会社費用の留学から帰国後に退職するにあたって学費返還義務が生じるか

User image 1 Hitchhickerさん 2020年10月11日 14時17分

退職に当たっての留学費用の返還義務について質問です。
私は現在メーカー法務部で契約担当をしており、数年前に会社の費用負担で欧州ロースクールへ留学しましたが転職を考えております。
そうした際に留学費用返還義務が発生する(見込みが高い)のかご教示いただきたく。

当該留学の経緯や制度は以下の通りです。
①経緯
・建前としては自由意志であるが、部署として新人は一定の年齢で留学に行かせる慣習がある
・「来年留学はどうか」と上司から何度もいわれ、「自分は英語力が不足しているからもう少し年数たってからの方が」といったが「そんなのは行ってからどうにでもなる」と押し切られた
・留学にあたっての社内決裁・稟議については自身はノータッチで稟議書等もすべて上司が作成(内容は後から「こんなので稟議出した」という事後報告)
・留学先については自身で候補を見繕って上司に承認を得たうえで、出願手続きなどは自身で行った(会社から教授への口利きとかはなし)
・留学先で履修する講義については毎学期事前に上司に業務との関係性含めて説明を行い了承をもらい決定し、毎月講義の報告書は提出する。
②留学制度
・社内に留学の応募制度(主に営業がMBA留学をしたり、研究員が利用する)はあるが、そういった枠は利用せず、単純に業務上の研修等として決裁
・学費及び生活費は会社が支給し、別途給料も振り込まれる。
・五年以内に自己都合で退職した場合・留学先での成績不振の場合に学費の全額OR一部返還請求する場合あり、という社内規定あり。
・ただし当該規定については社内イントラでアクセス可能なものの、留学の話が開始されるにあたって個別にその規定について確認等はされていない
 ※留学先が決定し、決裁も完了した後に留学生用の規定集として手渡されたものにも同様の記述あり。
 ※留学にあたっての誓約書等を交わしたか、そこに費用の記述があったかは記憶にない。

私個人としては実質的に業務命令によるもの、かつ業務との結びつきが非常に強いものであるので、いわゆる業務性が認められて支払い義務は生じないかと考えておりますが、ご意見伺いたくおねがいいたします。

退職時における留学費用の返還の要否については、勤務先における教育訓練や能力開発の一環として業務命令によりじっしする場合には、賠償予定の禁止(労働基準法16条)に抵触し、返還義務は認められないとされます。
これに対し、労働者の自主的な留学に対し使用者が費用を貸与したが、一定期間経過前に退職した場合において、会社からの返還請求が認められた例があります。

本件では、上記の点に照らせば、実質的に業務命令によるとして前者の立場でよいと思われますが、勤務先は後者を主張してくる可能性があります。
勤務先から返還請求がなされた場合における、前者であるとの主張立証に備え、稟議書や報告書、社内規定の写し等の証拠資料を確保しておく必要があるでしょう。

2020年10月12日 13時30分

一般的には,①留学の任意性,②業務性(期間中の報告義務や給与支払等),③終了後の拘束期間などによって総合的に判断されるとされておりますが,最高裁判例が存在するわけではないので,判断自体はやや浮動的なものです。

留学が社員教育の一態様である実態が存在する,現地で業務に従事していた,業務命令が存在する,専攻内容について業務との関連性を求められる,といった事情は有利に働きます。
一方で,本人の希望が強い,報告や課題を課されていない,留学先を自由に選べる,留学内容が汎用性がある,拘束期間が短い,退職が早いなどの事情は不利に働きます。

話だけを聞けば,返還不要である可能性はあると思いますが,規程や誓約書の文言がどうなっているか,そして,おっしゃっていることが証明可能かどうかでも左右はされます。会社に証拠が偏在しているので,漫然と証拠収集せずに退職し,その後体裁を整えられると,こちらの思惑通りの結果にはならない可能性もあります。
また,全額ではなく一部を会社が請求してくるケース(例えば実費相当額のみとか,退職までの年数に応じて請求額を減額するなど)もあります。

以上,ご参考になれば幸いです。

2020年10月12日 14時02分

投稿時の情報です。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。

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