やむを得ない事情で雇用契約を解除できる?

Legalus編集部さん 2015年04月21日

 甥が、3月末日までの雇用契約で派遣労働者として働いています。2月の末頃に、派遣元から、4月以降に関し、今の派遣先就業が可能か照会があり、可能である旨を回答しました。3月の初旬に、派遣元から4月以降の派遣就業に関して、就業条件明示書が送付されてきました。

 その後、個人的な事情で4月以降は派遣就業ができなくなり、派遣元に伝えましたが、「雇用契約は既に成立しており、当方は、そちらの回答に基づいて派遣先と4月以降の派遣契約も締結している。今になって、派遣就業できないと言われても困る。」の一点張りです。

 急な話で、派遣元としても困るのは理解できますが、当方の事情があって派遣就業ができなくなった訳で、「どうしても働いてくれ」と言われても応じることができません。

 派遣元にすれば、派遣ができないことによって損害が発生したら請求することもできそうです。

 一旦成立した雇用契約と言えども、解除できないことはないと思いますが、「いつまでであれば」、「どのような理由であれば」可能なのでしょうか?



(50代:男性)

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Legalus編集部

     まず、「いつまでであれば」雇用契約を解除できるかという点について説明をします。これは、甥御さんと派遣元との雇用契約の期間がどのようになっているかで結論が異なります。「期間の定めのない」雇用期間となっている場合には、民法627条1項によって、甥御さんはいつでも派遣元との雇用契約について解約(解除)の申入れをすることができます。ただ、その場合、契約が終了するのは解約の申入れの日から2週間を経過した日となります。



     しかし、完全月給制の場合には、月の前半に申入れをした場合はその月の末日、月の後半に申入れをした場合は翌月の末日に契約終了となります。なお、民法627条3項はいわゆる年俸制での雇用に適用されるものですが、それでも年報を分割して毎月の支払がなされている場合には、完全月給制として扱われるとするのが一般的です。



     次に、「期間の定めのある」雇用期間となっている場合には、民法626条によります。甥御さんは派遣労働者ということですが、その場合の雇用契約は期間の定めのある契約であることが多いようです。

     この期間の定めのある雇用契約においては、その契約期間中、原則として解除することができません。ただし、契約更新を繰り返していて、派遣元との雇用契約が既に5年を超えている場合には、契約の解除をすることができます。ただし、3か月前に予告をすることが必要です。

     期間の定めのある契約で、5年を超えていない場合でも、「やむを得ない事由があるとき」には、契約期間中であっても、例外的に雇用契約を解除することができます(民法628条)。



     次に、「どのような理由であれば」雇用契約を解除することができるのでしょうか。期間の定めのある雇用契約のその契約期間中の解除でない限り、雇用契約を解除することに理由は要りません。つまり、期間の定めのない雇用契約であれば、特段の理由を要することなく、契約を解除することができます。

     甥御さんが当てはまると思われる期間の定めのある雇用契約の場合、上記のように、これを契約期間中に解除する場合には「やむを得ない事由」が必要となります(民法628条)。この事由ですが、労働者側の事由としては、労働者自身が負傷したり疾病にかかったり、両親や子供の療養介護の必要性などがあげられています。結局は、一般人からみて、雇用を継続するのは不合理だと考えられる事由が要求されているといえます。



     最後に、損害についても説明をしておきます。派遣元は損害の請求をすると主張しているようですが、期間の定めのある雇用契約で期間中に「やむを得ない事由」があって解除するとき以外に損害が発生することはありません。

     しかし、甥御さんの場合、期間の定めのある契約で、やむを得ない事由に基づく解除で解除自体が認められるとしても、派遣元に損害が発生すれば、損害賠償金を請求される可能性がないとはいえません。派遣元の損害としては、派遣先から違約金を請求され、それが支払われたなら、その金額となることが多いと思われます。

2015年04月21日

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