弁護士コラム

リニア入札談合の問題について

[投稿日] 2018年02月14日 [最終更新日] 2018年02月14日
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西口 竜司 弁護士 神戸マリン綜合法律事務所

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1 事案の背景

 先日,リニア中央新幹線建設工事をめぐるゼネコン大手4社による談合事件が生じました。当初特捜部は,大林組の行為が民間企業の公正な発注業務を妨げたとして偽計業務妨害罪(233条後段)の疑いがあるとして強制捜査を行っていました。もっとも,その後、特捜部と公正取引委員会は,当該談合が「不当な取引制限」(独禁法2条6項)に該当するものであり,同法3条後段に違反するとの疑いで当該大手4社に対して昨年12月18日一斉捜索を行いました。

 そこで,以下では,そもそも独占禁止法がどのような目的で存在するのかを確認した上で,「不当な取引制限」の要件及び該当性並びに課徴金減免制度について説明したいと思います。

 

2 独占禁止法の存在意義 

 資本手主義経済は,競争関係にある事業者同士が,しのぎを削ってより良い商品を需要者に対して提供しようと試み続けることから発展が生じたといえます。

 そのため,資本主義経済を支える根幹は,この競争原理をいかに確保し続けるかにあると言っても過言ではありません。

 そこで,独占禁止法は,この競争原理を確保するために,競争制限となる行為を禁止することを直接目的とし,究極的に一般消費者の利益及び国民経済の健全な発展を図ることを目的として規定されています(独禁法1条)。

 そして,独占禁止法は大きく分けて,不当な取引制限,私的独占,企業結合,不公正な取引方法,の4つに該当する行為を禁止しています。

 

3「不当な取引制限」(独禁法2条6項、3条後段)の適用

(1) 独禁法は,不当な取引制限につき,2条6項でその定義規定を設け,3条後段で当該行為を禁止しています。そこで,2条6項に規定された定義である、①「事業者」が②「他の事業者と共同して」③「相互にその事業活動を拘束」し,④「一定の取引分野」において⑤「競争を実質的に制限」するかどうかを分析的に見ていきます。

(2) ア ①「事業者」

 「事業」とは,何らかの経済的利益の供給に対応し反対給付を反復継続して受ける経済活動を指すため(最判平成元年12月14日),これを行う者が「事業者」に該当します。

 本件大林組は、大手ゼネコン業者ですから,当然に「事業者」に該当します。

イ ②「他の事業者と共同して」

 「他の事業者と共同して」とは,意思の連絡が認められる場合のことを言います。この意思の連絡とは,明示の場合に限られず,間接事実から推認される場合でも認められます。

 本件大林組と他3社のゼネコンは,個別調整を数回にわたって行っており,そこから基本合意を推認することができるため,「他の事業者と共同して」に当たります。

ウ ③「相互にその事業活動を拘束」

 この「相互に・・・拘束」とは,拘束内容の相互性までは求められるものではなく、(ⅰ)拘束の相互性及び(ⅱ)拘束目的の共通性が認められれば,足りるものと解されています(東京高判平成5年12月14日)。本件4社は、上記合意に基づきその内容に従った拘束力が生じます。

エ ④「一定の取引分野」

 「一定の取引分野」とは,一定の需要者郡と一定の供給者郡とからなる競争の場,すなわち,市場のことをいい,この市場とは,需要者から見た需要代替性の観点からその商品範囲及び地理的範囲を画定することになります。

 本件では,名古屋東京間においての、リニアモーターカーの線路工事に関する市場止まります。

オ ⑤「競争を実質的に制限」

 「競争を実質的に制限」とは,事業者がその意思である程度自由に,価格,品質,数量,その他各般の条件を左右することによって,市場支配力の形成又は維持・強化をもたらす場合のことをいうものと解されています。上記エで画定された市場において,どのような影響効果が生じているかどうかを判断していくことになります。本件では、当然に「競争の実質的に制限」に該当します。

 

3 課徴金免除制度

(1)課徴金減免制度とは,事業者が自ら関与したカルテル・入札談合について,その違反内容を公正取引委員会に自主的に報告した場合,課徴金が減免される制度のことをいいます。公正取引委員会が調査を開始する前に他の事業者よりも早期に報告すれば,課徴金の減額率が大きくなる仕組みとなっており,公正取引委員会の調査開始日前と調査開始日以後とで合わせて最大5社(ただし調査開始日以後は最大3社)に適用されます。

 この制度の趣旨は、事業者自らがその違反内容を報告し,更に資料を提出することにより,カルテル・入札談合の発見,解明を容易化して,競争秩序を早期に回復することを目的としています

(2)本件の大林組もこの制度が適用されることにより,課徴金の額が減免されています。

ただし,当初の減免申請時の大林組の対応に不十分な点があったとして,全額の免除は認められていません。

 

3 最後に

 リニアモーターカーは、私が子どもの頃からその試作品なるものが存在しましたが、なかなか実装段階に至りませんでした。乗り物自体は完成といえる状態にあったものの路線を確保することができなかったからだと言えます。近年ようやく路線が確保され,2027年には東京・名古屋間の工事が完成し,開業されることが予定されています。

 今回の事件によって開業の時期が延期される可能性もありますが,早く、時速500キロ以上のリニアモーターカーに乗って快適に東京まで行きたいですね。トンネルが多いため景色を楽しむことはできなさそうですが(笑)。

西口 竜司 弁護士

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