免許取得を禁止する事は法律違反になりませんか?

Legalus編集部さん 2016年04月02日

 高校生は「3ない運動(1.免許をとらせない、2.乗らせない、3.買わせない)」によってバイクの免許をとってはいけないと担任の先生に言われました。これって法律違反じゃないですか?

(10代:女性)

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Legalus編集部

     学校の先生に免許を取ってはいけないと言われ、お困りのようですね。この学校側の措置が法律違反になるのかどうか。それについてはまず、「3ない運動」を単なる運動や理念、目標として掲げているのではなく、明確に学校のルール、いわば校則として規定しているかどうかがポイントになるでしょう。



     まず、「3ない運動」についてですが、この運動自体は高校生によるバイク事故の深刻性を問題視し、高校生活の間はバイクに乗らせないようにしよう、という教育委員会主導の下で行われた運動です。これが名称通り「運動」にとどまるものであれば、生徒の免許取得禁止まで決定するような法的拘束力はありません。



     しかし、これが運動の範囲内を超えて校則として明確に規定されるとなると、話が変わってきます。学校・会社などの団体が特定の目的を果たすため、内部で組織のルールや規定を設けることは当然と言えます。



     この観点で考えれば、学校側が特定のルールに基づき、生徒に規律を求める行為は正当と言えるでしょう。ここで、(a)校則の制定は法律違反か(b)免許取得の自由は憲法上保障されるのか、という二つの視点から考えてみましょう。



    (a)校則の制定は法律違反か



     一般的に考えて、ルールを作ることができるのは、その人や組織の権限あるいは責任の及ぶ範囲に限られます。

     バイクの免許を取得することについては、学校内に限らず、私生活の領域にも及びます。私生活における生徒の監督権限は親にあります。その権限を超える内容のルールを生徒に課すことは、通常認められないと考えていいでしょう。



     しかし、親のほうの考えもくみ取る必要があります。親のほうでは、学校に対して子どもたちの私生活に及ぶ指導まで期待を寄せる場合があります。

     親だけでなく、地域社会全体として、学校や教師の生徒に対する教育を期待しているという社会的な一面もあることを考慮すれば、学校側の設ける「免許取得禁止」は、許容される範囲と考えられることもあるでしょう。



     次に、校則と法律の関係についても考えてみましょう。

     法律では、16歳以上の者の普通二輪の免許取得を認めています。これを校則によって制限できるのかという問題ですが、法律を厳格に読めば、「16歳以上の免許取得を禁止しない」と書かれているだけです。

     そのため、校則によって生徒の免許取得に規制を設ける行為が、必ずしも違法とは言い切れないという解釈も成立するわけです。



    (b)免許取得の自由は憲法上保障されるのか?



     次に、免許取得の自由と憲法の関係について。これは近年、「人格権(憲法13条)の一部として憲法上保障の対象となる」という判決も出ています。

     しかし、これには但し書きがついていて、「公共の福祉」という正当な理由がある場合には制約されうる、とされています。そこで重要になるは、「公共の福祉」による制約の範囲をどうやって決めるか、という問題です。



     一般的に「公共の福祉」による制約は、制約される人権が重要なものである場合には認められない方向に、制約の仕方が緩やかな場合や制約によって守られる利益が大きい場合には認められる方向に傾きやすくなります。



     ご相談内容で取り上げられている人権は人格権という重要な人権であり、これを制約するような校則の定めは許されないことになりそうです。

     しかし、「3ない運動」の目的は、バイクによって引き起こされる悲惨な事故を生徒から遠ざけるというものです。学校内の規律を守ると同時に、生徒の命、保護者の利益を守るという正当な理由があって存在するものです。

     その理念に基づいて定められた校則については、ハードルを下げて判断する必要があるというべきでしょう。



     免許取得を禁止することは、法律に抵触するばかりでなく、憲法違反の疑いも考えられますが、生徒の命を守るという校則制定の目的は、正当として評価されるでしょう。

     結論を言うと、本件は校則に定められている場合、適法なルールということになります。

2016年04月02日

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