弁護士コラム

隣地の使用権

[投稿日] 2018年03月07日 [最終更新日] 2018年03月07日
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吉川 法生 弁護士 弁護士法人大手前法律事務所

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Q.自宅2階の外壁を補修する工事を考えています。その工事には、どうしても隣家の敷地に足場を組む必要があるのですが、隣家の方の承諾をいただけません。どうしたらいいのでしょうか。

 

A.民法209条には、「土地の所有者は、境界又はその付近において障壁及び建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求できる」と定められています。

  この規定では、障壁(塀や壁のことです)・建物の築造・修繕となっていますが、これはこれらの場合に限ってのことなのか、例示にすぎないのかが問題となります。この点に関しましては、建物以外の工作物(電線・水道管・下水管・ガス管・排水溝・電話線・エアコンの機械等)や樹木を境界線付近に配置する場合も、隣地の使用を認めるのが合理的だと考えられますので、例示であると考えられています。

 

  次に、建物の築造や修繕等に必要な範囲内かどうかですが、これは両当事者間の諸般の事情を考慮して決めるとされています。諸般の事情としては、工事の規範、社会的価値、緊急性、隣地の利用状況及び受ける損害の性質と程度、他に可能な方法があるかなどが考えられます。この意味で、自己の土地内で工事ができる場合は、そのための費用が多くかかるとしても、原則として認められません。

 

では、本問のように隣人が立入りを承諾してくれない場合、どうしたらいいでしょうか。

その場合は、裁判所に訴訟を提起して、承諾に代わる判決を求めることになります。このような訴訟類型は、他に、借地権の譲渡を地主が認めてくれない場合に裁判所が地主の承諾に代わるわる許可を与えることができるというものなどがあります。なお、裁判の相手方は、現に隣地を使用している土地所有者や借地人です。

 

  隣地使用の方法は、単に立入りだけでなく、足場を組んだり、材料を一時置いたり、容易に原状を回復できる程度であれば、穴を掘ることも可能です。ただし、土盛を崩したり、樹木を伐採したりといった場合は、隣地に損害を与える可能性がありますので、原則として認められないと考えられます。

 

  ただし、隣の「家」に立入るには、現に居住している隣人の承諾が必要であり(民法209条1項但書)、承諾が得られない場合は、判決をもって承諾に代えることはできないとするのが通説です。

 

  なお、隣地が使用され、もしくは立ち入りがなされることで、隣人が損害をこうむったときは、隣人は、補償金の支払いを請求できるとされています(民法209条第2項)。

 

吉川 法生 弁護士

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相続 離婚・男女 交通事故
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