弁護士コラム

自筆証書遺言の取り扱いの見直しについて

[投稿日] 2018年12月02日 [最終更新日] 2018年12月07日
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須山 幸一郎 弁護士 かがやき法律事務所

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 今回の相続法改正は実務的に大きな影響があると言われていますが、その中でも一般の方にとって特に関わりの深い自筆証書遺言について、より利用しやすくすることに眼目がおかれた改正がなされましたので、以下に取り上げます。

1 自筆証書遺言の方式の緩和

 現行制度では、自筆証書遺言を作成する場合には、全文を自書する必要がありました。財産目録も全文を自書しなければならず、パソコンで作成したり、通帳のコピーを添付したりすることは出来ませんでした。
 書き損じをしてしまうと、訂正の仕方も複雑で、財産が多数ある場合には全文の自書は相当な負担となっていました。
 今回の改正により、自筆証書に、パソコン等で作成した目録を添付したり、通帳の写しや不動産の登記事項証明書等を目録等として添付するなどして遺言を有効に作成することが可能となりました。
 但し、目録は1ページごとに署名し、押印しなければならないとされています。
 方式が緩和されたこと及び後述する法務局による保管制度の創設により、自筆証書遺言の利用が増加することが見込まれます。

2 自筆証書遺言の法務局における保管制度創設

 自筆証書遺言には、保管をどうするかという問題が必ず付きまといました。
 専門家等に依頼すると、保管費用がかかります。
 また、紛失や保管場所の忘却の恐れがありますし、分かりにくいところに保管した結果、自分が死亡した後、家族に発見してもらえなければ意味がありません。
 かといって保存場所を相続人に知らせてしまうと、相続人としても内容が気になりますし、一部相続人による毀棄・隠匿・変造の恐れもあります。

 今回、法務局において自筆証書遺言を保管する制度が創設されました。この手続きについては民法の改正ではなく、新法が制定されました(法務局における遺言書の保管等に関する法律)。

 この制度を利用するには、まず遺言者が法務局に自ら出頭し、封緘していない自筆証書遺言を提出して保管の申請を行います。
 遺言書の保管に関する事務は、遺言書保管官として指定された法務事務官が取り扱います。
 この際、法務局は内容の審査までは行いませんが、外形的に自筆証書遺言の方式に適合しているかの確認を行います。
 法務局は遺言書そのものを保管し、遺言書の画像情報を磁気ディスクに保管します。
 保管の申請をした後、遺言者は出頭して保管の撤回書を提出し、保管の申請を撤回することができます。
 
 相続人等は、相続開始後、法務局に対し、遺言書の画像情報等を用いた証明書(遺言書情報証明書)の交付や遺言書原本の閲覧の請求をすることができます。
 遺言書保管官は,遺言書情報証明書を交付し又は相続人等に遺言書の閲覧をさせたときは,速やかに、当該遺言書を保管している旨を遺言者の相続人、受遺者及び遺言執行者に通知するとされています。

 新法により保管された遺言書については、家庭裁判所の検認手続は不要となります。これにより、公正証書遺言と同様、遺言者の死亡後、直ちに自筆証書遺言に基づいて相続登記や遺産である預金の解約等が可能となります。

 法務局が関与することにより、遺言無能力、方式不備による無効、偽造、変造の懸念といった自筆証書遺言のデメリットが多くの場合で解消され、検認手続も不要となって相続人の負担も小さくなり、上述の方式緩和と合わせて自筆証書遺言の利用の増加が期待されます。

須山 幸一郎 弁護士

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