ネット通販

ネット通販時代を安全に生きるには。トラブル事例から学ぼう
ネット通販はとても便利です。実際に店舗に行かなくても、とてもたくさんの商品の中から自分の気に入ったものを選んで、クリック1つで購入することができます。
しかし、ネット通販には危険も潜んでいます。悪質なショップから購入をして商品が届かないなどのトラブルが起こることも多いです。
そこで、ネット通販を利用する際には、トラブルに遭わないように注意が必要です。
今回は、ネット通販を安全に利用するために、どのようなトラブルが起こりがちなのかを見てみましょう。
ネット通販でトラブルに遭わないためには、安全なショップを見分けて利用することが重要です。
そこで、まずは安全なショップを見極めるポイントをご紹介します。
1つ目のチェックポイントは、サイト上に特定商取引法にもとづいた表記があるかどうかです。
通販業者は、ネット通販を行う際には、サイト上に特定商取引法にもとづいた表記をすることが義務づけられています。そこで、これをきちんと守っているかどうかによって、信頼できるサイトかどうかを判断できるのです。
そこで、ネット通販サイトを見るときは、特定商取引法にもとづく表記があるかどうかや、その表示がわかりやすいかどうかをチェックしましょう。会社概要に表示があるケースもあります。
次に、プライバシーポリシーの表示があるかどうかもチェックポイントとなります。
ネット通販を利用する場合には、氏名や住所メールアドレスなどの個人情報を提供することになるので、信頼性の高い通販業者であれば、個人情報の利用目的などを記載しているものです。
支払い方法が多様かどうかも問題になります。前払いしか利用できないようなショップはトラブルが起こりやすいです。
誇大広告にも注意が必要です。悪徳業者は、人目を引くために誇大な広告をしていることが多いです。倒産直前の会社なども、とにかく最後に現金を集めるために誇大広告を出していることがありますので、あまりに安かったり条件が有利な広告が出ていたりする場合には慎重になる必要があります。
ネット通販を利用する場合に具体的にどのようなトラブルがあるのか、以下で見てみましょう。
まずは、商品に関するトラブルがあります。
多いのは、サイト上に掲載されていたのとは異なる商品が送られてくるケースです。
たとえば、通販サイトでビデオカメラを購入したところ、既に別の画像が記録されている中古品だったというケースがあります。サイト上には中古品という記載がなく、新品だと思って購入したので返品や交換を求めても、ショップが応じてくれずにトラブルになります。
サイト上に掲載されていた写真とイメージが異なる商品が送られるケースもあります。この場合には、ショップが返品に応じれば問題になることは少ないですが、悪質業者は返品を受け付けなかったり、音信不通になったりするのでトラブルになります。
商品が送られてきても、それが破損していたり腐敗していたりするケースもあります。たとえば、充電式の掃除機を購入したけれども、付属品がついておらず、充電池も錆びてしまっていた場合など、返品したいと考えて連絡したけれどもショップが応じてくれないでトラブルになることがあります。
ブランド品や限定品の通販などのケースでは、サイト上に掲載していた商品とは異なる偽物が送られてくることもあります。たとえば、有名ブランド品の財布を注文したのに、ブランドではない偽物が送られてくるケースがあります。この場合にも、業者が返品に応じなかったり連絡がつかなくなったりしてトラブルになります。
決済に関するトラブルネット通販では、決済に関するトラブルが起こることもあります。
決済とは支払いのことですが、決済に関してトラブルが起こる場合には、代金前払いの方法を利用するケースが多いです。
前払いしてしまうと、どうしてもその後ショップ側が商品を送らないという問題が起こってしまうからです。
たとえば、ネット通販でバッグの購入を申し込んで、代金と送料を指定された口座宛に振り込んだけれども、相手から数週間連絡がなく、問い合わせると「閉店するので売れない」と言われて逃げられたという事例もあります。
この点で、代金前払いしか選べないネットショップを利用すると問題が起こる可能性があると考えた方が良いでしょう。後払いや代金引換を利用する方が安心です。
また、海外のサイトを利用すると、特定商取引法の適用がないので、法律にもとづいた返品請求などができません。代金支払いをした後連絡がつかなくなったら、対処の方法がなくなることがあるので、注意が必要です。
次に、クレジットカードで代金決済をする場合もトラブルが起こる可能性があります。この場合、クレジットカードの情報を入力して送信する必要がありますが、その情報が漏れ出てしまうと、他人が勝手にクレジットカードを利用してしまうことがあります。
また、利用者の氏名や住所、電話番号、クレジットカード情報などを保存できる通販サイトもありますが、この場合には、通販サイトのIDとパスワードを盗まれたら、そのクレジットカードを利用して勝手にショッピングをされてしまうおそれがあります。
IDやパスワードを設定する際には、生年月日などのわかりやすい数字を利用しないことにしましょう。
ネット通販でありがちなトラブルとして、配達に関するトラブルもあります。
典型的なケースが、代金を振り込んでも商品が配達されてこないケースです。たとえば、遠方にある業者との間でパソコンを購入する契約をして、指示通りに25万円を現金書留で送ったのに商品が配達されないというトラブル事例があります。
通販サイトでブーツを注文して、指定された金額の代金を振込送金の方法で振り込んだけれども、商品が届かないというケースもあります。その後連絡を取ろうとしても、通販サイト自身が消えてしまっているということもあります。
このような詐欺の事例とは異なり、ネットショップが商品を送付してくれる場合でも、配達に関してトラブルが起こることがあります。ネット通販では、配達指定サービスを利用できることが多いですが、配達指定をしていた場合に、ショップ側の発送が遅れて配達が遅れたケースにはトラブルになってしまうことがあります。
配達指定をしていなかった場合でも、ネット通販業者が商品発送をするのが遅くなりすぎて購入者が不安を感じ、紛争が起こることがあります。
通販業者に悪気がなくても、購入者としては「詐欺に遭ったのではないか」と思ってしまうからです。
購入者が「配送」と「発送」の意味を取り違えていてトラブルが起こることもあります。
ネットショップが「発送した(送り出した)」と連絡してきたら、購入者がその日に自宅に「配送(届くこと)」されると思い込み、届かないので不安に感じて問題になるのです。
ネット通販を利用していると、さまざまなトラブルに遭う可能性がありますので、以下ではトラブルに巻き込まれた場合の対処方法をご紹介します。
ネット通販で詐欺に遭った場合には、相手と連絡が取れるケースと取れないケースがあります。
相手の業者が営業を続けている場合には、相手に対して内容証明郵便で請求書を送って契約の解除と代金返還請求をすることができます。相手がこれに応じない場合には、裁判をすることも可能です。
相手の業者が架空であったり逃げてしまったりして所在がわからない場合には、所在から調べる必要があります。この場合には、自分で対処することは難しいので、警察や弁護士、などに相談した方が良いでしょう。詐欺業者が相手の場合、警察のサイバー犯罪対策窓口を利用しましょう。
日本通信販売協会が実施している【JADMA】通販110番では、国内の問題だけではなく、海外サイトを利用してトラブルになった場合にも相談することができますので、自分では対処が難しい場合などに利用してみましょう。
クレジットカードを不正利用された場合には、すぐにクレジットカード会社に通知しましょう。不正利用が明らかになったら、一定期間は不正利用分について全額補償してもらうことができますし、すぐにカードを止めてもらったら、その後は不正利用が起こることもなくなります。
今回は、ネット通販のトラブル事例とトラブルが起こった際の対処方法を解説しました。ネット通販はとても便利ですが、反面トラブルが起こる可能性も高いです。
まずは特定商取引法を守っていて、プライバシーポリシーのある良質なサイトを利用することが重要です。
クレジットカードを利用する場合には、情報の入力や保存の方法に注意しましょう。
トラブルに遭ったら、各種の相談を利用したりして、早めに対処することが大切です。
今回の記事を参考にして、上手にネット通販サービスを利用しましょう。
ネット通販を得意としている弁護士
渡邉 祐介 弁護士 東京都
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「車を傷つけない」と明記された車カバーを使用して車に傷が着きました。販売会社に損害賠償の請求は可能でしょうか?