パワハラ上司との会話を秘密録音。犯罪になる?

Legalus編集部さん 2014年01月07日

 会社の上司からパワハラといえる言動をされています。



 その証拠となるものがないと立証は難しいと言われますが、証拠として会話を勝手に機械で録音する行為は盗聴もしくはその他犯罪に当たるのでしょうか?



(30代:男性)

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Legalus編集部

     まず、当該録音行為によって犯罪が成立することはありません。



     なぜなら、このような行為を処罰する法律がないからです。



     他人の住居などに無線式の盗聴器を仕掛け、他人のプライバシーを盗み聴く、いわゆる「盗聴」は、電波法違反等の罪によって処罰されるのであり、刑法典に盗聴罪が規定されているわけではありません。



     また、上司と相談者の会話を密かに録音したからと言って、(上記の「盗聴」は別として)刑罰で取り締まらなければならないほどの法益の侵害があるわけではないので、そもそもこのような行為を処罰する法律を設ける必要もないのでしょう。



     

     つぎに、相談文から、相談者は、パワハラを理由に上司に対して損害賠償を求める民事裁判を提起することが想定されているように思われます。



     上司に対する慰謝料請求等の民事訴訟において、上司のパワハラともいえる発言を録音した物は、相談者が訴訟を有利に進めるにあたって、有力な証拠となるでしょう。



     ただし、相手方との会話を相手方に秘密で録音したテープ等は、犯罪が成立するほどではないものの、相手方に秘密であるという点において違法に収集されたものであるために、裁判において利用できない可能性があります。



     この点に関して判断した裁判例があります。



     その裁判例は、その証拠が、著しく反社会的な手段を用いて人の精神的肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴う方法によって採集されたものであるときは、それ自体違法の評価を受け、証拠として採用されないと判示しました(東京高判昭和52年7月15日)。



     その上で、この裁判例は、「話者の同意なくしてなされた録音テープは、通常話者の一般的人格権の侵害となり得ることは明らかであるから、その証拠能力の適否の判定に当っては、その録音の手段方法が著しく反社会的と認められるか否かを基準とすべき」であるとし、酒の席における発言の録音は未だ著しく反社会的な手段方法によるものとはいえないとしました。



     したがって、よほどひどい手段(裁判例によると「著しく反社会的な手段」)を用いて上司との会話を録音しない限り、本件で録音されたテープ等は、相談者が予定されている裁判において利用可能であるといえます。

2014年01月07日

パワハラに強い弁護士

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