夫からのモラルハラスメントに対する慰謝料はもらえる?

User image 1 匿名ユーザーさん 2016年04月11日 20時48分

 夫より離婚訴訟を起こされ、裁判中です。夫の主張は嘘ばかりで、納得が行かないため、「訴訟理由についての証拠を出してほしい」と言いましたが、証拠も出ず、また謝罪もありません。

 結局、裁判は「財産分与すべき財産があるかないか」について争うことになりましたが、夫は財産を隠しているため、証拠を出すことができません。

 このままでは殆ど財産分与がされそうにありません。

 最近になって、「モラル・ハラスメント」という言葉があるのを知りましたが、まさに結婚以来35年間、これを受け続けていたと分かりました。
 夫からモラル・ハラスメントを受けていた、生活費を負担しなかったという理由で、財産分与にプラスして要求はできないのでしょうか。しかし、親兄弟や周囲に説明しても、全然理解してもらえません。相手方の弁護士にもモラル・ハラスメントを理解してもらえず、何を言ってもどうにもならない状態です。このままでは、不利な状況で結審しそうです。35年我慢した上に、財産分与も殆ど無いのではこの先何の希望も持てません。どうぞ宜しくお願い致します。



(50代:女性)

匿名弁護士

 モラル・ハラスメントとは、言葉や態度によって巧妙に人の心を傷つける、精神的な暴力のことです。

 日常的に繰り返し行われることで相手の精神状態をしだいに不安定なものにし、ときには自殺に追いこむ場合もあります。フランスの精神科医によって、近年その存在が指摘され、現実に被害を受けた人々によっても実態が明らかにされつつあります。 

 ただ、モラル・ハラスメントは、有形的な暴力や傷害などと異なって目に見えません。日常生活の中での拒否的、排他的態度、侮辱的な言葉等の積み重ねによるものであるため、客観的に存在を証明することが困難であり、周囲の人にも認識されにくい傾向があります。

 これを裁判との関係で言えば、被害の事実、程度を立証するのが困難だということです。



 裁判はある意味で冷徹なもので、ある事実があったとしても、それを法廷で立証できなければ、負けてしまいます。では、どのような事実について立証しなければならないかというと、一般的には、ある当事者にとって有利に働く事実は、その利益を得る者が立証しなければならないとされています。

 本件では、離婚に際して支払われる慰謝料を少しでも多くするために、夫の落ち度を主張しているわけですから、その事実については、それによって利益を得るあなたが立証しなければならないのです。
 ただ、民事裁判でいう「立証」とは、「言っても分かってもらえない」というレベルでは足らず、裁判官に、「なるほどそのような事実があったのだろう」という心証を抱かせるようなものでなければなりません(民事訴訟法247条参照)。

 裁判所には様々な紛争が持ち込まれますが、当事者は皆、自分の請求こそが理由があると主張するものです。現に、あなたがその主張を「全くの嘘だ」という夫さえ、堂々と請求を立てています。しかし、第三者である裁判官は、どちらの言い分が正しいのか、材料、すなわち証拠がなければ判断することができません。

 そこで、裁判官に「この人の言っているほうが真実なのだろう」との心証を持ってもらうために、主張に客観性を与えるような証拠が必要になります。本件でいえば、医師の診断書、専門家の鑑定書、周囲の人の証言などです。

 モラル・ハラスメントにおいては、このような証拠をそろえるのが困難であることは確かです。しかし、この努力をするしかないのです。



 他方、夫の方も、離婚したいという主張を通すためには証拠が必要です。次のいずれかにあたらなければ、裁判で離婚することはできません(民法770条1項)。

 (1)配偶者に不貞な行為があったとき、(2)悪意で遺棄されたとき、(3)配偶者の生死が3年以上明らかでないとき、(4)強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき、(5)その他、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき。夫は、あなたがいずれかの事由にあたることを立証しなければならないわけです。

 しかし、大事なことは、あなたがあくまで夫が主張する理由に納得がいかないのであれば、安易に離婚に同意することはないということです。法律も、この5つにあたる場合でも、諸事情を考慮して離婚させるべきでないと考えるときは、離婚させなくてもよいと定めています(同2項)。

 財産分与の額について争えば、離婚自体については納得しているとされることにもなりかねません。離婚理由について相手の主張を認められないなら、まずその事実をはっきり主張するべきではないでしょうか。

2016年04月11日 20時48分

投稿時の情報です。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。

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