弁護士コラム

サッポロビール「極ゼロ」の税務訴訟

[投稿日] 2017年04月18日 [最終更新日] 2017年04月18日

 サッポロビールが酒税について、国に対し取消訴訟を起こしたことが発表され、ニュースになっています。

 この件の流れは、サッポロビールが第3のビールとして「極ZERO(ゴクゼロ)」を販売したところ、国税当局からの指摘を受けて、酒税について修正申告して納税しました。しかし、やはり第3のビールに当たるとして、税務署長に「更正の請求」をしました。税務署長は、更正すべき理由がないとして、更正を行わないことにしたため、サッポロビールは国税不服審判所に審査請求を行いました。その請求が棄却されたので、サッポロビールは東京地裁に、税務署長の処分の取消訴訟をしたということです。115億円の返還を求めているというのは、取消請求とともに、当初の税額が過大であった(115億円払いすぎだった)として更正することを義務付ける請求も行っているものと思われます。

 

 なぜ、こういうことになったのかは、複雑な酒税法の規定が原因です。

 酒税は、国内では、製造業者が製造場所から移出した酒類の数量に対して課税される国税です。

 酒税法上は、1キロリットルにつきいくらというように規定されていますが、1缶の350mlに合わせて計算すると、

ビール77円

発泡酒47円(多くの場合)

第三のビール28円

となります。移出したものを戻した場合とか、売れ残りとかを考えると正確ではありませんが、この税金が小売価格にも反映されています。

 

 ビールや発泡酒、第三のビールは、酒税法では「発泡酒」に含まれる酒類です。

 ビールには、「発泡酒類」の基本税率が適用されて、1キロリットルつまり1000リットルあたり22万円の酒税が掛かっています。

 「発泡酒」には、基本税率から軽減された規定が適用されます。減量中の麦芽の量に応じて、2酒類の規定があります。発泡酒の多くは、税金の軽い方の規定(上記の47円の場合)が適用されています。というより、その規定が適用されるように製造したものが売られています。

 第3のビールとか新ジャンルと言われているのは、「発泡酒」の規定よりも軽減された「その他の発泡性酒類」の税率の規定が適用されるものです。醸造酒のものとスピリッツを混ぜたもの(リキュール類)の2酒類があります。

 今回の裁判は、この「その他の発泡性酒類」の規定に該当するかどうかが争われています。

 その規定(酒税法23条2項3号ロ)は、

発泡酒(政令で定めるものに限る。)にスピリッツ(政令で定めるものに限る。)を加えたもの(エキス分が二度以上のものに限る。)

というものです。

 本件で争われているのが、政令で定める発泡酒に該当するのか、または政令で定めるスピリッツ(蒸留酒)に該当するのか、について具体的にどういう争点なのかは、公表されていないようなので分かりません。

 サッポロビールが製造を工夫して技術が発展したため、酒税法や政令(酒税法施行令)の規定で判断が難しくなったのだと思います。

 

 

 酒税法は、この3月に改正されて、ビールや発泡酒、第3のビールについても税率が統一されることになりました。

 しかし、そもそも酒税の制度を維持するのが合理的なのか等、改廃すべき点は多い制度です。

 

 

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弁護士 林 朋寛

(札幌弁護士会所属)

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