謝料や養育費を確実に支払ってもらうために
[投稿日] 2017年05月30日 [最終更新日] 2018年02月09日
慰謝料を得意としている弁護士
岡 直幸 弁護士 福岡県
ゆくはし総合法律事務所藤田 聖典 弁護士 岐阜県
多治見さかえ法律事務所離婚の際は、財産分与・慰謝料・養育費といった金銭の支払いに関する事項や、親権ないし監護権・面会交流といった子どもの養育に関する事項など、夫婦間で様々な取り決めをする必要があります。
特に、金銭の支払いについては、単に取り決めをするだけでなく、約束通りにきちんと支払いをしてもらうことが重要です。
そのために有効なのが、“離婚公正証書(離婚給付等契約公正証書)”の作成です。
離婚公正証書とは?公正証書とは、公証人が法令にしたがって、法律行為や私権に関する事実について作成した証書をいいます。契約書や遺言書が代表例です。
離婚公正証書は、次の条項から、当事者が必要とするものを選んで記載します。
(1)離婚の合意
(2)親権者と監護権者の定め
(3)子供の養育費
(4)子供との面会交流
(5)離婚慰謝料
(6)離婚による財産分与
(7)住所変更等の通知義務
(8)清算条項
(9)強制執行認諾
わざわざ公正証書にしなくても、当事者間で合意書を作成しておけば足りるのでは?とも思われますが、公正証書には以下のようなメリットがあります。
証拠としての価値が高い離婚公正証書は、公証人の関与のもと作成されます。
離婚時の取り決めについて争いが生じた場合、当事者間でどんな合意をしたのかを証拠によって証明する必要が出てきますが、当事者だけで作成した合意書に比べて、公証人の関与のある公正証書の方が、証拠としての価値が高いといえます。
相手が合意通りに金銭の支払いをしない場合に、相手の給与や不動産などの財産を差し押さえて、強制的に支払いを実現させる“強制執行”という手続きがあります。
ただし、この強制執行をするには、まず調停や裁判を経て、調書や判決をとらなければなりません。
この点、あらかじめ離婚公正証書を作成し、「合意通りに支払いをしなかった場合に、強制執行を受けても文句はいわない」という文言(強制執行受諾文言)を入れておけば、直ちに強制執行に着手することができます。
離婚後の経済的に苦しい状況にあっては、金銭の支払いが速やかになされることは重要です。後々発生するかもしれないトラブル解決にかかる時間や費用を節約できるという意味で、強制執行受諾文言付きの離婚公正証書を作成するメリットは大きいといえます。
公正証書を作成するには? 自分で公証役場に行く離婚公正証書を作成するには、まず、お近くの公証人役場へ申込みをし、公正証書作成の予約を取りましょう。公証役場の場所は、日本公証人連合会のウェブサイトに掲載されています(http://www.koshonin.gr.jp/)。
・事前準備
事前に、公正証書の文案を作成し、FAX等で公証人役場に送ります。担当の公証人が内容のチェックをしてくれるので、必要に応じて修正を重ね、内容を確定させます。
・提出書類
夫婦それぞれの印鑑登録証明書、戸籍謄本類、財産関係の証明書(固定資産評価証明書や車検証の写しなど)の書類を提出する必要があります。
・作成当日
公正証書作成日は、当事者双方が公証役場に出向く必要があります。
本人確認のため、身分証明書(運転免許証やパスポートなど)を提示します。
公証人が、完成した公正証書を読み上げます。当事者双方がその内容に間違いがないことを確認し、署名・捺印して手続きは終了です。
・保管、交付
公正証書の原本は公証役場に保管され、当事者には謄本(原本の内容を全部複写した文書)が交付されます。
・費用
費用として、公証人手数料がかかります。公証人手数料の金額は、慰謝料や養育費の金額によって変わります。具体的な金額は以下のとおりです。
なお、養育費は別途、支払総額を目的価額とします。ただし、支払期間は10年が上限となります。
また年金分割の取り決めは、別途、目的価額が算定不能として500万円とみなします。
詳細は公証役場に問い合わせるとよいでしょう。
公正証書の文案を自分で作成する自信がないという方は、弁護士などの専門家に、作成を代行してもらうこともできます。
離婚時に取り決めておくべき事項はたくさんあるので、これらを漏れなく公正証書に記載するのは、かなり大変です。
その点、弁護士などの専門家に依頼すれば、漏れなくしっかりとした書類を作成してもらえます。
報酬が発生するため、自分で公証役場に行く場合に比べ費用は若干多くなります。
しかし、公正証書の内容を万全なものにしたい場合や、手間や負担を少しでも減らしたい場合は、専門家に作成代行を依頼するのはおすすめです。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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