リベンジポルノは対岸の火事ではない?
[投稿日] 2016年03月09日 [最終更新日] 2016年10月28日
ストーカー・リベンジポルノを得意としている弁護士
米国のカリフォルニア州で10月1日、ある法律が施行されました。その法律の名は、「リベンジポルノ禁止法」。カリフォルニア州刑法に新たな条項を追加するものです。今回はこの法律について取り上げます。
同法では、嫌がらせ目的で、個人が特定できる情報とともにヌード写真や映像をダウンロードできる状態にした場合、最高で禁錮1年、最高1000ドルの罰金刑を科すとしています。
元交際相手が交際中に撮影したヌード写真等を関係者に送り付ける嫌がらせ行為はこれまでにもありました。従来であれば、そういった写真は広まっても送付先の知り合い程度までで、写真やネガを回収することで、事態の収拾を図ることができました。
しかし、そのような写真がデジタルデータとして保存され、かつ、SNSなどを通じて不特定多数に容易に拡散できるようになったことで、状況は一変しました。デジタルデータの写真はいくらでも複製できるため、いったん不特定多数の人にアクセスできるようになってしまうと、「すべてを回収して削除する」ということが事実上不可能になってしまうのです。
同法が成立したのは、まさにこのような特殊性に鑑みてのことといえます。
このような行為(リベンジポルノ)は一般的な感覚として、許されないものであるといえますが、他方、表現の自由との関係で難しい問題を抱えています。表現の自由に対する規制は、過度になされる傾向にあり、一度制限されてしまうと、回復が難しいとされています。また、特にインターネット上での表現は、通常の表現以上に厳しく制限されがちです。実際、フロリダ州でも同様の法案が議論されましたが、表現の自由を保障した憲法に反する懸念があるとのことから、成立には至っていません。
日本では、このような事案に対する立法や行政の腰が重く、すぐに法律が改正されるようなことはないと思われます。したがって、リベンジポルノに対しては、名誉棄損罪や脅迫罪として処理するか、プライバシー侵害を理由に損害賠償請求や拡散行為の差止めを行うことになるでしょう。
もっとも、三鷹市で起きた殺人事件で殺害された女性のプライベート写真や映像が、元交際相手の容疑者によって動画投稿サイトに公開されたうえ、SNSや掲示板にそのアドレスが掲載されるという事件も起きており、もはや対岸の火事とはいえない状況です。
自分の意思に反して公開されてしまう可能性を常に念頭に置いて、どんなに親しい間柄であっても、写真などを撮らない、取らせない、送らないといった基本的な対策を徹底するとともに、子供たちにも教育していく必要があるといえます。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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小原 望 弁護士 大阪府
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