弁護士コラム

痴呆が進んだ母親の財産管理

[投稿日] 2018年09月14日 [最終更新日] 2018年09月14日
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吉川 法生 弁護士 弁護士法人大手前法律事務所

【税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士と連携】解決内容を納得していただけるようなご説明と打ち合わせを心がけています

Q.最近、母の痴呆が進んできました。父は既に亡くなっています。
その母は買い物などに行っても、おつりの概念もあやしくなってきています。長女の私が母の財産を管理するために、家庭裁判所に法定後見を申立てることができると聞きました。
法定後見とは、どういう制度でしょうか。
 

A.成年後見制度とは、精神上の障害により判断能力がないか不十分なため法律行為を行う意思決定が困難な方々について、それを補う制度です。この制度は、判断能力の不十分な方々の生命、身体、財産等を擁護することが目的です。
この後見制度は、法定後見制度と任意後見制度に大別されます。このうちの法定後見制度は法律による後見の制度で、対象となるのは判断能力が不十分な方々(痴呆症・知的障害をもった方・精神障害をもった方等)で、申立ての対象となるご本人の精神状態によって、後見、保佐、補助という3つの類型に分かれます。

 まず、「後見」は、痴呆症などの精神上の障害により判断能力を欠く常況にある方(日常的な買い物も自分ではできず、日常的な事柄が分からなくなっている方等)を保護の対象とします。
 ここで言う判断能力を欠く常況とは、通常は判断能力を欠く状況にあるという意味であり、一時的に意思能力を回復することがあっても、大部分の時間において判断能力がないのであれば、判断能力を欠く常況にあると考えられます。
 次に「保佐」は、痴呆症などの精神上の障害のより判断能力が著しく不十分な方(日常的な買い物程度は自分でできるが、たとえば、不動産の処分のような重要な財産行為は自分では適切にできないという程度の方)を保護の対象とします。
 最後に「補助」は、軽度の痴呆症などの精神上の障害により、判断能力が不十分な方(重要な財産行為について、自分でできるかもしれないが、適切にできるかどうか危惧があるので、だれかに代わりにしてもらったほうがよいという程度の方)を保護の対象とします。

 本件では、日常の買い物もできなくなってきているようですので、あなたは家庭裁判所に対し、お母さんの後見人を選任してほしいという申立をすることができます。そして、裁判所は、申立書に添付した医師の診断書、申立後に行われることもある医師の鑑定や家庭裁判所調査官の調査などを検討の上、ご本人の判断能力がどの類型に該当するかを判断します。

 それでは、家庭裁判所によって選任された後見人等は、各々どのような権限をもつことになるのでしょうか。
「後見」では、成年後見人が財産的な行為について全面的に本人を代理する権限と財産を管理する権限を持ち、本人がした法的行為についての取消権を持ちます。
 「保佐」では、不動産の売買などの民法12条1項に定められた重要な行為等について、保佐人の同意を要し、同意なく本人がした場合は取消すことができます(取消権)。また、これと併せて代理権付与の審判を、別途に申立てることにより、審判により定められた特定の行為について保佐人に代理権を与えることができます。
 「補助」では、同意権付与の審判を申し立てて、特定の行為については本人がするには補助人の同意を要するもの(同意権)とし、同意なく本人がした場合は取消すことができます(取消権)。また、上記と併せて代理権付与の審判を、別途に申し立てて、審判により付与された特定の行為について補助人に代理権を与えることができます。
 このように代理権、同意権、取消権を成年後見人などに付与することで、ご本人の利益を図ることにしています。

  なお、成年後見人(後見人、保佐人、補助人)になるには、本人の親族に限るというわけでもなく、特別になんらかの資格が必要とされるわけではありませんが、配偶者(本件では、お亡くなりになっていますが)等の親族が選任されることが多いでしょう。
  他方、ご本人の財産の管理をめぐって親族間に激しい対立があるような場合は、弁護士などの中立的な立場にある者が選任されることもあります。

吉川 法生 弁護士

注力分野
相続 離婚・男女 交通事故
  • Icon 1法テラス利用可
  • Icon 1当日相談可
  • Icon 4夜間相談可(18時以降)
  • Icon 3女性スタッフ在籍
【税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士と連携】解決内容を納得していただけるようなご説明と打ち合わせを心がけています

コラムの内容は更新時のものであり、最新の情報と異なることがあります。

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