弁護士コラム

マイカー通勤中の事故に関する被害者への損害倍書責任

[投稿日] 2018年06月09日 [最終更新日] 2018年06月09日
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吉川 法生 弁護士 弁護士法人大手前法律事務所

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Q.会社の従業員がマイカーで通勤中に事故を起こしてしまいました。会社も被害者に対して損害の賠償責任を負うのでしょうか。

 

 

A.民法では、その715条に「使用者責任」という規定があります。これは会社で言いますと、従業員が事業の執行について、第三者に違法に損害を与えた場合、使用者は責任を負うというものです。

  この責任の根拠は、使用者が従業員を使用することによって自己の活動範囲を拡張し、利益を得る可能性が増えることから、この利益を得る過程で従業員が第三者に損害を与えた場合も、使用者が責任を負うのが公平であるとの考え方にあります。

 

それでは、使用者が責任を負う場合の要件について考えてみます。

まず、使用者と事故を起こした人との間に「或事業のために他人を使用する」関係が必要です。雇用関係がある場合は当然ですが、名目がどうであれ、実質的に一方が他方を指導監督して仕事をさせる関係があればよいとされています。

次に、従業員の起こした事故が「事業の執行」について起きたことが必要です。運送会社に勤務する人が、仕事中に事故を起こした場合などが典型例です。

こうした要件が満たされれば、従業員が交通事故を起こした場合、会社は使用者責任を負うことになります。

 

では、本件のように仕事中ではなく、仕事をするための通勤中に起きた事故の場合はどうでしょうか。

この場合も、事業の執行につきなされかどうかが問題となります。マイカーによる通勤の場合、裁判例ではマイカーでの通勤を容認、助長していたかどうかを判断材料としているものが多くみられます。従いまして、まず、従業員の所有車が日頃会社の業務に使用されることがなく、従業員がもっぱら事故の通勤の便宜のためにのみ自動車を利用しているような場合には、会社の責任が認められるということはないといってよいでしょう。また、会社がマイカーの利用を禁止していて、かつ、マイカー利用を容認しているといった事実がなければ、会社は責任を負わないと考えられます。

他方、会社の業務利用の形態や程度からみて、事故車と会社業務との関連が密接に認められ、その存在が少なくともその通勤時間中は日常的ないし継続的に会社の営業活動・営業組織の中に組み込まれているとみられるような関係がある場合には、例外的に会社の責任が認められるでしょう。また、使用者が従業員に対してマイカーを利用して通勤することを指図し、少なくとも、マイカー通勤することについて積極的に便宜をはかっている場合も、会社も責任を負うことになるでしょう。

例えば、会社がマイカー通勤することを前提として、加害車両の運転手に月学数千円の通勤手当を支給しているケースでは、会社がマイカー通勤を積極的に容認していたことが認められるとして、会社の責任を認めた判例があります。

 

このように、会社の態度も含め、個々のケースについて総合的に検討して、会社の責任の有無が判断されることになります。

吉川 法生 弁護士

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