弁護士コラム

大津市いじめ事件判決報道の問題

[投稿日] 2021年02月13日 [最終更新日] 2021年02月13日

先月、最高裁で棄却されたので、控訴審判決の内容で確定しました。

これ、控訴審判決のときからですが、報道に仕方に問題があります。

新聞などのリードをみていると、被害者の家族の過失などで賠償額が400万円となったと報じられています。

これでは、被害者の家族の落ち度が主な原因で400万円になったかのように読めます。

しかし、控訴審判決を読むと、過失割合4割で加害生徒が負うべき金額が6割の約4000万円(つまり減額されたのは2700万円)。

ここから、大津市等から支払われたとして控除されたのが合計約4000万円。

つまり、過失相殺で減額された金額より、大津市等から支払済みと引かれた金額の方が明らかに大きいのです。

なお、差し引き0円にならないのは、遅延損害金が膨らんでいたからです。

確かに、一審と控訴審判決の違いが過失割合が認められたことが大きいという意味では間違いではありません。

しかし、これでは控訴審判決もいじめが自殺に大きく影響したと認定していることがちゃんと伝わりません。

いじめが自殺に大きく影響したことを認め、本来の賠償金が7000万円弱であるところ、4割を過失相殺で減らし、4000万円となり。

ただ、大津市が支払い済だから400万円になったのです。本来の賠償額は大きいと認められているのです。。

 

また、過失割合4割というのは、いじめ自殺では特段大きい過失の認定ではありません。

家庭環境にも原因があったとは認定されていますが、家庭環境が普通に比べて特段に悪いと認定されるわけでもないのです。

もちろん、この事案で過失割合を認めるべきかは別の問題としてあるのですが、少なくとも控訴審判決で家庭環境が普通より特に悪く認定されたというのは間違いです。

 

法律家とマスコミとの知識の大きなギャップのために、こんな誤解を招くような報道になり、とても残念に思います。

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松浦 由加子 弁護士

取扱分野
離婚・男女 借金・債務整理 不動産・建築

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