弁護士コラム

遺言制度の見直しー自筆証書遺言の方式の緩和

[投稿日] 2020年08月03日 [最終更新日] 2020年08月03日
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田中 友一郎 弁護士 天神南法律事務所

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現在は新型コロナウィルス感染拡大が懸念される状況下です。このような状況が影響していることもあるのでしょうか、遺言の作成に関してご相談をいただくことが増えています。

 

遺言を作成しようと考えられる方の多くは、公証役場において公正証書遺言として作成されることが多いと思いますが、民法では、遺言者が遺言を自筆して作成する、自筆証書遺言も認められています。

 

ただし、遺言者が自ら遺言を書いて作成する場合には、その全文、日付、氏名を自書して、印を押すことが求められていました(要式性・自筆性の厳格な要求)。

 

これは、公証人が遺言作成過程に関与する公正証書遺言と異なって、自筆証書遺言では、簡易で便利な反面、死後に本人に確認することができないためであり、自筆証書遺言では遺言者の最終意思の確実さを担保する必要があるからです。

 

しかしながら、自筆の要件を厳格に求めることは、自筆証書遺言の利用を妨げる要因となることは否めません。

高齢社会を迎えた我が国において、高齢者が人生の最終局面において自分の意思を遺言として残そうとした場合に、厳格な自筆の要件は、遺言書を作成することに躊躇したり、またはせっかく遺言書を作成しても無効となったりする可能性がありました。

 

そこで、民法が改正され、自筆証書遺言に関し、財産目録については自筆であることを求めないこととして自筆の要件を緩和し、その利用の促進を図っています。

 

具体的には、遺言書に添付される書面である財産目録については、自筆ではなく、ワープロや代筆により作成することが認められました。

また、不動産の登記事項証明書や預貯金通帳の写し等を添付することにより目録として使用することも可能となりました。

なお、これらの方法で作成された財産目録の各ページに遺言者が署名・押印をすることとなります。

 

財産目録について自筆の要件が緩和されることにより、自筆証書遺言の作成が容易となります。

今回の法改正では自筆証書遺言の保管制度が採用されましたが(保管制度につきましては、次回ご報告いたします。)、自筆証書遺言の方式の緩和と保管制度とがあいまって、自筆証書遺言の活用が促進されることが見込まれます。

 

ただし、今回の改正によっては、作成された自筆証書遺言の遺言条項が、後日の遺言執行や遺言無効の訴えに対応できるかという点には応えられていないという課題は残ることになります。

したがいまして、自筆証書遺言の遺言条項の内容につきましては、専門家の意見を参照することが依然重要であることにご留意ください。

田中 友一郎 弁護士

注力分野
相続 借金・債務整理 労働 企業法務
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