本記事では任意整理のメリットとデメリットを紹介します。私達がリサーチした内容をまとめた本記事を参照していただければ、任意整理がどのように借金問題を解決してくれるかについて理解できるはずです。
また、デメリットにもきちんと触れますので、家族や勤務先などへの影響が気になる人は参考にしてみてください。
任意整理とは?
任意整理とは債務整理の種類の1つで、裁判所を利用せずに金融機関との交渉、和解を行う方法です。
具体的には、次のようなことを行います。
- 債権者(お金を借りた銀行や消費者金融)との減額交渉
- 利息のカット
- 返済期間の交渉
実際に、任意整理を依頼すると、弁護士や司法書士があなたの代わりに借り入れ先と交渉して、利息をなくしたり、月々の返済額を下げてくれるのです。
ちなみに、任意整理は自分だけでもすることは可能です。ですが、実績や知識のない一般人が金融機関に交渉してもまず取り合ってはくれません。必ず専門家に相談する必要があります。
債務整理と聞くと、真っ先に自己破産を思い浮かべる人がいるかもしれません。
しかし実際は、大半の債務経験者が自己破産をさけて、代わりに任意整理を選んで借金問題を解決しています。
任意整理のメリット
任意整理の主なメリットは次の通りです。
- 借金の催促が止まる
- 利息がカットできる
- 月々の支払額が下がる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
(1)借金の催促が止まる
任意整理を弁護士や司法書士に依頼すると、早ければ契約の当日、遅くとも1週間以内には借金の催促がなくなります。
契約が成立した時点で、法律事務所から各債権者に向けて受任通知が発送されますが、この受任通知には特別な法的効果があり、受け取った側は依頼主に催促してはいけないルールになっているためです。なお、ルール違反には罰則も課されますので、効果は強力です。
借金の催促が止まると、それだけで心の平穏が得られますので、精神的な負担がまるで違うのを感じられるでしょう。「なによりも支払いが止まったのが大きかった!」と、任意整理の経験をふりかえる元多重債務者はたくさんいます。
また、過払い金や利息カットばかりに目が行きがちですが、借金支払いストップの効果は、あなどれない任意整理のメリットです。ちなみに、債務整理の費用は借金の催促がストップしている間に、任意整理の費用を分割して法律事務所に支払います。
ただでさえ借金を抱えているのにどうやって費用を支払うの?と疑問に感じる人は多いですが、任意整理の期間中は借金の催促が止まるため、借金の支払いと事務所費用の支払いが重ならないようにできているのです。
(2)利息がカットできる
任意整理終了後の利息(将来利息)がカットされます。「がんばって返済してるのになんで借金が減らないんだ!」と嘆きたくなるのも当然で、カードローンやリボ払いの金利は無慈悲なくらい高いのです。借金がなかなか減らない理由は、単純に利息が邪魔をしているからなのですが、逆にいうと、利息さえなくなれば問題は解決します。
利息がなくなることで、返済がスイスイ進むのを感じられるでしょう。利息がゼロになる結果、返済計画も立てやすくなりますので、霧が晴れたように頭の中身がスッキリするはずです。
また、当然ながら利息がなくなると、完済までの期間も短くなります。
(3)月々の支払額が下がる
任意整理を依頼すると、弁護士や司法書士があなたの借り入れ先と交渉して、収入の範囲内で返済できるよう返済回数を調整してくれます。
どのくらい長期で分割を組めるかは専門家の力量や相手方次第ですが、多くの場合、60回払い(5年払い)の長期分割払いが可能です。
長期分割にすることで、月々の借金の返済額がぐっと下がります。任意整理する以前とくらべて、半分程度の支払額にまでおさえられるケースも珍しくないです。
例えば、毎月の返済額が7万円から4万円に下がったらどうでしょうか、家計の負担がまるで違いますよね。足りない生活費を補うためまたお金を借りるという悪循環からも抜けだせます。なによりも収入の範囲内のなかでやりくりできているという事実が、あなたに自信を与えてくれるはずです。
ただし、利息がゼロになっても返済が継続できなければ意味がありません。利息のカットと長期分割払いの両方が実現できる点が任意整理のメリットで、たくさんの多重債務者が任意整理のおかげで借金地獄から抜けだせています。
任意整理のデメリット
任意整理にはメリットだけでなくデメリットもあります。しかしネットの情報には過度に不安を煽る内容のものであったり、なかには明らかに間違った情報も含まれています。
不正確な情報に惑わされないよう注意しないといけません。
それでは、任意整理のデメリットについて見ていきましょう。
(1)ブラックリストへの登録
任意整理を行うと必ずブラックリスト(信用情報機関)に登録されます。
債務整理でたびたび話題になるブラックリストとは、信用情報機関が管理する信用情報を意味します。信用情報はお金を借り入れている人の返済ステータス。つまり成績表のようなもので、返済能力に疑いのある事実が発覚すると「事故情報」が書き込まれます。
クレジットカードの支払いが滞ったり債務整理をすると、返済能力が怪しい人として事故登録されてしまい、融資にあたって警戒される結果、クレジットカードの審査に通らなくなったり、お金が借りられなくなったりするのです。
任意整理をするからには、この<ブラックリストに登録されることを受け入れる必要があります。もっともブラックリストの影響は一生続くわけではありません。任意整理の場合であれば借金の完済から5年たてば事故登録は抹消されますし、抹消されてしまえば完全に元の生活に戻ります。 信用情報がクリアになればクレジットカードやローンを組んだりもできます。ただし、注意したいのが社内ブラックリストという制度を設けている金融機関です。この社内ブラックリストというのは、信用情報から事故情報が消えたあとでも金融機関内に情報が残っている状態です。社内ブラックリストはすべての金融機関が持っている訳ではありません。 もし、信用情報から事故情報が消えてクレジットカードやローンを組もうとしても組めない場合は、社内ブラックリストが影響している可能性があります(スーパーホワイトと呼ばれる信用情報に何も掲載されていないためことも影響している可能性もあります)。 その場合は、あきらめて他の金融機関でクレジットカードやローンを組むことを検討しましょう。
(2)借金の返済はなくならない
任意整理では自己破産のように借金がゼロ(免責)になるわけではありません。
任意整理のメリットでも紹介しましたが、任意整理では利息がなくなることと、最長60回に分割返済ができるようになるのであって、借金の残高を3~5年支払っていくことになります。したがって、返済のために安定した収入が5年は必要になります。
5年先まで安定した収入が見込めないようであれば、専門家に相談したうえで自己破産や個人再生を検討してみましょう。
(3)任意整理ができない場合がある
任意整理も万能ではなく、状況によっては個人再生や自己破産でないと解決に至らないケースもあります。任意整理にも条件がありますので、任意整理で解決できるかどうかの判断基準について触れておきましょう。
以下のケースでは任意整理ができない可能性があります。
- 返済がゼロ
- 収入が足りてない
- 任意整理に応じない業者が相手
任意整理は手続き終了後に返済していくのが前提です。収入がゼロだったり、抱えている借金の金額に対して収入が低すぎたりすると、任意整理では追いつかず、個人再生や自己破産を視野に入れないといけません。
また、借り入れ先が交渉に応じない業者だと、任意整理での解決は難しいです。任意整理はあくまで交渉による解決に過ぎず、自己破産や個人再生のような法律にもとづいた強制力が無いからです。もっとも任意整理に応じない業者は滅多に存在しないので、さほど心配する必要はありません。
任意整理に応じない業者例
下記は任意整理に応じない業者の一覧です。
- 日本保証
- クレディア
- アペンタクル(旧・ワイド)
- CFJ
- フクホー
特に注意したいのは日本保証です。借りた覚えがなくても、銀行ローンの保証会社が日本保証になっている可能性があります。
任意整理にかかる費用
任意整理にかかる費用は事務所ごとによって異なります。
ここでは一般的な相場についても紹介していますが、詳細を知りたい場合は弁護士や司法書士事務所のホームページをチェックするか、直接問い合わせてみましょう。
(1)任意整理の費用の相場
任意整理の費用の相場は借金をしている金融機関1社あたり5万円~10万円程度です。費用の相場は年々高くなっている傾向にあります。
また、減額報酬や着手金を採用している事務所の場合は、下記の費用が加算されます。
- 着手金1社あたり2~5万円
- 減額報酬1社あたり減額分の10~20%
どこの事務所も採用しているわけではありませんので、費用面で心配な方は各事務所のホームページを確認してみましょう。
(2)任意整理の費用は高い?
借り入れ先の数にもよりますが、個人再生や自己破産にくらべると、任意整理の費用は安いと言えます。また完済までに支払う利息がゼロになるのを考慮すると、法律事務所にいくらかの費用を払ったとしても、トータルではプラスになります。
任意整理の流れと手続きにかかる期間
任意整理にかかる期間はおおむね3か月から6か月です。
手続きの流れは一般の人が想像するよりもシンプルで、弁護士または司法書士との面談さえ終えれば、あとは費用の分割払いをしつつ、事務所からの電話に対応するだけです。
任意整理の流れ
- 弁護士(または司法書士)と面談し、問題なければ正式に契約
- 受任通知が発送され、借金の支払いが一時停止
- 費用の分割払いを続ける
- 費用の支払いが完了次第、借り入れ先との交渉がスタート
- すべての借り入れ先と和解契約を結ぶ
- 和解内容に沿って返済が再開する
任意整理でよくある質問
ここでは、任意整理でよくある質問を紹介しています。
専門家に相談する前にチェックしておきましょう。
(1)任意整理は家族には内緒でできる?
家族に内緒でできるのが任意整理のメリットです。自己破産や個人再生だと同居の家族に内緒にするのは難しいです。
(2)家族に悪影響はでたりする?
家族に悪影響はないです。ブラックリスト(信用情報)の事故登録はあくまで、任意整理をした本人のみが問題になります。
(3)勤務先にバレる?
勤務先にはバレません。ブラックリストは(信用情報)は金融機関のみが閲覧でき、それ以外の第三者は、家族であってものぞき見ることは一切できません。
(3)住宅ローンの借り入れ先から一括請求されるって本当?
住宅ローンは無関係です。一括請求もされません。
ただしカードローンの銀行と住宅ローンの銀行が同一である場合には注意が必要です。
デリケートな部分なので、弁護士や司法書士に相談してください。
(4)任意整理はやばい?しない方がいい?知恵袋の回答の真相
債務整理のトピックに限らず、知恵袋は不必要にデメリットを煽る回答が多いです。
任意整理に対して消極的なコメントも見かけます。なかには任意整理なんてやばいからしない方がいいと脅すコメントもあるかもしれません。
とはいえ、ひと昔にくらべると知恵袋の回答も精度の高い内容が増えているのも事実で、きちんとした根拠にもとづいて債務整理を促している回答者も見かけます。もっとも銀行口座の扱いなど処理の難しいデリケートな部分については、まだまだ情報にバラつきがあり、混乱を招くものもあります。
いずれにせよ身元を確認できない者の回答を信じるのはリスクがあるのではないでしょうか。時間をかけて知恵袋の回答を漁るよりも、弁護士や司法書士の無料相談を利用するほうが確実かつ近道です。
(5)しなければよかったという任意整理経験者の真意は?
2ちゃんねる(5ちゃんねる)やTwitterなど、ネット上では債務整理をしなければよかったという意見を見かける機会があります。後悔の理由はいろいろですが、最も多いパターンがブラックリストの影響で生活が不便になったという内容です。
真意はその人にしか分かりません。本当に後悔しているかもしれませんし、もしかしたらトータルでは任意整理の結果に満足しているけれども、それでもやはり不便は感じるという、愚痴程度に過ぎない可能性もあります。
いずれにしても任意整理をするのであれば、デメリットも理解しておく必要はあるでしょう。
(6)任意整理ができるか・できないかの判断基準は?
任意整理をしたい借金の合計金額を60(回)で割ってみてください。
割ったあとの金額が任意整理をしたあとの返済予定額です。合計金額が300万円なら、毎月5万円を支払っていけるかが、任意整理で解決できるかの一つの目安です。
ただし、60(回)は目安であって相手業者によって分割回数は変わります。
(7)任意整理をしてもクレジットカードが使えるって本当?
任意整理後もクレジットカードを使えるかいなかはケースバイケースです。
任意整理の手続き対象になったクレジットカードは100%使えなくなると思ってください。問題はそれ以外のカードです。任意整理は手続きするカードを自由に選べますので、任意整理の対象から外したクレジットカードはそのまま使い続けられる余地があります。もっとも信用情報に事故登録がされる関係で、任意整理から外したカードもいずれ利用停止に追いやられる可能性はあります。
(8)債務整理をする人間はダメ人間?
借金に悩む人には真面目な性格の方が多く、ダメ人間なんじゃないかと自分を責めたり、家族への影響を心配したりする傾向があります。任意整理を視野に入れて、借金に向き合おうとしている時点でダメ人間なんかではありません。
(9)任意整理をすると人生終わり?
任意整理で人生は終わりません。むしろ人生の再スタートのきっかけになります。
そもそも任意整理をした事実は外部に漏れないようになっています。家族に内緒のまま手続きできますし、ましてや勤務先にバレるなんて心配は無用です。
ブラックリストの影響で、お金の借り入れが難しくなったり、クレジットカードの審査が通らなくなるデメリットも一時的には生じますが、その影響も時間がたてば元に戻ります。任意整理はおろか、自己破産をしたとしても、人生が終わりなんてことはないです。
(10)任意整理は家族に迷惑がかかる?
任意整理の事実は家族に漏れないようになっています。家族に内緒のまま借金の問題を解決できるのも任意整理のメリットです。家族が保証人になっている借り入れを任意整理に含めてしまえば、たしかに迷惑をかけてしまいますが、該当する借り入れだけ任意整理の対象から外してしまえば済む話です。
なおブラックリストの影響はあくまで本人にしか及ばず、家族には無関係です。妻が任意整理をしたからといって、夫のクレジットカードが止まるなんて事態は起きません。
まとめ
任意整理のメリットとデメリットについて紹介しました。任意整理は自己破産や個人再生のように自宅や財産を手放すようなリスクがなく、それでいて効果の大きい・使い勝手のよい借金解決方法です。
任意整理後はブラックリストへの登録などのデメリットもありますが、それも時間が経過すれば解消される程度のものです。デメリットを過度に気にしすぎて、任意整理での解決が手遅れになってしまう人もいます。まずは弁護士や司法書士への無料相談をおすすめします。