問題のある誓約書にサインせずに退職することはできる?

Legalus編集部さん 2015年05月02日

 勤続22年の管理職です。会社を退職する意向を伝えたところ、会社から競業防止に関する誓約書にサインをしないと退職手続をできないと言われて困っております。



 何点か問題点を挙げますと、



  1. この誓約書は、「機密情報」を広範囲に設定し、さらに「それらに限られない」という曖昧な表現で何が機密情報か明確になっておりません。会社側が後からでも指定できる文面です

  2. 誓約書の適用期限が明示されておらず、何年たっても適用される文面です

  3. 賠償責任が、「退職の前後を問わず、前各項に違反した場合、社内規則に従い処罰を受け、また、法的な責任を負担するものであることを確認し、これにより貴社が被った一切の損害を賠償します」という文面です


無限責任を故意過失にかかわらず負わされるような感じです。



 法的に不要であればサインをしたくはない内容なのですが、会社側がこれにサインしないと退職手続を進められないというケースの場合、具体的にどのように対処すべきか教えてください。



(40代:男性)

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Legalus編集部

     ご質問によれば、



    1. 競業防止(避止)に関する誓約書であること

    2. 「機密情報」が設定されている誓約書であること



    が指摘されています。そこで、ご質問からは明らかではないのですが、退職後の競業避止義務負担の契約の問題と退職後の機密情報保持義務負担の契約の問題とがあるように思われます。そこで、その二つに分けて考えていきたいと思います。



     まず、退職後の競業避止義務の問題です。この点につきましては、裁判例があり、概ね、競業の制限が合理的範囲を超え、職業選択の自由等を不当に拘束し、退職後の労働者の生存を脅かす場合には、その制限は公序良俗に反して無効であるとされています。

     そして、合理的範囲を超えるかどうかは、制限の範囲、場所的範囲、制限の対象となる職種の範囲、対象の有無、責任の範囲等々について、会社の利益と労働者の不利益及び社会的利益の視点から総合的に検討されるとしています。

     ご質問の場合、適用期限が明示されていないこと、責任の範囲が不明確であることからして、競業避止義務に関する誓約書は無効となる可能性がかなり高いものと判断できます。



     次に、退職後の機密情報保持義務の問題を考えます。機密情報は営業秘密と呼ばれるものです。この営業秘密については、不正競争防止法2条1項7号により、退職後の労働者にも保持義務が課され、同法3条で差止請求、同法4条で損害賠償責任が定められております。したがって、仮に、会社との間で誓約書を締結しなくても、同法の範囲内で責任を負担することになります。

     では、誓約書での定めはどうであるかといいますと、秘密やノウハウの重要性、在職中の地位、制限期間の長短等々に照らして合理的かどうかが判断されます。



     ご質問の場合、適用期限が明示されていないこと、機密情報(営業秘密)の範囲が広範囲であること、責任の範囲が不明確なことからして、営業秘密保持義務に関する誓約書は無効となる可能性が高いと思われます。

     以上からすれば、会社が求めている誓約書は無効であると思われます。ですから、そのことを会社に説明をして理解してもらうことが必要ではないかと思います。ただ、「会社側がこれにサインをしないと退職手続が進められないというケースの場合」ですが、それは、本来進めなければならない適正な退職手続を進めないというに止まり、会社側に退職手続きを進めなくてよいという法的根拠はまったくありません。したがって、退職手続が不当に遅延した結果、労働者に損害が発生すれば、その賠償を求めることができます。



     したがって、法的手段に訴えても、誓約書にサインすることなく退職手続を進めるべきであると会社に対して主張するか、あくまでも穏便に説得を続けて理解をしてもらうしかないと思われます。

     なお、サインと引き換えに退職金の割増を請求することも、現実にはなされているようです。

2015年05月02日

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