弁護士コラム

住宅ローン付不動産の財産分与

[投稿日] 2018年04月16日 [最終更新日] 2018年04月16日

離婚時、夫もしくは妻の名義の不動産があるが、住宅ローンを支払い中の場合、どのように財産分与したらよいのでしょうか。

婚姻に基づく同居期間中に購入した不動産は、夫名義であると、妻名義であるとを問わず、原則として、実質的に夫婦共有財産であると考えられます。但し、夫もしくは妻の結婚前からの貯金や、親族からの援助により、相当額の頭金を支払っていたり、繰り上げ返済をしている場合は、その割合を控除した部分のみが財産分与の対象とされることがあります。

不動産の価値が、住宅ローンの残額より高く、離婚にあたって、不動産を売却する場合は、処理は比較的簡単です。

不動産売却代金から住宅ローン残高および諸経費(仲介手数料等)を控除した上で、残りのお金を、それぞれの住宅ローン返済に対する貢献の度合いに応じて分けることになります。特段の事情のない限り、通常は、夫婦が平等な割合で住宅ローン返済に貢献していると考えられ、2分の1を財産分与することになります。

では、不動産の価格が住宅ローンの残額よりも高い場合で、夫婦の一方が不動産の取得を希望している場合、どのように処理すればよいでしょうか。

この場合は、不動産の価格(通常は時価)から住宅ローン残高を控除した金額を財産分与の対象とし、不動産を取得する方が相手方に清算金を支払うことになります。例えば、不動産の価格が2000万円で、住宅ローンが残り1000万円であれば、差額の1000万円が財産分与の対象となります。夫(もしくは妻)が不動産を取得する場合であれば、この半分の500万円を清算金として妻(もしくは夫)に支払い、不動産のローンはその後も夫(もしくは妻)が支払っていくことになります。但し、不動産と住宅ローンの名義が夫(もしくは妻)である場合に、妻(もしくは夫)が不動産を取得して住宅ローンの残金を支払っていくという場合には、住宅ローンの債権者(銀行等)との調整が必要となるので、注意が必要です。

なお、不動産の「時価」というのは、本当のところは実際に売ってみなければわかりません。ただ、売却せずに精算する場合には、「時価」を評価しなければ計算できません。

不動産鑑定士に不動産の価値を査定してもらうのが最も正確ですが、鑑定料はある程度高額になり、それを当事者が負担しなければならないので、通常は不動産業者に依頼して、査定書を作成してもらっています。夫(もしくは妻)が提出した査定書の額について、妻(もしくは夫)が合意すれば、その額を基準として話を進めればよいのですが、査定額に争いがある場合は問題です。裁判では、夫と妻とが、それぞれ違う金額の査定書を提出した場合、二つの査定額の中間の金額を基準とすることもあります。あくまで「今、売却したとすればいくらになるのか。」という仮定の話なので、金額にある程度の幅が出てくることは仕方ないですね。

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田中 史子 弁護士

取扱分野
離婚・男女 民事・その他 裁判・法的手続

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