父の生命保険金を母が独り占めできる?

Legalus編集部さん 2014年01月14日

 交通事故で父が死亡し、保険会社から2000万死亡保険金が入りますが、代表で母が受け取ります。子供は四人、母の判断で分割を決定しても良いのでしょうか。それとも法定相続分で決められた分で分けるようにできるのでしょうか。



(50代:女性)

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Legalus編集部

     保険金の受取人が相談者の母親であった場合、その保険金(保険金請求権)は相続財産ではなく母親の固有財産ということになります(最判昭和40年2月2日)。

     ですので、当該保険金は相談者の母親の固有財産となるので、母親が全額自分のものとすることも、母親の判断でその他の相続人に分けることも可能です。

     今回の生命保険金を家族で分ける場合に気をつけていただきたいのは、年間に110万円を超える贈与については贈与税がかかるということです。

     そこで、母親が相談者を含めた他の相続人に保険金を分配する額が2500万円までであるなら、相続時精算課税制度を利用されるとよいでしょう。この制度を利用すると当該贈与に関して税金はかかりません。

     相続時精算課税制度(国税庁HP)

     なお、相談者の母親が生命保険金を受けとると母親に相続税がかかります(夫:被保検者、保険料負担者・妻:受取人の場合)。



     母親が保険金を全額自分のものとした場合、相談者を含めた他の相続人の方達は不公平感を感じるかもしれません。そこで、相続人が生前贈与や遺贈を受けていた場合に、他の相続人との公平を期すために本来の相続分から受益分を差し引く特別受益制度というものがあります(903条1項)。

     母親が受け取った保険金が特別受益にあたるのであれば、その分相続財産から差し引かれることになるので上記の様な不公平感は感じなくなるでしょう。

     この点に関して最判平成16年10月29日は、「・・・養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権又はこれを行使して取得した死亡保険金は,民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないと解するのが相当である。・・・したがって,・・・死亡保険金は,特別受益に準じて持戻しの対象とすべきものということはできない。」と判断しています。

     ですので、最高裁判所の判例に従う限り、今回の生命保険金も特別受益とはならず母親の相続分から控除されることもありません。



     以上のように今回の生命保険金は相談者の母親の固有財産となり、かつ相続財産から差し引かれることもありません。ですので、少しでも不公平感を解消したいのであれば母親の意思を尊重しつつ家族・親族でよく話し合われることをお勧めします。

2014年01月14日

生前贈与・死因贈与に強い弁護士

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