離婚する原因をランキング化。原因別の慰謝料まとめ
[投稿日] 2017年07月28日 [最終更新日] 2017年07月28日
慰謝料を得意としている弁護士
夫婦が離婚する原因はさまざまです。性格の不一致という漠然とした理由もあれば、暴力や浮気といった深刻な事情で破局してしまうこともあります。
いつまでも仲のいい夫婦でいられるのが1番ですが、いざという時のために離婚の知識を持っておきましょう。ここでは、離婚の原因別の慰謝料についてまとめました。
離婚原因のトップは性格の不一致。全体的に女性の方が深刻まずは、男女別の離婚原因のランキングを見てみましょう。下記は、裁判所が発表している「婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別」という資料の平成27年度版を元に作成したランキングです。離婚を申し立てた人に最大3つまで離婚の理由を挙げてもらい、すべて合算するという形式になっています。
男性ランキング(申立総数17,776件)第1位:性格が合わない(10,900)
第2位:精神的に虐待する(3,322)
第3位:家族親族と折り合いが悪い(2,656)
第4位:異性関係(2,637)
第5位:性的不調和(2,326)
第1位:性格が合わない(19,380)
第2位:生活費を渡さない(13,551)
第3位:精神的に虐待する(12,282)
第4位:暴力を振るう(10,882)
第5位:異性関係(8,643)
【参考元】
「婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別(平成27年度)」
一見してわかるのは、女性の申立総数が男性に比べて多いということです。女性と男性が約2:1の比率になっています。とはいえ、3人に1人は男性なので、男性から離婚を申し立てるのもまったく珍しいケースではないといえます。
離婚の理由としては、男女ともに性格の不一致が1位です。2位以下を見てみると、女性の2位~4位は生命にも関わる問題で占められています。女性の方が、より深刻な理由で離婚を決意していることがわかります。
そして、男女ともに異性関係がランクインしています。やはり浮気は離婚の重大な原因になるということですね。
性格の不一致で慰謝料を取るのは難しい。財産分与を確実に男女の性格が合わなければ、夫婦生活を続けるのは難しいでしょう。しかし、夫婦の一方に大きな責任があるわけではないのも事実です。性格の不一致が原因で離婚しても、慰謝料は取れるのでしょうか。
離婚に至った理由が「性格の不一致」ということは、これといった有責行為が夫の側になかったということなので、そもそも、慰謝料支払の前提となる「不法行為」が認められる可能性は低いと思われます。したがって、裁判にまで至った場合は、慰謝料をもらうことはあまり期待できないでしょう。
(中略)
しかし、裁判離婚の場合は、慰謝料だけでなく、夫婦の財産をどのように分けるかという「財産分与」についても判断され、その中で、妻がこれまで、性格の不一致に耐えてさまざまな貢献を行ってきたことなども評価されるはずですので、「性格の不一致」以外に離婚の理由がないからといって、主張をあきらめる必要はありません。
やはり、夫婦のどちらかに離婚の責任がない以上、慰謝料は期待できないということですね。財産分与の取り分をできる限り増やすしかありません。その場合は自分がどれだけ家庭に貢献してきたのかを、しっかりと主張しましょう。
DVの慰謝料は100万円~300万円ほど。治療費などとは別に請求できる近年深刻な問題になっているのがDV(配偶者間暴力)です。妻が被害者というイメージが強いかもしれませんが、夫が妻から暴力を受けていたというケースも珍しくありません。男女双方にとって重大な問題です。DVの慰謝料はどのくらい取れるのでしょうか。
裁判所は、夫の日常的な暴力により婚姻が次第に破綻していき、本件暴行が決定打となったこと、夫の妻に対する暴力は、暴力の激しさや回数において夫婦喧嘩の域を超えているものだとして、妻の夫に対する500万円の請求のうち350万円を慰謝料として支払うことを認めています。また、慰謝料とは別に、夫の暴行による損害賠償については、交通事故の損害賠償に準じて判断されており、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、後遺障害による逸失利益の合計約1700万円を認めています。
また、夫(公務員)、妻(美容師)、婚姻期間7年、別居期間2年、子供1人、夫が妻に対して暴力をふるい、妻が左眼窩吹き抜け骨折、鼻骨骨折、上顎骨骨折等の傷害を負ったケースでは、妻の800万円の慰謝料請求に対して、200万円を慰謝料として支払うことを認めています。
被害が深刻なだけに、慰謝料もきっちり取れることが多いとわかりますね。入通院の費用などは慰謝料とは別に請求できますから、金銭的な被害と精神的な苦痛を分けて考えることが大切です。
また、慰謝料の相場については以下のようになっています。
セックスレスは軽くない問題。慰謝料が500万円に達したケースも慰謝料の算定にあたっては、婚姻期間、夫の暴行の態様、妻の受傷の程度が考慮されています。結婚の年数ごとに慰謝料をみていくと、
30年以上だと300万円程度
10年~20年だと200万円程度
10年未満だと100万円以下
が多いように思われます。但し、暴行の態様や受傷の程度により状況はかわりますので、期間が同じだからといって、慰謝料が同じになるとは限りません。
夜の営みは、夫婦にとっては無視できない問題です。セックスレスに陥ると、精神的な苦痛を抱えてしまうことも多く、夫婦生活を続けられない可能性は十分にありえます。実際の判例を見てみましょう。
裁判所が認めた慰謝料の金額
500万円(請求金額:1000万円)
この請求について、裁判所は
1. 夫が性的交渉を求めず話し合いの機会を持たなかったこと
2. 夫は披露宴もせず、結婚通知もほとんどせず、結婚に対してまじめに取り組む姿勢がなかったこと
3. 夫婦として会話がなく精神的なつながりもなかったこと
4. 性交渉がないことについて夫から説明もなければ、善処する努力もなかったといった事情に加えて、
5. 妻が結婚のために10年かけて築いた職場を手放していること
6. 離婚後、妻は結婚前より収入が低いという状況におかれており、妻の年齢から今後収入が伸びることは困難である
という事情を考慮しています。
このケースでは、500万円という高額の慰謝料が認められています。夫が性的不能であることを隠して結婚した疑いが強いことに加え、妻の精神的・経済的ダメージが非常に大きいことが考慮されたわけです。「わかっていたら結婚しなかったはずだ」ということですね。
なお、慰謝料の相場は次のようになっています。
まとめ:離婚の危機は誰にでも訪れる。冷静に考えようこのように、裁判例を見ると性的不能であることを告げずに結婚した場合や理由もなく性交渉を拒絶した場合にセックスレスによる慰謝料が認められる傾向にあるようです。その金額は、近年は100~150万円が多いように思われます。
どんなに仲のいい夫婦でも、いつ離婚することになるかわかりません。些細なことがきっかけで関係がこじれたり、長年の不満が爆発したりすることは誰にでもあります。Legalusの離婚・男女に関する弁護士Q&Aにも、離婚の可否や慰謝料の相場に関する相談が数多く寄せられています。
できるだけ有利な条件で離婚するためには、離婚を切り出す前からの準備が大切です。離婚・男女問題に強い弁護士に相談してみるのもいいでしょう。婚姻関係を続けるべきか、それとも離婚に踏み切るべきか、落ち着いて考えてみてください。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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