留学

留学
留学とは、広義には自国を含め自分自身の居留地から遠隔地などへ行って在留し学術・技芸を学ぶことをいいますが、狭義には、自国以外の国にわたる場合をいいます。この項では、後者を前提に、日本への留学と日本からの留学の両面について、主に手続や法律的問題に絞って解説していきます。
外国人の日本への留学「留学」という在留資格
外国人が日本に留学生として滞在するには、在留資格を取得する必要があります。平成21年、出入国管理及び難民認定法の改正により、従来の「留学」と「就学」が「留学」に一本化されました。
入管法上、「留学」とは、日本の大学、高等専門学校、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む) 若しくは特別支援学校の高等部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動をいいます(入管法別表第一・四)。
上陸許可基準
留学するときは 以下の基準を満たしていないと上陸許可がおりません。
(1)申請人が次のいずれかに該当していること。
ア 日本の大学・これに準ずる機関、専修学校の専門課程、外国の12年の学校教育修了者に対して日本の大学に入学するための教育を行う機関、高等専門学校に入学して教育を受けること(夜間通学又は通信教育除く)。
イ 日本の大学に入学し、その大学院の夜間部の研究科へ通学教育を受けること(出席状況や管理体制を整備している場合に限る)。
ウ 日本の高等学校(定時制を除き、中等教育学校の後期課程を含む)、特別支援学校の高等部、専修学校の高等課程・一般課程又は各種学校・これに準ずる教育機関に入学して教育を受けること(夜間通学又は通信教育除く)。
(2)申請人以外の者が在留期間中の生活費を支弁する場合を除いて、申請人が在留期間中の生活費を支弁する十分な資産、奨学金その他の手段を有すること。
(3)専ら聴講による教育を受ける研究生・聴講生として教育を受ける場合は、入学選考に基づいて、(1)のア又はイに該当し入学の許可を受け、1週間につき10時間以上聴講すること。
(4)高等学校において教育を受けようとする場合
年齢が20歳以下で、1年以上の日本語教育又は日本語による教育を受けていること。
(5)専修学校、各種学校において教育を受けようとする場合(日本語教育専門除く)は、次のいずれにも該当していること。
ア 法務大臣が告示で定める外国人に対する日本語教育機関で6か月以上の日本語教育を受けた者、専修学校・各種学校で日本語能力試験により証明された者又は小中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校において1年以上の教育を受けた者であること。
イ 教育機関に外国人学生の生活指導を担当する常勤職員が置かれていること。
また、以下の教育機関で教育を受けようとする場合は、法務大臣が告示で定める教育機関であることが求められます。
(6)専修学校、各種学校、それに準ずる教育機関における日本語教育
(7)外国の12年の学校教育修了者に対して日本の大学に入学するための教育
(8)各種学校に準ずる教育機関で教育を受けようとする場合(日本語教育専門除く)
留年した場合の在留期間更新手続
留年してしまい、在留期間更新手続が必要になる場合は、申請人や指導教授等の事情を聴取し、必要性が認められれば許可されます。
アルバイトをするには許可が要る-「資格外活動許可」について
アルバイトなどのいわゆる資格外活動をする場合は、必ず許可が必要です。必要な書類は、 資格外活動許可申請書、 パスポート、在留カード(または外国人登録証明書)、 健康保険証の4点です。活動時間は、1週28時間以内(長期休業期間中は1日8時間以内)とされています。
卒業・修了後の就職活動に伴う在留資格変更(「留学」→「特定活動」)
「留学」の在留資格を持つ留学生が、大学卒業後または大学院修了後に日本で引き続き就職活動を希望する場合、在留資格を「特定活動」に変更すれば、引き続き滞在することができます。在留期間は6ヶ月間で、在留期間更新は1回が限度です。
必要な書類は、在留資格変更許可申請書:1通、パスポートおよび在留カード(または外国人登録証明書)、 健康保険証(提示)、在留中の一切の経費の支弁能力を証明する文書、 直前まで在籍していた大学の卒業証書(写し)または卒業証明書 1通、直前まで在籍していた大学による継続就職活動についての推薦状 1通、継続就職活動を行っていることを明らかにする資料、などです。
就職時の在留資格変更
前項5に続き、留学生が、日本国内の企業等に就職し引き続き在留することを希望する場合は、「留学」から「技術」、「人文知識・国際業務」等の就労の在留資格への変更をする必要があります。審査では、学歴や有する技術・知識等と職務内容の関連性が求められます。
日本から海外への留学-国内で済ませておくこと日本から海外へ留学するには、行先の国の役所や学校宛てに様々な手続をとる必要がありますが、その方法や手順、審査基準などは行先の国や学校によって違うため、一般論で手続を示すことは難しく、またそれは危険とも言えます。一方、留学のために日本をしばらく離れるに際し、いくつかやらなくてはならない国内手続があります。しかも、ただ単純に手続をするのではなく、何が自分に最も合ったやり方なのか方針を決める必要があるものもあります。
ここでは、国内にいるうちに検討し、手続しておかなければならないことを解説しましょう。
住民票
住民票とは、今どこに住んでいるかを示すものです。留学するにあたっては、この住民票の登録をそのまま(日本に住んでいる状態)にしておくことも不可能ではありませんが、長期となる場合は「日本には住所が無い状態」として届出をすることも可能です。この手続きが「海外転出届」です。
海外転出届は強制ではありません。次の2~4の点をよく踏まえて、全体としてどちらがいいか決めるのが賢い方法といえます。
なお、海外転出の手続は、市町村によって若干異なりますが、役所にある申請書に住所や本籍を記入して、提出するだけで済むのが通常です。
住民税
住民税は前年度の所得額に基づいて課税されますので、海外転出の手続をしてもしなくても、1年間は支払う義務があります。会社勤めを続けていれば、引き続き引き落とされます。
国民年金
年金は、法律によって加入と保険料の支払いが義務付けられています。年金を受け取るには、通常最低25年間は支払っている必要があります(受給資格期間)。
留学中の年金の保険料支払いですが、住民票が日本にある場合、加入は「義務」ですから払うことが基本です。逆に海外転出届けを提出した場合は、年金加入は義務ではなくなるので、払い続ける必要は必ずしもありません。
ただ、義務でないとはいっても、支払期間が40年間から短くなれば、それだけ支給される年金も減ることになります。未払期間を作りたくない場合は、海外転出届を出しても任意で払い続ける方法を選択できます。海外転出の届けをした時点で、自動的に年金支払の請求が停止されますが、支払いをしたい場合は役所の窓口で任意加入の手続をとることになります。
国民健康保険
健康保険は、日本に住所がある場合、その市町村に対して払い続ける義務がありますが、海外転出の届けを出すと、そもそも加入することができません。
転出届けをせずに留学中も加入する場合は、保険料を支払い続ける義務がありますが、海外で医療機関に治療費を払った場合、国外の滞在期間が1年以内ならば、指定の書類の提出をする事で日本での治療費に換算したうえ7割相当の金額が返済される、というメリットがあります。
海外転出届を出す=留学中は加入しない場合は、自動的にいったん脱退することになります。留学期間に健康保険を払ってなくても帰国後再加入すれば条件は変わりません。ただこの場合は、無保険状態は危険といえます。留学生向けの様々なプランが保険会社から出ています。
参考コンテンツ:
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