いきなり示された信託譲渡契約書って何?

Legalus編集部さん 2016年02月10日

 ある独居老人が亡くなりました。その老人は生前付き合いのあった女性の紹介で弁護士さんに遺言の相談をしたそうです。

 そして、その方の死後その弁護士が遺族に提示したのは信託譲渡契約書。遺産のあらかたが弁護士に信託譲渡されていたといいます。

 そんなのアリですか?遺留分は認められますか?



(60代:女性)

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Legalus編集部

     まず、大きな誤解がありそうなのであらかじめお答えいたします。

     信託という制度は、簡単に言えば「頼む側が使い道を指定して財産を託すものであって、譲り渡すものではない」というものです。



     したがって、「財産が弁護士に取られる」ということはないのでご安心ください。

     信託法において、受託者は委託者との間で交わされた契約等に基づき、信託財産の管理や処分のみを行う権限を有し(信託法26条)、善管注意義務という厳しい義務が課せられています(信託法29条2項)。

     また、信託財産に損失が生じたときは、そのてん補をしなければならないという責任を負っています(信託法40条1項)。



     ご相談内容から察するに、亡くなられた方が採用された方式はいわゆる「遺言代用信託」であると考えられます(法律上の名称ではありません。一般的な名称としてご理解ください)。

     これは、委託者(亡くなられた方)が受託者(今回のケースでは弁護士)に対して、自分の死後に、自らの財産を自分が指定した人に自分が指定した方法で引き出させるように手配できるものです。



     弁護士が受託者となるケースもあれば、信託銀行などの企業がこの役目を負うケースもあります。

     後者の場合、金融機関の商品として展開されている場合が一般的と言えます(いずれの手法であっても、受託者には報酬の支払いが生じます)。



     遺言代用信託のメリットは、通常の遺産相続のように相続人全員の同意がなければ預金が引き出せないという煩雑さがない点などがあげられます。

     生前の委託者が決めたルールで、毎月いくらを分配する、あるいは、財産を処分して誰にいくらを渡すということがスムーズに行えるという具合です。



     ご心配されている「遺留分」とは、民法で定められている一定範囲の相続人が最低限相続できる財産を意味します(民法1028条)。

     これについては、信託に置いて、遺留分が侵害されるような分配方法となった場合は、遺留分減債請求が行えます。つまり、「遺留分は信託を用いても保護されている」のでご安心ください。



     これまで述べたように、信託は決して財産を根こそぎ受託者が奪うものではありません。

     そのため、まずは受託者となった弁護士の方に、どのような財産があって、それがどのように分配されるのかなどの詳細を問い合わせる必要があると考えます。

2016年02月10日

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