弁護士コラム

借金と財産分与

[投稿日] 2018年04月15日 [最終更新日] 2018年04月15日

不動産や預貯金等の積極財産の他に、夫(もしくは妻)名義の借金(消極財産)がある場合、借金は財産分与において考慮されるのでしょうか?

夫(もしくは妻)が、ギャンブルや浪費等で独自に作った借金は、原則として考慮されません。夫(もしくは妻)が、両親等から相続により引き継いだ借金も同様です。しかし、生活費や子どもの学費、医療費等、夫婦共同生活に必要な費用の借金については、財産分与にあたって考慮されます。

では、夫婦共同生活の中で生じた借金は、財産分与にあたってどのように考慮されるのでしょうか?

東京地方裁判所平成11年9月3日判決においては、夫と妻それぞれに、借金をしたことで利益を受けた程度に応じて、借金を負担させることができるとし、「その負担割合については、財産形成に対する寄与の場合と同様、特段の事情のない限り、平等と解すべきである。」としています。要するに、借金も、財産と同じく、離婚時には半々に分けるのが原則ということです。

上記の判決の事例においては、夫が主導してホテルの部屋やゴルフ会員権を購入し、そのために借金ができたものですが、その目的が、夫婦共同生活における節税あるいは利殖のためと考えられ、ホテルの部屋やゴルフ会員権について、夫と妻の双方が平等に取得することに合意していることから、借金の負担割合も平等としています。

一方、妻が夫に無断でサラ金等から借金を重ね、多額の借金を負ったという事例(東京家庭裁判所昭和61年6月13日審判)においては、家計に無関心であった夫にも責任はあるものの、妻の責任の方が大きいとして、妻の責任の割合7に対し、夫の責任を3とし、借金の7割については妻が責任を負うべきとしています。

この事例では、借金は家計に使われたものと思われますが、妻が、サラ金等から借金をしなければ生活がなりたっていかないというような説明はおろか、家計が苦しいということも夫に説明せず、夫に無断で漫然と借金を重ねたということが理由となっています。夫婦の共同生活の中で生じた借金であっても、必ずしも半分ずつの負担ではなく、借金をすることとなった原因に対する責任の度合いによって、負担割合が変わることもあるということです。

それでは、借金の額の方が、資産の額よりも多い場合には、どうなるのでしょうか?

借金の額の方が資産の額よりも多い場合に、借金のみについて財産分与をするということは、裁判実務ではあまり行われていないようです。それは、仮に裁判所が、夫(もしくは妻)名義の借金の半分を妻(もしくは夫)が負担すべきとの判決を出したとしても、債権者との関係では効力がないからだと思われます。例えば、夫(もしくは妻)名義で銀行から借り入れをしていれば、妻(もしくは夫)が裁判所で決められた自分の負担分の借金を支払わない場合であっても、銀行に対しての関係で支払い義務を負うのは、あくまでも名義人である夫(もしくは妻)の方ということになります。

このことは、協議離婚で借金の負担を定める場合においても、気を付けておかなければならない点です。離婚時に、借金を半分ずつ負担する合意をしても、借金の名義が自分であれば、相手方が支払わない場合、最終的には自分が債権者から全額請求されることになりますので、ご注意ください!

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田中 史子 弁護士

取扱分野
離婚・男女 民事・その他 裁判・法的手続

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