離婚で慰謝料が請求できるのはどんなとき?離婚調停での判断基準まとめ
[投稿日] 2017年07月26日 [最終更新日] 2017年07月26日
離婚に踏み切るとなった場合、お金の問題について話し合う必要がでてきます。離婚といえば、慰謝料の請求をお考えの方もいると思いますが、必ずしも離婚と慰謝料はセットではありません。
慰謝料とは、夫婦の一方に離婚が原因ある場合に、原因を起こした側へ請求するものであり、「性格の不一致」など夫婦の双方に原因がある離婚では、支払い対象にならないケースもあるのです。
この記事では、慰謝料の基礎知識と離婚調停での判断基準について、ご紹介しています。
慰謝料とはどんなもの?どのようなことで請求できるの?そもそも慰謝料とは、どのようなお金のことをいうのでしょうか?また、どのようなことがあると請求できるのか見てみましょう。
お寄せいただいている法律相談をみていますと、「慰謝料を請求できないんでしょうか」というご相談をよく見受けます。一般には、損害賠償というニュアンスで使われている方が多いようです。
しかし、法律の世界では、もっと厳密な意味で使われています。すなわち、精神的損害に対する賠償、という意味で使われているのです。
ということになると、他人のひどい仕打ちにより、悔しい思いをしたときには、慰謝料が請求できるような気がしますが、それだけでは慰謝料を請求できるわけではありません。
身体・自由・名誉・財産権の侵害があった場合に、認められる余地があります(民法710条参照)。しかも、財産権の侵害については、慰謝料が認められる場合は、実際には極めて限定されています。
このように、慰謝料とは精神的損害に対するつぐない(賠償)のことです。離婚での慰謝料は、正式には「離婚原因慰謝料」と呼ばれており、例えば次の内容にあてはまると慰謝料の請求が認められます。
- 相手の浮気や不倫(不貞行為)
- DV等の精神的・肉体的苦痛
- セックスレス
- 家族をほったらかしにして婚姻生活の維持に協力しない
慰謝料は損害賠償と混合されやすいですが、損害賠償とは他人の違法行為によって損害をあたえられた場合に請求できる金銭のことをいい、違う性質をもっています。
慰謝料はどうやって決めるの?離婚調停ではどんなことをするの?夫婦の話し合いで離婚と慰謝料の金額が決まればいいのですが、お互いが納得できず慰謝料を支払ってもらえないトラブルも少なくありません。そのような場合は、家庭裁判所へ離婚調停を申し立てて慰謝料請求をすることになります。
この、離婚調停とはどのようなことをする場所なのでしょうか?
離婚調停とは、正確には「夫婦関係調整調停」と呼ばれるものです。夫婦間での話し合いがまとまらない場合に、調停委員の助力を得て、離婚をするべきかどうか、する場合に子の親権はどちらが持つか、婚姻費用の分担(民法760条など参照)はどのようにすべきかなど、文字通りさまざまな夫婦関係の調整を図っていくものです(参考:裁判所ホームページ)。
離婚調停は、夫婦のどちらが申し立ててもかまいません。そして、申し立てられた側に家庭裁判所へ来るよう、日時が記載された呼び出し状が届きます。離婚調停では、次の内容を決めることになります。
- 離婚をすること
- 慰謝料
- 未成年の子どもの親権・養育費
- 財産分与
- 年金分割
このように離婚調停は、離婚すること自体を決めることや、その後の権利義務を明確にする場所といえます。
離婚調停でもらえる慰謝料はどうやって決まるの?判断基準は?そもそも離婚においての慰謝料はどのように金額が決まるのでしょうか?また、離婚調停を開いた場合は、決め方が違ってくるのでしょうか?
離婚の慰謝料の金額は、当事者間で自由に決めることができます。当事者間で話し合いがまとまらない場合は、調停や裁判でお互いの主張を出し合って慰謝料の金額を決めていくことになります。離婚の原因はケースバイケースです。各ケースのさまざまな要因を考慮し、金額を決定していくことになります。
慰謝料は離婚に至った状況を考慮して決定しますが、離婚調停では以下の内容が判断基準のポイントです。
離婚慰謝料は、さまざまな状況を考慮したうえで、過去の裁判例を基準にして金額を決定します。
そのときには、以下のような点が考慮されます。・離婚の原因となる行為の度合、継続期間
・離婚の原因を作った責任の割合
・精神的苦痛・肉体的苦痛の大きさ
・夫婦関係
・婚姻期間
・子どもの有無、人数
など離婚の原因が何であったか、その原因を作った責任はだれにあるか、その原因により、どのくらい傷ついたかにより、慰謝料の金額は変わってきます。
このように離婚調停では、総合的な考慮のうえで慰謝料が決定します。しかし、なんといっても離婚の原因になった、精神的損害についての主張と立証が慰謝料に大きく影響してきます。
精神的損害の主張と立証には、第三者にも理解できる証拠が必要ですが、個人で証拠を集めるといっても、どのようなものが証拠になるのかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そのようなことから、個人的に証拠を集めるには限界があるため、慰謝料についてお悩みの方は弁護士に相談することをおすすめします。
離婚調停での慰謝料請求について一人で悩まず弁護士に相談を離婚をする際の慰謝料について悩んでいる方は少なくありません。当サイトの弁護士Q&Aでも、離婚の慰謝料に関する多くの質問が投稿されています。
離婚調停で慰謝料を決めるには、離婚に至った原因や事情を裁判所にどれだけ理解してもらうかが重要となってきますので、離婚の問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。
Legalusでは、離婚問題に強い弁護士を検索することもできます。ぜひ、最寄りの法律事務所に相談してみてください。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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