弁護士コラム

マンション管理費債権の放棄に区分所有者全員の同意を要するか

[投稿日] 2017年09月03日 [最終更新日] 2017年09月03日
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影山 博英 影山法律事務所

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管理組合から管理費債権の放棄について区分所有者全員の同意が必要なのかというご相談を受けることがあります。
私は、全員の同意は必要ないが、規約に放棄に関する規定がない場合には、放棄を可能としてその手続きを定める規約改正を行い、規約に基づいて放棄の手続きをとればよいと答えています。

この点、世間では区分所有者全員の同意が必要であるとする見解がまことしやかに流布されているようですが、合理的な根拠があるとは思えません。

たとえば、『コンメンタールマンション標準管理規約』(稻本洋之助他編・日本評論社・2012年刊)には、「区分所有法上、管理組合は、建物並びにその敷地および附属施設を適正に管理することを目的としているので、管理組合の業務の範囲は管理行為に限られ、債権放棄のような処分行為はできない」という見解が紹介されています(213~214頁)。
たしかに管理組合は法律上、「建物並びにその敷地および附属施設の管理を行うため」の団体と位置付けられています(区分所有法3条1項)。したがって、管理組合が「建物並びにその敷地および附属施設」の処分行為を行うことは出来ません。
しかし、「建物並びにその敷地および附属施設の管理」のために必要な範囲で財産を取得し、管理し、そして必要に応じて処分することは、当然に法律が予定していることです。
そうでなくて、上記の見解のようにあらゆる財産について「処分行為」に該当する以上は管理組合においてこれを行うことが出来ないと解するなら、たとえば「定期預金を解約して払戻しを受け、火災保険を契約して保険料を払い込む」といった行為も許されないことになってしまいます。それは、その必要もないのに極めて非常識で不都合な解釈を取るものであり、到底賛同できません。

コラムの内容は更新時のものであり、最新の情報と異なることがあります。

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