弁護士コラム

ストックオプション課税

[投稿日] 2018年02月21日 [最終更新日] 2018年02月21日
ストックオプションとは、あらかじめ定められた権利行使価格で一定数の株式から購入することができる権利のことを言います。

 役員らが自社のストックオプションを保有していると会社の業績向上させるインセンティブとなるので会社は、報酬としてストックオプションを付与することがあります。

 このストックオプションと所得税法上職務の対価として与えられる給与所得若しくは偶発的な利益として一時所得に分類されるのでしょうか。給与所得と一時所得では所得の計算の仕方が異なるのでその区別は重要です。

 例えば、当該ストックオプションの権利行使益が1000万円と仮定し、これが一時所得とした場合、50万円の特別控除額を差し引いた950万円が一時所得の金額となり、その2分の1である475万円が総所得金額に算入されます。これに対して給与所得とした場合、給与所得控除として220万円が差し引かれた780万円が総所得金額に算入されることになり納税者にとって有利になります。

 

 親会社が子会社役員に付与したストックオプションを行使して得られた権利行使益は、「給与所得」に該当するのかが問題となった最高裁判例(最判平成17年1月25日)についてご紹介したいと思います。

 最高裁は、当該権利行使益が、雇用契約又はこれに類する原因に基づき提供された非独立的な労務の対価として給付されたものにあたれば給与所得に該当することを前提として、A社はB社の100%親会社であり、B社の役員の人事等の実権を握ってこれを支配しているのであってXは、A社の統括の下にB社の代表取締役としての職務を遂行していたものということができる。

 本件ストックオプション制度は、A社グループの執行役員等に対する精勤の動機付けなどを企図して設けられたものであり、A社はXが上記とおり職務を遂行しているからこそ、Xに対してストックオプションを付与したものであって、本件権利行使益がXが職務を遂行したことに対する対価としての性質を有する経済的利益であることは明らかであるというべきであるとしました。

 本事件では指揮命令者B社とストックオプション支給者A社とが乖離している点が特徴であるが、この乖離は本件権利行使益の給与該当性判断には影響がないと判断されました。したがって、本件行使益は「給与所得」にあたると判断されました。

 このように、当該所得がいずれの所得に分類されるかによって、課税される金額は異なってきます。そのため、所得分類は非常に重要です。

 

 なお、ストックオプション報酬の権利行使益は権利行使時点で給与所得として課税されるのが通常ですが、適格ストックオプションの場合、権利行使時の課税は繰り延べられ、株式売却時に売却価格と権利行使額との差額が譲渡所得として課税されます。

 

神戸マリン綜合法律事務所 〒655-0892 兵庫県神戸市垂水区平磯4-3-21 フェニックスKⅡ902 平日9:00-18:30
Resized avatar mini magick20171016 13680 1rcit2v

西口 竜司 弁護士

取扱分野
交通事故 不動産・建築 相続

コラムの内容は更新時のものであり、最新の情報と異なることがあります。