弁護士コラム

遺留分の放棄

[投稿日] 2018年07月27日 [最終更新日] 2018年07月27日

Q.私には3人の子がいます。主人は10年前に亡くなっています。
  長男は若い時から借金を繰り返し、その都度、私が尻拭いをしてきました。尻拭いする度に、長男はこれを最後にするというのですが、結局は同じことの繰り返しです。
  主人名義の不動産を処分しましたし、今残っているのは私の預金だ けです。これは、長男以外の2人の子に残したいと思っています。長男は、今は相続分はいらないと言っていますが、いつ自分もほしいと言い出すかわかりません。
何かいい方法はないでしょうか。
 

A.あなたが亡くなった場合、3人のお子さんが相続人になります。
これまでの行状があってか、現在、長男さんはあなたの遺産を相続しなくてもいいというようなことを言っているようですが、現在の法制度では相続分の事前放棄、すなわち被相続人となるあなたが亡くなる前に、将来の相続人が相続分はいらないという手続をすることはできません。

  しかし、「遺留分の放棄」という方法により、長男さんに相続させないという方法はあります。
  遺留分というのは、相続が開始した時に一定範囲の相続人が被相続人の財産の一定割合を確保できる地位のことを言います。本件では、被相続人、本件ではあなたが、長男を除く2人に遺産を相続させ、長男には一切相続させない旨の遺言を作成した場合、長男に一定割合を相続させるための制度です。
この遺留分は、相続開始後1年以内にその権利を行使すること(遺留分減殺請求といいます)が必要ですので、この権利を行使しなければ、この権利は時効により消滅します。しかし、今はいらないと言っている長男さんの気持ちは変わるかもしれません。

この遺留分を事前放棄することは認められています。これが遺留分の相続開始前の放棄という制度です(民法1043条)。
ただ、これを無制約に許しますと、被相続人が相続人を威圧するなどして放棄を強要することも考えられますので、家庭裁判所の許可を得る必要があるとなっています。
従いまして、本件の場合、あなたが長男以外の2人のお子さんに遺産を相続させる旨の遺言を作成するとともに、長男が遺留分を事前に放棄する旨の申立を家庭裁判所に行い、裁判所がこれを許可すれば、あなたの遺産を長男を除く2人のお子さんが相続することが可能になります。
もっとも、家庭裁判所は、放棄するという者の放棄の意思を確認するだけではなく、放棄が客観的かつ合理的に妥当なものかどうかについて、諸般の事情を慎重に考慮検討して判断することになります。

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