子どものインターネット利用とフィルタリング2 ~フィルタリングの実情~
[投稿日] 2015年12月04日 [最終更新日] 2017年08月31日
ネットトラブルを得意としている弁護士
最近、「携帯もパソコンも、自分より子どもの方がずっと詳しい」と話す保護者は珍しくありませんが、「子どもがインターネットをどう利用しているか」は、親としてしっかり把握しておくべきです。
というのも、出会い系サイトを利用して犯罪被害に遭った18歳未満の子どもは、平成20年のデータで724人(大人を含めた被害者全体の85%)にのぼっているからです。
そして、そのうちの実に98.6%が携帯電話を通じて出会い系サイトにアクセスしたと答えています。
親の目に触れやすいパソコンよりも、自分専用の携帯の方が有害サイトにアクセスしやすいという背景があるのかもしれません。
こうした事態を招く前に青少年を有害情報から守ろうと、インターネット関係事業者には有害情報のアクセスを制限する「フィルタリング」の提供が義務付けられています。
携帯のフィルタリングと利用状況特に携帯に関しては、いわゆる「青少年インターネット環境整備法」が施行された平成21年以降、新たに購入する携帯やPHSの利用者が18歳未満の青少年である場合は保護者がその旨を事業者に申し出なければならず、それを聞いた事業者はフィルタリングサービスの提供を申し出ることになっています(17条)。
ただ、このサービスを受けるかどうかは保護者の判断に委ねられており、保護者がサービスを利用しないと言えば、事業者側はフィルタリングを外すことも可能です。
では、実際のフィルタリング利用状況はどうかというと、平成23年の内閣府調査では小学生で7割台後半、中学生で約7割、高校生で約5割という結果が出ています。
フィルタリングを利用しなかった保護者の意見で多かったのは「子どもを信用している(40%)」、「特に必要を感じない(33%)」、「子どもにとって不便(15.5%)」というものでした。
中には「子どもからつけないでと頼まれた(10.4%)」、「フィルタリングサービスを知らなかった(5.4%)」という意見もあったほか、携帯事業者に端末の利用者が子どもであると告げていない人も11.2%存在し、保護者の意識がまだ高まっていない現状も垣間見えます。
では、フィルタリングによってどれくらいの効果が見込めるのでしょうか。
上記調査によれば、インターネット上のトラブルや問題行動等を経験した青少年は、フィルタリング有で46%、無で61.4%でした。
トラブル等の内訳の一部を紹介すると、
- チェーンメールが届いた
→フィルタリング有35.9%、無50.9% - サイトにアクセスしてお金を請求されて困ったことがある
→フィルタリング有2.6%、無4.9% - プロフやゲームサイトで知り合った人とやりとりしたことがある
→フィルタリング有9.1%、無19.4% - 夜遅くまでインターネットにのめりこんで睡眠不足になったことがある
→フィルタリング有7.1%、無12.9%
など、ほぼすべての項目でフィルタリング無が有を上回りました。
両者の差をどう捉えるかは人それぞれですが、子どもに正しいインターネット利用を教えるために、フィルタリングや家族間の取り決めなど、今一度の確認をお勧めします。
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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