弁護士コラム

オーバーローン不動産の財産分与

[投稿日] 2018年04月18日 [最終更新日] 2018年04月18日
夫婦が離婚する際、オーバーローン(不動産を売却しても、残ローンが払いきれない場合)の不動産を所有していると、問題が複雑になります。

この点、夫に多額の住宅ローンの支払いが残る事例において、支払利息を控除した元金充当分の合計額を不動産の実質的価値とみて、その合計額の2分の1の金額の財産分与を命じた判例もあります(名古屋高裁金沢支部昭和60年9月5日決定)。しかし、これでは、住宅購入から年数が経っていればいるほど、自宅の価値が高くなっていくことになってしまい、経年劣化により、自宅の価値は下がることと矛盾しますね。

これに対し、東京高裁平成10年3月13日決定では、「夫婦の協力によって住宅ローンの一部を返済したとしても、本件においては、当該住宅の価値は負債を上回るものではなく、住宅の価値は零であって、右返済の結果は積極資産として存在していない。そうすると、清算すべき資産がないのであるから、返済した住宅ローンの一部を財産分与の対象とすることはできないといわざるをえない。」としています。要するに、オーバーローンの住宅の価値は0であるとして、財産分与の対象からはずしているのです。こちらが、現在の裁判での一般的な考え方だと思います。

とはいえ、離婚後に住宅ローンが残る以上、それをどうするのかを取り決めなければなりません。

離婚と同時に、不動産を売却してしまいたいという場合、例えば、不動産を売却すると、諸経費を差し引いて2000万円になる見込みだが、住宅ローンが2200万円残っていると言う場合であれば、この不動産を売るには、住宅ローンの債権者(銀行等)への返済金として、不動産の売却代金に加え、200万円を用意しなければなりません。夫婦の預金が200万円以上あり、その中から返済するということができればよいですが、それが出来ない場合は、銀行との間で残金の支払い方法について協議し、了承してもらう必要があります。なお、銀行等との関係では、あくまでも自分の名前でお金を借りた方が債務者となります。

離婚にあたって、オーバーローンの不動産を売却するのではなく、夫婦どちらか一方が取得する場合には、取得する方が、住宅ローンの残金もすべて負担することにするのが一般的です。

例えば、不動産の名義も住宅ローンの名義も夫であり、夫がその不動産を取得し、住み続ける場合には、残ローンについてもすべて夫が支払っていくということで問題ありません。しかし、不動産や住宅ローンの名義が夫であるが、妻が不動産に住み続けたい場合は、問題です。妻に不動産の名義を変更し、それ以降の住宅ローンは妻が支払うとの約束を当事者間でしたとしても、銀行等との関係では、あくまでお金を貸した相手は夫ですから、妻が住宅ローンを支払わない場合には、銀行等に対しては、夫に支払い義務があるということになります。上記は、住宅ローンが妻名義で、夫が住み続けることになった場合でも同様です。なお、債務が夫(もしくは妻)名義であっても妻(もしくは夫)が連帯保証人になっている場合があるので、注意が必要です!
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田中 史子 弁護士

取扱分野
離婚・男女 民事・その他 裁判・法的手続

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