弁護士コラム

【親権】母性優先の原則はなくなったのか?

[投稿日] 2020年05月26日 [最終更新日] 2020年05月26日

未成年の子どもがいる夫婦が離婚をする場合、子どもの親権者を定めなければ離婚をすることが出来ません。

これは、協議離婚でも調停離婚でも、裁判離婚でも同じです。

では、父親と母親のどちらを親権者とするのか争いがある場合、どうするのでしょうか。

話合いで決まらなければ、裁判で決めるしかありません。

裁判で親権者を定める場合、かつては「母性優先の原則」という考え方がありました。

子どもにとって母親は不可欠で、特に乳幼児の場合はそれが顕著であり、親権者は母親とすべきである、という考え方です。

えっ、父親は不可欠ではないのか?と思う方も多くいらっしゃるでしょうが、かつては、「母性優先の原則」というものが普通に語られていたのです。

正直なところ、今の時代と逆行しているのでは、と感じます。

昔もいらっしゃったのでしょうが、今はより、子ども達の面倒を見る父親が増えています。

またライフワークバランスという言葉が出てきているように、家庭での時間を大切にしている父親が多いと感じています。

では、「母性優先の原則」はなくなったのでしょうか。

正直なところ、親権者を定めるにあたって、結論だけを見ると、母親が親権者となっているケースのほうが割合としては多いと思います。

しかし、それは「母性優先の原則」に基づくものではなく、父親と母親のどちらが、未成年者の子どもの主たる監護者であったのか、ということに基づいています。

すなわち、一緒に生活をしていたときに、子どもの面倒を見ていたのはどちらが主なのか、ということです。

このような観点からすると、やはり共働き家庭が増えた、子どもの面倒を見る父親が増えたといっても、子どもの食事を作ったり、子どもを寝かし付けたり、保育園に送ったりと、子どもの監護を主として行っているのは母親であることが多いのです。

また別居を開始した後、子どもの監護を実際に行っているのが、父親と母親のどちらであるか、ということも重要です。

子どもの生活環境を、大人の都合によってコロコロと変えるのは良くない、という考え方に基づき、別居開始後、子どもが母親と暮らしている場合は、その監護状況に特段の問題がない限り、親権者は母親として、その監護状況を継続すべきだと言うのです。

これを「継続性の原則」といいます。

もちろん別居開始後、子どもが父親と暮らしている場合は、その監護状況に特段の問題がない限り、親権者は父親とされる可能性が高いです。

実際に、当職が担当してきた離婚案件でも、子どもを実際に監護している父親が親権者として指定された事案が多数あります。

ただし、別居時に母親が子どもを連れて家を出るケースが多く、また同居時に母親が主たる監護者であるケースが多いため、結論としては、子どもの親権者としては母親が指定されることが多いのでしょう。

12年ほど前は、判決で「母性優先の原則」という言葉が出てきたこともありましたが、今は、判決文で「母性優先の原則」という言葉を見ることはありません。

そういう意味では、当事者の具体的な監護状況等を見ることなく「母性優先の原則」が使われることはなくなったと言えるのではないでしょうか。

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寺田 玲子 弁護士

取扱分野
離婚・男女 交通事故 犯罪・刑事事件

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