弁護士コラム

クーリングオフの基礎知識

[投稿日] 2020年10月02日 [最終更新日] 2020年10月02日
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北川 靖之 弁護士 キタガワ法律事務所

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(クーリングオフとは?)

クーリングオフという言葉を聞いたことがある方は多いと思います。その意味について、どの程度、ご存知でしょうか。

知人に聞いたところ、高価な布団などを売りつけられたような場合に、契約を解除できること、といった答えが返ってきました。同じようなイメージを持っている方も多いと思います。

そもそも、クーリングオフの英語表記は「Cooling Off」。日本語では「頭をひやすこと」といった意味です。すなわち、頭を冷やして考えて、やっぱりやめようとなったときに、契約を解除できる制度といえます。

通常、契約の解除は、契約当事者の一方が義務を履行しない場合に、他方当事者に認められています。クーリングオフは、相手方の義務の不履行がない場合でも、契約を解除できる点が特徴です。

 

(クーリングオフの導入)

クーリングオフは、どんな場合にでも認められているわけではありません。「よく考えたら、やっぱりイヤ」という理由での解除が無制限に認められると、契約社会が崩壊してしまうからです。

クーリングオフ制度の導入は、1972年にさかのぼります。当時、訪問販売により、百科事典セットなどの高価な商品を、分割払い(当時は「月賦」とも呼ばれていました。)で購入させられてしまうという「被害」が増加していました。「被害」といっても、その値段で、そのセットを購入する契約を締結したのは事実ですから、ストレートに「被害」は言えないかもしれません。しかし、その契約に不満を持つ消費者が多かったのも確かなわけです。そこで、割賦販売法(以下、「割販法」)の規制の一部として、店舗外の割賦販売契約に対するクーリングオフ制度が設けられました。

訪問販売による割賦払い契約にクーリングオフが認められているのには、二つの理由があります。一つは、契約を締結したくない場合、あるいは少し考えてから決断したいという場合に、客が店舗から立ち去るという方法を選択できないからです。もう一つは、毎月の支払額が少ないために、長期にわたる分割払いの負担を、客が十分に理解できないまま契約してしまう場合があるからです。そこで、契約してしまった人に「頭を冷やす」機会と契約を解除する権利を与えて、消費者保護を図ったのがクーリングオフの制度なのです。

その後、1976年、訪問販売法が制定されます。訪問販売、連鎖販売取引について、クーリングオフが可能になりました。連鎖販売取引とは、俗にいう「マルチ商法」のことです。

マルチ商法の特殊性は、仕組みが複雑であることに加えて、商品代金以外の特定負担があることです。仕組みを十分に理解し、特定負担の妥当性を検討するための機会を付与するためにクーリングオフ制度が導入されています。

 

(クーリングオフの拡大)

さらに、1988年、訪問販売法が改正され、クーリングオフ制度の適用範囲が拡大されました。

まず、クーリングオフが認められる商品の種類が増えました。豊田商事事件などの影響も踏まえて、金地金(きんじがね)、貴金属、絵画などが追加されました。

また、商品の売買に加えて、役務、権利を対象とする契約にも、クーリングオフが認められることになりました。役務とは、いわゆるサービスのことであり、具体的には、シロアリ駆除やエステの施術などが該当します。権利の具体例は、ゴルフ場の会員権などです。

さらに、現金払いの取引にも、クーリングオフが認められるようになりました。現金払い取引の場合、取引成立の際に、契約当事者双方の義務が履行されますので、通常、解除の余地がありません。したがって、クーリングオフにより、商品と代金を交換することになります。

このように、訪問販売法は、順次、規制の分野を広げていきました。1996年には、電話勧誘販売に対する規制が新設され、1999年には、英会話教室などの特定継続的役務提供に対する規制が新設されました。さらに、2000年には、内職商法などの業務提供誘引販売契約に対する規制が新設され、これに伴い、特定商取引法(以下、「特商法」)に名称変更されています。

そして、2008年の特商法改正により、訪問販売、通信販売、電話販売の指定商品・指定役務制度が撤廃され、原則として、すべての商品・役務について、規制が及ぶこととなりました。

さらに、2012年の特商法改正により、貴金属を安く買いたたくといった訪問購入に対する規制も新設されました。

 

(クーリングオフ可能な期間)

 クーリングオフは、クーリングオフが可能であることが記載された法定書面の交付から数えて、8日から20日以内に行う必要があります。具体的な日数は、それぞれ法律で定められています。

 逆にいえば、法定書面を交付しなかったり、法定書面に不備があったりする場合には、クーリングオフ可能期間が、いつまでたってもスタートしないことになります。その場合、いつまででもクーリングオフが可能です。

 とはいえ、クーリングオフは時間との闘いであることも事実。弁護士への相談は、お早めに。

 

北川 靖之 弁護士

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