弁護士コラム

「万引犯」の画像貼り出しは問題ない?

[投稿日] 2017年02月10日 [最終更新日] 2017年02月10日

窃盗犯人ということを確認しないで、その人の画像を窃盗犯人として貼り出すのは、一応、名誉棄損行為に当たりそうです。

万一、後日判明したところ、それが人違いであったとした場合には、その人の名誉を傷つける行為を公然と行なったわけですから、刑法犯つまり名誉棄損罪(刑法230条)で処罰される可能性がある、のみならず、民事上もその人から、不法行為責任(民法709条)を原因として損害賠償慰謝料)支払責任を問われる可能性が大きいです。

ただ、その人がその後、警察に逮捕され、裁判を受けた結果、その人がやはり窃盗犯人であったことが明らかになった場合には、店長のしたことは間違いではなかったことになるので、何も問題はないように思えますが、以下の点を検討する必要があります。

刑法230条の名誉棄損罪は、「公然と、事実を適示して」人の名誉を棄損する行為を罰するものですが、「その事実の有無にかかわらず」処罰されることになっていますので、その人が「万引犯」に間違いなかったとしても、一応名誉棄損罪は成立することになりそうです。

しかし、刑法230条の2の第1項によると、その名誉棄損行為が「公共の利害に関する事実に係り」かつ「その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には」その事実が真実であったときは罰せられない、ことになっています。

さらに、同条の第2項では、前項の規定の適用については「公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす」と規定していますので、店長の「万引犯」の画像貼り出し行為は、公共の利害に関する事実とみなされるのですが、かつ、それが「その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合」でないと罰せられないわけです。

店長が「万引犯」の画像貼り出し行為をした目的は犯人逮捕という目的でしょうから、これは専ら公益を図ることにあったと認められるので、名誉棄損罪に該当しないという結論になると思われます。

但し、万引犯の画像貼り出しというのは「専ら」公益を図る目的ではないという考え方もあるので、刑法230条の2の第1項の適用はなく、名誉棄損罪に該当するという異論もあり得ると思われます。

弁護士法人野間法律事務所 〒899-5214 鹿児島県姶良市加治木町仮屋町85

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