弁護士コラム

騙してお金を借りる行為と免責の可否

[投稿日] 2017年11月13日 [最終更新日] 2017年11月13日

「人を騙してお金を借りたことがある人は破産できない」とお聞きになったことがあるでしょうか。
破産法は、免責不許可事由の1つとして「詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと」を挙げています(破産法252条1項5号)。人を騙してお金を借りていると、この免責不許可事由に該当し、破産をしても免責の決定を得られないこととなる場合があります。自己破産をする主たる目的は免責を得るためであるところ、免責を得られないなら自己破産をする意味が無いですから、「破産できない」と言われるわけです。

ただ、多額の借金を抱えて相談に来られた方からお話を伺うと、いわゆる自転車操業状態となった後、何とか新たな借入れをして返済を継続しようとして、たとえば会社を退職して失業中なのに現在も在籍しているように偽ったり、他社からの借入額を少なく申告したりしてしまったという話を聞くことが少なくありません。そのような人は、もう破産してやり直すことはできなくなるのでしょうか。

実際には、そうではありません。
まず、免責不許可事由があったとしても、裁量により免責を受ける可能がありますし(破産法252条2項)、免責不許可事由があっても、多くの場合、実際には免責は許可されています。
免責不許可事由に該当しそうな事情があっても、正直に裁判所に報告し、反省していることを理解してもらえるようにすることが大切です。

また、見落とされがちなことですが、そもそも免責不許可事由となる「詐術」は、「破産手続開始の申立てがあった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間」に行われたものに限ります。
すなわち、「詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと」があったとしても、その後1年を経過した日以降に破産申立てを行えば、その「詐術」はもはや免責不許可事由には該当しません。その場合、裁量免責の問題にすらなりません。他に免責不許可事由がなければ、裁判所は、「免責許可の決定をする」ことが必要的となります(破産法252条1項柱書)。

仮に、借金の申込みにあたって嘘を付いてしまったことがある方であっても、それだけで直ちに破産申立てを債務整理の選択肢から外す必要はありません。
破産法に精通した弁護士に相談し、適切な選択をなさってください。

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影山 博英 弁護士

取扱分野
労働 借金・債務整理 不動産・建築

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