ビザ・在留資格

ビザ・在留資格
ビザ(査証)とは、国家が自国民以外に対して、その人の旅券が有効であり、その人が入国しても差し支えないことを表した証書です。
在留資格とは、外国人が日本に入国・在留して行うことのできる活動等を類型的に整理したもので、出入国管理及び難民認定法(入管法)とその委任法令(施行規則等)により規定されています。
ビザも在留資格も、外国人を日本へ招聘する際には避けて通れない、重要なテーマです。この項では、日本国への入国の際のビザと在留資格に絞って、その概要を説明しましょう。
ビザの主な目的は、入国しようとする外国人が、この国に入国することが問題ないかについて事前に判断する身元審査といえます。外国での犯罪歴があるために身元審査で不適格と判断された者には、ビザは発行されず、入国が許可されなくなります。同時に、ビザは事前段階における入国許可申請証明のあくまで一部なので、ビザを持っていても入国を拒否されることがあります。
ビザと在留許可とは、混同されがちですが、ビザが入国申請を行うための「要件」の一つであるのに対し、在留許可は入国・入国後滞在を続けるための「資格」と考えれば混同しないでしょう。なお最終的な在留・入国許可は、国境検問所や港や空港に勤務している入国審査官の裁量で決定することになります。
ビザは外国人が入国する前に行われるため、その審査や発行は、原則として在外公館(大使館・領事館など)で行われます。一部の国を除き、旅行の対象となる国が世界中に持つあらゆる在外公館において受給が可能とされます。遠く離れた国家にある在外公館よりも、旅行者の交流が多い隣国にある在外公館の方が、申請を受けてから発給されるまでの所要日数が短いことが多く、発行手数料も安いことが多いため、旅行中に隣国の在外公館を訪れて発給申請することが多いといわれます。
ビザの手続は、短期滞在の場合と就労・長期滞在の場合とに、大きく分かれます。それぞれ説明しましょう。
短期滞在の場合
短期滞在とは、観光、商用、知人・親族訪問等90日以内の滞在で報酬を得る活動をしない場合をいいます。
ビザが必要な出身国・地域 : 中国、ロシア、CIS諸国、ジョージア、フィリピン等。
ビザを必要としない国・地域 : 上記以外。
手続の流れについては、外務省が大変わかりやすいフローをWebサイトでアップしていますので、以下に掲げます。
就労・長期滞在
就労・長期滞在には、以下のものがあります。
(1)高度専門職ビザ
- 現行の外国人受入れの範囲内にある者で、高度な資質・能力を有すると認められるもの)
- 高度人材 (例:在留資格「特定活動(高度人材)」で在留する外国人の扶養を受ける配偶者及び子など)
(2)就業ビザ
- 教授 (例:大学教授、助教授、助手など)
- 芸術 (例:作曲家、作詞家、画家、彫刻家、工芸家、写真家など)
- 宗教 (例:僧侶、司教、宣教師等の宗教家など)
- 報道 (例:新聞記者、雑誌記者、編集者、報道カメラマン、アナウンサーなど)
- 経営・管理 (例:会社社長、役員など)
- 法律・会計業務 (例:日本の資格を有する弁護士、司法書士、公認会計士、税理士など)
- 医療 (例:日本の資格を有する医師、歯科医師、薬剤師、看護師など)
- 研究 (例:研究所等の研究員、調査員など)
- 教育 (例:小・中・高校の教員など)
- 技術・人文知識・国際業務 (例:理工系技術者、IT技術者、外国語教師、通訳、コピーライター、デザイナーなど)
- 企業内転勤 (例:同一企業の日本支店(本店)に転勤する者など)
- 興行 (例:演奏家、俳優、歌手、ダンサー、スポーツ選手、モデルなど)
- 技能 (例:外国料理の調理師、調教師、パイロット、スポーツ・トレーナー、ソムリエなど)
(3)一般ビザ
- 文化活動 (例:無報酬のインターンシップ、茶道・華道の研究者など)
- 留学 (例:日本の大学・短期大学、高等学校、中学校、小学校等への留学生、日本語学校の学生など)
- 研修 (例:企業・自治体等の研修生、実務作業を伴わない研修)
- 家族滞在 (例:長期滞在外国人の扶養を受ける配偶者及び子)
- 技能実習 (例:海外の子会社等から受け入れる技能実習生、監理団体を通じて受け入れる技能実習生)
(4)特定ビザ
- 日本人の配偶者等 (例:日本人の配偶者、日本人の実子)
- 永住者の配偶者 (例:永住者の配偶者)
- 定住者 (例:日系人、定住インドシナ難民、中国残留邦人の配偶者・子など)
- 特定活動 (例:外交官等の家事使用人、ワーキングホリデー入国者、報酬を伴うインターンシップ、EPAに基づく看護師、介護福祉士候補者など)
- 特定活動 (観光・保養を目的とするロングステイ)
(5)外交ビザ
- 外交 (例:外交使節団の構成員、外交伝書使など)
(6)公用ビザ
- 公用 (例:外交使節団の事務及び技術職員並びに役務職員など)
手続の流れについては、外務省が大変わかりやすいフローをWebサイトでアップしていますので、以下に掲げます。
現在、27種類の在留資格が定められ、それぞれに該当要件・付与される在留期間等が公表されています。実際の許否判断については入国管理局・地方入国管理局の最上級行政庁である法務大臣の裁量によるものとされているため、その詳細(通達等)は公開されていません。
日本滞在中に、在留状況や周囲の事情の変化などにより在留資格の変更(永住申請含む)や取得を、あるいはさらなる在留継続のために在留期間の更新を、それぞれ当該外国人本人が地方入国管理局に出頭して申請しなくてはなりませんが、申請人が16歳未満の場合、病気等やむを得ない事由がある場合には法定代理人等による代理申請も可能です。また、地方入国管理局長に届け出た弁護士又は行政書士(届出を行った行政書士を申請取次行政書士と呼ぶ)に依頼する場合等にも、本人の出頭が免除されます。
許容されている活動内容、あるいは地位・身分等に基づき、出入国管理及び難民認定法の別表の分類は、以下の通りです。
- 別表第1の1の表
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道 - 別表第1の2の表
投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、技能実習 - 別表第1の3の表
文化活動、短期滞在 - 別表第1の4の表
留学、研修、家族滞在 - 別表第1の5の表
特定活動 - 別表第2
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
日本に在住する外国人には、上述の在留資格者以外に、以下の場合があります。
- 入管法上の特例上陸許可(寄港地上陸許可、通過上陸許可、乗員上陸許可など)を受けた者
- 入管特例法上の特別永住者
- 日米地位協定の適用を受ける者
- 在留資格喪失後に在留する者などの、いわゆる不法滞在者
以上が在留資格の制度面での全体像ですが、この在留資格制度は多分に政策的要素をはらんでいるといえます。もちろん毎年コロコロと変わるようなものではありませんが、今後許容範囲が変わっていく余地は大いにあるでしょう。
参考コンテンツ:
不法滞在の彼女と結婚できるか
妻が日本人である外国人の日本での活動は?
ビザ・在留資格を得意としている弁護士
岡 直幸 弁護士 福岡県
ゆくはし総合法律事務所小原 望 弁護士 大阪府
小原・古川法律特許事務所金川 晋也 弁護士 東京都
秋葉原KM法律事務所トップへ
観光VISAで滞在している人を脅迫罪で訴えたい。それができなければ少額訴訟を検討している。アドバイスお願いします。