勤務中に流産!職場に対し責任は追及できる?

Legalus編集部さん 2015年07月23日

 私は派遣社員として働いていますが、派遣先の職場で勤務中に流産しました。妊娠4週目でした。職場では力仕事をせざるを得ない状況でしたので、派遣先の職場に対し慰謝料などの何らかの責任を追及できないでしょうか。また、派遣元の会社の労災は適用されますか。


(30代:女性)

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Legalus編集部

     妊娠4週目で流産されたとのこと、大変お気の毒に思います。妊娠4週目ということは妊娠が判った直後の出来事だったのでしょうが、妊娠していることは当時、派遣元・派遣先に伝えていらっしゃいましたか。もし伝えていらっしゃらなければ会社としても配慮のしようが無いので、あなたが妊娠していることを派遣元・派遣先に伝えていらっしゃったことを前提にご説明させて頂きます。


     

     まず、あなたの雇用主は派遣元ですから基本的な労働条件を整備する義務は派遣元にありますが、妊娠している女性や産後1年以内の女性の母性を保護する義務は派遣先にあります(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律44条2項。以下、単に「労働者派遣法」といいます。労働基準法64条の3)。


     

     そして、妊娠している女性や産後1年以内の女性に重い物を持たせてはならない(「危険有害業務」の禁止)と労働基準法64条の3で定められていますが、この重い物とは、女性労働基準規則第2条1号によりますと、18歳以上の女性が断続的に持つ場合には30㎏以上の物であるとされています。そして、派遣元は派遣先があなたを危険有害業務に従事させている事を知れば派遣を中止しなければなりません(労働者派遣法44条3項)。


     

     ですから、あなたが派遣先で従事していた力仕事が30㎏以上の荷物を整理・運搬などすることであったのであれば、あなたの妊娠を知りながらその仕事をあなたにさせ続けた派遣元と派遣先は、罰則を受けることになりますし(労働基準法119条1号)、あなたは派遣元と派遣先に対し、民事上の損害賠償請求をすることができます。


     

     次に、あなたが派遣元会社の労働者災害補償保険法(以下、単に「労災保健法」といいます)による保険給付を受けるためには、あなたの受けた怪我が「業務上」受けたものであることが必要です(労災保険法7条)。そして、「業務上」とは、(1)あなたが事業主の施設内にいる(管理下)か事業主の指揮監督下(支配下)にある中で(「業務遂行性」)、(2)仕事とあなたの流産との間に因果関係があること(「業務起因性」)を指します。

     あなたが流産をしたのは勤務中で派遣先の施設内にいる時でしたので(1)の業務遂行性は認められます。しかし、(2)の業務起因性が認められるのかどうかは、個別具体的事情にもよりますので、あなたの実際の勤務状況を存じ上げない段階でお答えすることはできません。

     ただ、一般論としましては、流産は全妊娠の15%に起こるとされ、特に妊娠初期の流産は受精卵の染色体異常によるもの(胎児側の都合)が70%以上であるとされていますので、妊娠4週という極めて初期の段階での流産に、仕事との因果関係を認めることは難しいかもしれませんね。

2015年07月23日

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