弁護士コラム

改正民事執行法―預貯金債権に関する情報の取得

[投稿日] 2020年07月01日 [最終更新日] 2020年07月01日
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田中 友一郎 弁護士 天神南法律事務所

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勝訴判決を得ることができたけれども、強制執行の対象とする相手方の財産が見つからないため回収ができなかったという話はよく聞きます。

 

また、弁護士への相談の時点で、相手方の財産が見つからず回収が困難となるかもしれないという指摘を受けて、相談者が依頼をあきらめてしまうと

いうこともあります。

 

これらの問題は、強制執行の対象とする相手方(債務者)の財産については、強制執行を申立てる側(債権者)がその内容を特定しなければならない

こととなっているものの、債務者の財産を見つけるのは必ずしも容易ではないことから生じます。

 

判決を得ても権利の実現に至らないことを解消するため、平成15年より債務者の財産を明らかにする制度として財産開示手続が導入されました。

しかし、財産開示手続に出頭しない債務者も多く、罰則もさほど厳しくないことなどから十分な実効性があるとはいえず、財産開示手続はあまり利用

されていませんでした。

 

そこで、権利の実現に実効性を持たすべく、令和元年5月10日に民事執行法が改正されました。

内容としては、財産開示手続が拡充され、第三者からの情報取得手続が新設されました。

 

今回は、上記改正にて新設された第三者からの情報取得手続のうち、預貯金債権に関する情報の取得についてお話しいたします。

 

預貯金口座は個人、法人を問わず保有するものです。また、預貯金口座に残高があれば回収が容易であることから、預貯金債権は強制執行の対象とす

ることに適しているといえます。

 

他方、上記しましたとおり、強制執行をするためには債務者の財産の内容を特定しなければなりません。

そして、預貯金債権について強制執行をするためには、預貯金債権の具体的内容(預貯金の種類、口座番号等)まで特定する必要はありませんが、銀

行等の金融機関の取り扱い店舗(支店名)を限定して申立てる必要がありました。

このため、取り扱い店舗が不明な場合は、弁護士照会を利用するなど様々な工夫がなされてきましたが、実効性に問題がありました。

 

この点を解消するため、今回の改正により、第三者である金融機関から債務者の預貯金債権に関する情報を取得できる制度が新設されました。

 

預貯金債権に関する情報を取得するためには、判決などの債務名義(今回の改正により債務名義の範囲が拡大されました)を有している債権者が、裁

判所に申立を行います。

裁判所は、金融機関に対して、預貯金債権が存在するかどうか、存在した場合には、その預貯金債権を取り扱う店舗及びその預貯金債権の種別(普通

預金、定期預金等)、口座番号、金額などの情報の提供を命じます。

これにより、債務者の預貯金債権の存在と内容が明らかになれば、債権者は強制執行をすることが可能となります。

 

今回の改正では不動産や給与債権に関する情報取得手続も新設されています。不動産や給与債権については、財産開示手続を経たうえで申立をする必

要がありますが、預貯金債権については、財産開示手続を経ずに申立を行うことができます。

田中 友一郎 弁護士

注力分野
相続 借金・債務整理 労働 企業法務
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