【弁護士に聞く】ストーカー被害を受けたときに弁護士がしてくれること
[投稿日] 2019年04月01日 [最終更新日] 2019年04月01日
ストーカーによる嫌がらせ行為、付きまといはあなたの日常生活を破壊し、プライベートや仕事に大きな悪影響を与えます。
そこで、ストーカー被害に遭ったときの対処法や弁護士ができることについて、ワールド法律事務所の渡邉祐介弁護士にお話を伺いました。

(ワールド法律会計事務所)
弁護士になる前は、IT企業のサラリーマンという異色の経歴の持ち主。相談者の主張や立場を深く理解し、親身になって寄り添う姿勢が、法律の狭間で苦しむ方から高い評価を得ている。
――ストーカーとは具体的にどのような行為をいいますか。

渡邉 弁護士
一言でいえば、恋愛感情にもとづいてつきまとい行為を繰り返すことです。
特定の人に対する恋愛感情や好意の感情や、そうした感情が満たされなかったことへの怨恨の感情が前提となって行為を行う場合をいいます。
具体的には、家の前や勤務先・学校等で待ち伏せをしたり、拒まれたにもかかわらずメールやSNSでメッセージを送信し続けたり、電話をかけ続けたり、等の行為を「つきまとい等」といい、これらを繰り返し行うことを「ストーカー行為」といいます。
――待ち伏せや電話などは1種類だけでもしつこく繰り返されたらストーカー行為ですか。

渡邉 弁護士
そうですね。メールを執拗に送り続ける、電話を1日に100回かけてくる、だけでも繰り返されていればストーカー行為と言えます。
- 恋愛感情等が前提になっているケースをいう
- 待ち伏せだけでなく、しつこい電話やメールなども、繰り返されればストーカー行為となる
――ストーカー被害を受けたら警察だけでなく弁護士に相談すべき理由はなんですか。

渡邉 弁護士
ストーカーは、刑事上も違法行為なので警察にはもちろん言うべきです。
その上で弁護士に相談する理由は、刑事事件というだけでなく、民事的側面もあるからです。
付きまといをやめさせることが目的なので、弁護士を間に入れることで相手と直接やり取りをする必要がなくなります。
相手は、コミュニケーションを取りたいという「繋がっていたい欲求」によって、ストーカー行為を行うのですが、弁護士が間に入ることでクールダウンし、だんだん落ち着いてくることが多いんです。
――ストーカーの人は執着が強いと思いますが、法的にできることはありますか。

渡邉 弁護士
付きまといをやめるように言っても聞かない場合は、裁判所に申し立てて、禁止命令を出してもらうことができます。
ただ、禁止命令まで出さなくても弁護士が入って理性的に対応し、言い分を聞く、話を聞くことで収束するパターンが割と多いです。
――弁護士が出てきただけでクールダウンしますか。

渡邉 弁護士
そうでもないですね。
話をしていく中で落ち着いてくるほうが多いです。
弁護士という強い立場の人間が出てくることで、勢いは衰えます。
弁護士に父親のような威厳や権威を感じる加害者が少なくないようです。
携帯電話などがなかった頃だと、異性の家に電話をかけたときに、相手の父親が電話口に出て立ちはだかってくると、一気にハードルが上がるというのに似た感じはあると思います。
ただ、ストーカーは強い執着心を抱えているので、すぐに収まる訳ではありません。
――ストーカー被害を受けたときに弁護士は何をしてくれますか。

渡邉 弁護士
これまでお話ししたように、間に入って相手と交渉することですね。
それから、損害が出ている場合は損害賠償請求をすることもあります。
付きまとい行為によって、お店の営業に支障をきたした場合は、損害賠償が可能でしょう。
たとえば毎日家の前で待ち伏せされるなどの、身に危険を感じるほどの付きまとい行為があった場合は、会社を休んだ分の損害を請求できる可能性もあります。
メールだけのストーカーだと休業損害というのは厳しいかもしれませんが。
――ストーカー対策を依頼した場合、最終的にはどうやって解決することが多いですか。

渡邉 弁護士
弁護士が間に入って話をすることで徐々にクールダウンしていくので、時間が解決することが多いですね。
自然消滅的に解消していくイメージです。
合意書をしっかりかわして示談するというような、きちっとした終わり方の場合ももちろんありますが、相手の気持ちが徐々に落ち着いてくると、そのままフェードアウトしていってしまう、という解決のパターンはストーカートラブルでは比較的多いです。
- 付きまといをやめない場合は裁判所から禁止命令を出してもらうこともできる
- 損害が発生していれば損害賠償請求も可能
- 弁護士を間に入れると段々クールダウンして自然消滅的に解決することが多い
――ストーカーから逃れるために、自分でできることはありますか。

渡邉 弁護士
相手との接点を持たないことが一番の対策です。
ストーカーをやっている加害者は、本人と話をしたい、本人が何をやっているのか知りたい、という欲求が強いので、接触を持たないことが大切です。
――メールやWebなどのオンラインの関係だけだと接点を断ち切ることは比較的簡単だと思いますが、実際に付きまとわれている場合はどうすればいいですか。

渡邉 弁護士
物理的なストーカーなどの身の危険を感じる場合は、早急に警察に通報してください。
ストーカーを自由に動けない環境にすることが大切です。
警察や弁護士が相手についているとわかることで、好き勝手な行動がしにくくなります。
- 直接接点を持たないようにすること
- 実際につきまとわれている場合は警察に通報すること
――弁護士にストーカー対策を依頼するベストなタイミングはいつですか。

渡邉 弁護士
本人と連絡を取り続けていると、ストーカーの気持ちが高ぶってしまうので、早く第三者を間に入れることが大切です。
ストーカーは本人と話をしたい、繋がっていたいという気持ちが強すぎて、付きまといを続けているので、連絡が取れる状態にしておくと、なかなか収まることはありません。
できるだけ早い段階で弁護士に相談して間に入ってもらい、一切関係を断つことが大切です。
――「まだこれくらいなら弁護士に相談するほどではない」と感じる人も多いと思いますが、どんな状態になったら相談すれば良いですか。

渡邉 弁護士
ストーカー被害に限らず、ちょっとおかしいなと思ったら相談したほうがいいと思います。
例えば、歯が痛くなってから歯医者さんに行ってもすでに虫歯が進行している状態であることが多いと思います。
でも、ちょっと違和感を覚えた段階でいけば虫歯の前段階だったり、軽度の虫歯だったりして簡単な治療で済むこともありますよね。
ストーカー被害もそれと同じで、大変なことになる前に相談すれば被害も軽く済みます。
――弁護士に相談すると費用がかかるイメージがあって、躊躇してしまう方も多いような気がします。

渡邉 弁護士
今は、公的機関や普通の弁護士事務所でも無料相談をやっていますので、相談自体はお金をかけずにすることも可能です。
場合によっては、無料相談の弁護士のアドバイスだけで悩みが解消されることもありますので、まずは相談してみるといいと思います。
また、相談で弁護士との接点を一度は持っておけば、何かあった時にすぐ話が繋がって素早く対応してもらえるので、ストーカーされているなとわかった段階で相談してみましょう。
- ストーカー被害に遭っていると感じたらすぐ弁護士に相談しよう
- 早い段階で相談すれば被害が軽く済むケースもある
- 無料相談を使えば、費用をかけずに相談できる
ストーカー行為は、加害者と被害者が連絡を取り続ける限りなかなか収束しませんので、警察に通報するとともに、弁護士を間に入れて連絡を断つことが大切です。
自治体の無料弁護士相談や、弁護士事務所の無料相談などを活用すれば、費用をかけずに専門家のアドバイスを受けることができます。
大切なのは、早く対策することなので、一人で悩みを抱えずなるべく早く警察と弁護士に相談しましょう。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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種村 求 弁護士 神奈川県
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