薬害・副作用

薬の副作用で深刻な健康被害!そんな時に受けられる補償制度とは
薬が人類にもたらした恩恵は計り知れません。しかし残念なことに、つくられた薬に問題があったために、また使い方を誤ったために、人体に深刻な打撃を与えてしまった例が後をたっていないことも事実です。
ここでは、薬の利用者(患者)の立場から、薬剤をめぐるリスクにはどのようなものがあり、どの場面でどんなポイントに注意すべきか、明らかにしていきます。
副作用の定義は学術的には難しいですが、おおむね「薬物の使用によって生じる良くない作用」と考えればいいでしょう。薬には、必ずといっていいほど何らかの副作用があります。
医師は、その副作用の存在を知ったうえで、患者の身体の個性、各薬剤の効能、そして副作用によるリスクの三者を突き合わせて、最適な薬と投与法(量や期間)を選択(処方)するわけです。
何らかの意味でその薬に起因し、人体に対して意図通りではないダメージを与えてしまったとき、それが薬剤事故です。そして医療側に責任が認められれば、それは薬剤「過誤」になります。薬害は、或る薬の投与を通して、少なくない患者に同様の事故が生じてしまい、社会的な問題に発展してしまう場合で、著名なクロロキン訴訟をはじめ、これまで何度となく深刻な薬害が起きました。
病気を治したり軽くしたりするように、薬の良い働きを「主作用」と呼ぶのに対して、眠くなることなど本来の目的以外の働きを「副作用」と呼んでいます。
薬を服用する際に副作用から身を守るためには何が必要でしょうか。
- 用法・用量を必ず守る
「早く治したいからもう1錠」などの自己判断は厳禁です。他の人が病院でもらった薬はもってのほか。自分の薬であっても、以前もらった薬を「病状が似ているから」といって使うのもやめましょう。 - 医師・薬剤師に伝える
お薬手帳や初回質問票を利用しながら、自分の体質や病状、副作用の経験、服用中の薬などの情報を事前に医師・薬剤師に伝えましょう。 - 自分の薬を知る
一緒に飲んではいけない薬や食べ物について薬剤師からしっかり聞きましょう。薬局がお薬と一緒にお渡しする説明書には副作用の記載もあります。
注意事項も守って、医薬品を適正に使用したはずなのに、副作用で重い被害を受けてしまった…。そんな場合に、医療費や年金などの給付を迅速に行う公的な制度が、医薬品副作用被害救済制度です。→http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai_camp/
この制度は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づいて平成16年4月1日に設立された、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA;Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)が運営している救済制度です。
副作用が人体に害をもたらしたことを法的に追及したい場合は、端的に訴訟を起こすことが考えられますが、それでは賠償責任を追及することがとても難しく、また多大の労力と時間を費やさなければならないことなどを考慮して、この制度は被害者の迅速な救済を図ることを目的として設立されました。
ただ被害の程度が、入院を要するほどの疾病か、日常生活が著しく制限されるほどの障害、または死亡の場合に限定されている点に注意が必要です。そして次の場合は救済の対象にはなりません。
しかし、これらの場合はあくまでこの救済制度で対象にならないだけで、訴訟などの法的な手段においても対象にならない、という意味ではありませんので、誤解しないで下さい。具体的に自分の事例が対象になるかならないかは、PMDAに直接質問するなどして確認するとよいでしょう。→フリーダイヤル0120-149-931
救済を受けるための手続き・注意点医薬品副作用被害救済制度を含め、ここで薬の害を受けた際の救済の方法や手続き、注意点などをまとめてみます。
まず被害のパターンに応じて、主に以下のように救済の方法が分かれます。
このうち、訴訟などの法的手段を利用する場合は通常の損害賠償請求と同様の手続きになります。本人訴訟でも形式的には可能ですが、貸金などのように単純なケースではありませんから、最初から弁護士に相談することをお薦めします。
医薬品副作用被害救済制度の流れは以下のようになっています。
1給付請求→2判定の申し出→3諮問→4答申→5判定結果通知→6決定通知給付(→7判定に不服の場合、審査申立て)
薬をめぐるトラブルは医療事故以上に身近にあるといっていいでしょう。事前の段階では、処方通りに服用するのをはじめ、ルールを守った使い方をして事故が起こらないようにすること、事故が起きてしまったら、すぐに関係機関に連絡を取り、情報を開示してもらって真相を解明し、医薬品副作用被害救済制度などの手続きをとることが大切です。
- 法定予防接種を受けたことによるものである場合
- 医薬品等の製造販売業者などに損害賠償の責任が明らかな場合
- 救命のためやむを得ず通常の使用量を超えて医薬品等を使用したことによる健康被害
- がんその他の特殊疾病に使用される医薬品等で厚生労働大臣の指定するもの等による場合
- 医薬品等の副作用のうち軽度な健康被害や医薬品等の不適正な使用によるもの等である場合
- 副作用や障害の程度が軽い場合や請求期限が経過した場合
- 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会で給付の対象にならないと判定された場合
- 軽度の被害 →訴訟などの法的手段を利用する
- 薬自体に原因がある場合 →訴訟などの法的手段を利用する
- 被害が重度でかつ処方や服用に原因があると思われる場合
- →医薬品副作用被害救済制度を利用する
- →訴訟などの法的手段を利用する
- 給付請求:まず請求書、診断書などの書類を揃えて郵送します。書類の様式は医薬品医療機器総合機構(PMDA)のウェブサイトでダウンロードできますが、同機構相談窓口に問い合わせすれば送ってもらえます。なお、給付の種類によって、請求の期限、請求できる人、請求に必要な書類などが細かく異なってきますので、必ず事前に確認しましょう。
- 判定の申し出:PMDAが厚生労働大臣に判定をしてもらうよう申し出ます。
- 諮問:厚労相は薬事・食品衛生審議会に審議を諮問します。
- 答申:審議会は審議を行い、その結果を厚労相に答申します。
- 判定結果通知:厚労相は判定結果をPMDAに通知します。
- PMDAは、厚労相による医学・薬学的判定に基づいて給付の支給の可否を決定し、結果を本人に伝え、結果が「支給する」だったときは給付をします。結果が出るまでの期間は事案によりますが、7~8か月程度かかることが多いようです。
- 審査申立て:不支給決定を受けたけれど不服だ、という場合、厚労相に対して審査を申し立てることができます。
参考コンテンツ:
悪魔のくじ引き
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