成年後見制度についての質問があります。

Legalus編集部さん 2015年05月12日

 家族の承諾なく、成年後見を開始することはできますか。また、成年被後見人の年金から後見人費用を取れますか。後見人ということで、勝手に通帳等を変えられますか。親族の了解もなく勝手に、手続等を弁護士がやっている場合、裁判所に取り消しを求めることができますか。



(60代:男性)

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Legalus編集部

     成年後見制度とは、判断能力が不十分になった人のために、家庭裁判所が援助者を選び、本人を保護する制度です。本人の判断能力がどの程度あるか、によって「後見」「保佐」「補助」の3つが用意されています(民法7条以下、838条以下を参照。保護する人を後見人、保佐人、補助人といいます。反対に保護される人を被後見人、被保佐人、被補助人といいます)。以下では、断わりのない限り、前述の3種類を総称したものを「成年後見制度」と称します。



     被補助人から被後見人にうつるにしたがって、判断能力が低く、サポートを要する範囲が広く設定されています。それに応じて、補助人から後見人にうつるにしたがって、本人になりかわってできる行為の幅が広がります(制度の概要などについては法務省が発行するリーフレットなどを参照してください)。

     成年後見制度には、いつ制度を利用するかという観点から、「判断能力が低下する前にあらかじめ後見人などを定めておく任意後見」と「判断能力が低下した後に、後見人などを定める法定後見」の2種類があります。ご質問内容から察するに、おそらく法定後見を利用するシーンではないかと考えられますので、以下では法定後見であるとして回答します。



     成年後見制度を利用する際は、家庭裁判所への申し立てを要します。そして、基本的には本人、配偶者、4親等以内の親族が申し立てを行います(民法7条11条15条。すでに保佐人や補助人がいる場合、こうした方も申し立てが可能です。また、身寄りのない人は市町村長などが代わって申し立てを行うケースもあります)。

     申し立てをすることができる資格を持っている人であれば、単独で申し立てることができ、他の申立権者の同意は不要です(裁判所は可能であれば親族の同意書を申立時に添付するように求めていますが、必須ではありません。同意書がない場合、必要に応じ、裁判所が親族の意見を聞くことがあります)。



     後見人などの費用については、後見人などから家庭裁判所に対して「報酬付与の審判」についての申立てを行う必要があります(民法862条参照)。そして、家庭裁判所が被後見人の資力や、サポートの内容などを考慮して、妥当と判断した額を報酬として受け取ることになります。そのため、勝手に報酬額を定めることはできません(ちなみに、任意後見では本人の判断能力がある段階で報酬を定めることになるため、当事者間で金額の取り決めを行うことができます。ただし、手続は法定後見の場合と同じく家庭裁判所への申立てを要します)。

     定められた報酬の範囲であれば、被後見人などが受け取った年金の中から報酬を受け取るのは問題ありません。



     次に、「代理人(後見人)ということで、勝手に通帳等(の名義)を変えられるか」という点について。おそらく、後見人が勝手に本人の財産を処分してしまう可能性があるのではないか?という心配をされているのではないかと拝察します。

     銀行実務においては、後見人である旨の登記を行い、その証明書などを持参して銀行口座の名義変更を行います。多くの場合「●●後見人××」というように、誰の財産を管理しているかを明記した口座名とされます。また、後見人にはどのような内容を本人(被後見人など)の口座より支出したかを定期的に報告させる仕組みが用意されており、悪用させない仕組みづくりがなされています(根拠として民法863条など。後見事務報告書についてはこちらをご参照ください)。

     また、心配な場合は「後見制度支援信託」という仕組みも活用できます。これは、成年後見制度によって支援を受ける人の財産のうち、日常的な支払いをするのに必要な範囲の預貯金などだけを後見人が管理し、それ以外については信託銀行などに信託する仕組みです(保佐、補助および任意後見では利用できません。こちらを参照)。こうした制度を活用すれば、より安心感は高まります。



     最後に、「親族などの了解なく、手続を弁護士などが行っている場合、裁判所に対して手続の取り消しを求めることができるか?」という点について。

     おそらくは、弁護士=後見人として、後見人が暴走した場合、その行為を止められるかというご質問だと考えてご回答いたします。

     この点、例えば後見人などが本人の財産を使い込んでいるなど、後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所が職権で後見人などを解任することができます。また、本人の親族が家庭裁判所に対して後見人などの解任を求める申立てが可能です(民法846条)。

     このように、成年後見制度は二重三重に本人を保護する仕組みが設けられています。したがって、家庭裁判所などとしっかり連携をとれば、本人を保護し、人間らしい生活を送っていくために有用な制度といえるのではないでしょうか。

2015年05月12日

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