弁護士コラム

婚姻費用の分担

[投稿日] 2018年04月27日 [最終更新日] 2018年04月27日
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吉川 法生 弁護士 弁護士法人大手前法律事務所

【税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士と連携】解決内容を納得していただけるようなご説明と打ち合わせを心がけています

Q.2ヶ月前、突然、夫が離婚したいといって家を出て行きました。それまでは、毎月、夫の給与が振り込まれる通帳は私が管理し、キャッシュカードで生活費を出金して使っていました。しかし、夫の別居後、私の持っているキャッシュカードは使えなくなり、銀行の届出印も改印され、収入が途絶えました。このままでは、10歳と7歳の子どもとの生活もままなりません。どうしたらいいでしょうか。

 

 夫婦が共同生活を営み、未成熟の子どもを養育していくには、いろいろな費用を要します。生活費、医療費、交際費など日常的な支出のほか、一時的な支出、子どもの出産費、教育費などがかかります。このような婚姻生活から生じる費用を婚姻費用といいますが、この婚姻費用については夫婦が分担をしなければならないとされています(民法760条)。夫婦関係が円満であれば、婚姻費用の分担については、それほど問題になることはないのですが、夫婦が別居状態になった場合、問題となってきます。

 

 婚姻している夫婦は、互いに協力、扶助しなければならないと定められています(民法752条)。このことを夫婦の協力・扶助義務といいますが、これは、婚姻が破綻している、あるいは別居状態にある場合でも、離婚しない限り失われることがないというのが一般的な考え方です。

したがいまして、本件のような別居状態にあっても、婚姻は法律上継続していますので、婚姻費用の分担義務(本件では、夫の義務)はなくなることはないと考えられます。

 

では、分担の程度はどのようなものになるのでしょうか。それは、自己の生活に余裕のある場合に生活費を援助するという意味の親族間の扶養(生活扶助の義務)ではなく、相手方の生活を自己の生活と同様の水準の生活を保持することが必要とされています(生活保持の義務)。

具体的な分担額につきましては、当事者間で協議がでなされるなどしてお互いが納得する金額であれば問題ないのですが、本件のように、全く払ってこない場合、あるいは、支払ってきたとしても少額で納得できないという場合などは、家庭裁判所に婚姻費用の分担を求める調停を申し立てることになります。分担額は、夫婦の資産、収入、その他一切の事情が考慮されます。すなわち、夫や妻の労働能力、収入の有無、程度、子どもの教育をどちらがするかということ、さらに、別居にいたった理由などの一切の事情が考慮されることになります。もっとも、調停で婚姻費用の金額についての協議がまとまらなければ、手続は審判に移行し、家庭裁判所は、具体的な事案について、以上の諸事情を斟酌のうえ、いくつかの算定方式を取り入れるなどして婚姻費用を算出して決定をくだします。

なお、現在では、裁判所のホームページに「養育費・婚姻費用算定表」が掲載されています。そこには、子どもの数や年齢、夫婦双方の収入に応じた婚姻費用がグラフで表示されており、概ねその枠内の金額で決定がなされることが多いようです。

吉川 法生 弁護士

注力分野
相続 離婚・男女 交通事故
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  • Icon 3女性スタッフ在籍
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