メールでの「お金あげる」は有効?

Legalus編集部さん 2014年01月07日

 私は彼氏から、「宝くじが当たったら当せん金を全部あげる」という内容のメールをもらい、本人の口からも「全額あげる」と言われていました。その後、彼氏は宝くじに当たったのですが、まだ当せん金をくれません。私は彼氏から当せん金をもらうことができるのでしょうか。



(30代:女性)

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Legalus編集部

     贈与契約は、当事者双方の意思が合致すれば成立します(民法549条参照)。ですので、彼氏の「宝くじが当たったら当せん金を全部あげる」というメールや言葉に対して、相談者が「ありがとう」等の当せん金を受け取る意思表示をしていた場合、有効に贈与契約が成立しています。

    もっとも、書面によらない贈与契約は撤回することかできます(同550条)。これは贈与者に対して,無償で受贈者に財産権を移転する義務を負うということを自覚させて軽率な贈与を防止し、贈与者の意思を明確にすることによって、後日の紛争を防止するとの趣旨で規定されたものです。
    ただ、書面によらない贈与であっても、履行の終わった部分については、もはや撤回することはできません(民法550条ただし書)。なぜなら、履行の終わった部分については、贈与者の意思が明確になったといえるからです。



     以上より、民法550条によると、書面による贈与であるか、もしくは既に履行がされている場合には撤回することができないことになります。今回の場合、メールが贈与契約における書面にあたるといえるのであれば、彼氏は相談者に対する贈与の約束を撤回することができないということになります。



     ただ、結論としては、現時点ではメールは贈与契約における書面にあたらないと思われます。主な理由は以下の2点です。




    1. 民法550条が「書面等」ではなく「書面」となっているのですが、民法には電磁的記録によりなされた場合に書面によってなされたものとみなす規定がある(民法446条3項参照)一方で550条はそのような規定の仕方をしていないこと、

    2. 上述の通り民法550条の趣旨は、贈与者に軽率な贈与をさせないようにするというものですが、メールは今日の簡便な通信手段として非常に多くの人々に利用され、特に携帯メールは、口頭に近い感覚で用いられることも多く,軽率な贈与を防止するという観点からは書面によるというより口頭による贈与に近いといえることです。


    ただ、この点に関してはっきりと判断した裁判例は見受けられませんし、確固たる学説もないですので、裁判になった場合に逆の結論になることも十分あり得ます。たとえば、彼氏から相談者に送られたメールの内容やメールが送られた経緯等によっては、今回のメールが裁判上書面による贈与として認められることもあり得ます。

2014年01月07日

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