弁護士コラム

預貯金の相続について

[投稿日] 2017年10月13日 [最終更新日] 2017年10月13日
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木村 栄作 吹田駅前法律事務所

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預貯金の相続に関するルールが変わりました。

最高裁がこれまでの判例を変更しました(大法廷による平成28年12月19日決定)。実務が大きく変わりますのでご紹介します。

 

1 預貯金の相続に関するこれまでのルール

これまで、預貯金(普通預金、通常貯金、定期預金、定期貯金など)は、被相続人の死亡とともに当然に分割されて各相続人に帰属するものとされていました(当然分割理論)(注[1])。

当然に分割される以上、遺産分割は必要ありません。各相続人は、他の相続人の同意がなくても、最終的には銀行から自己の相続分の払戻しを受けることができました。

また、当然に分割される以上、そもそも「遺産」にはあたりません。そこで、預貯金を遺産分割の対象とするとの全員の同意がある場合を除いては、預貯金は遺産分割の対象とはならず、家庭裁判所においても遺産分割審判の対象から除かれる(審判では判断してもらえない)という取扱いが定着していました。

このことは、相続財産の中に預貯金が相対的に少ないケースなどで、遺産分割の結果が不平等になったりスムーズな遺産分割が困難になったりしているという問題を産んでいました。

 

2 新しい最高裁判例

今回の最高裁決定は、これまでの預貯金が当然に分割されるという理論を変更し(注[2])、預貯金が遺産分割の対象となることを正面から認めました(注[3])。これにより実務は大きく変わることになります。

まず、平成28年12月19日以降、被相続人名義の預貯金の払い戻しを銀行に請求するには、相続人全員の同意が必要となります。全員の同意がない場合は、銀行は原則として払い戻しには応じなくなる見込みです。

今までであれば、相続財産が預貯金のみというケースでは、特に相続人間での協議を要することなく、各自で銀行に相続分の払い戻しを請求して処理を終えることもできました。しかし,これからは、そのようなことはできなくなります。

また、預貯金が当然分割されなくなりましたので、預貯金も「遺産」として、遺産分割審判の対象となります(審判でも分割してもらえるようになります)。こちらはむしろ当たり前の結論であり、今までが異常だったというべきでしょうか。

 

3 弁護士のコメント(やや専門的です)

これまでは、相続人の中に行方不明者がいる場合でも、法定相続分のみの払い戻しを受けるという方法を選択することができました。しかし、本決定以降は、そのような方法は使えなくなりました。 行方不明者については見つけ出すか、失踪宣告を求めるか,不在者財産管理人を選任して同管理人の同意を得なければ、払い戻しを受けることができなくなりました。

相続人の中に後見人を選任すべき者がいる場合も同様です。成年後見人等を選任して同意を得なければならなくなりました。このように遺産分割協議の重要性が増すとともに、遺産分割調停や審判を必要とする事件自体も増加するのではないかと思われます。

被相続人の預貯金を遺産分割前に払い戻す必要があるにもかかわらず、相続人全員の同意が得られない場合(たとえば共同相続人の一人が病気であって被相続人に生活費を出してもらっていた場合など)は、審判前の保全処分(遺産分割審判を本案とした仮分割の仮処分)を活用することになると思われますが、相応に手間やコストのかかる手続きとなります。

なお、変更前の判例に基づく判決は再審事由にはあたらないこと等からは,今回の最高裁決定は、すでに確定した遺産分割の協議や調停、審判の効力には影響を与えるものではないと解されます。 しかし、いつ発生した相続から本決定の内容を適用すべきとの遡及に関する言及はないところ、本決定は相続預金の法的性質に関して判断していることからは、本決定後に発生した相続だけではなく、本決定の前に発生した相続についても対象となるものと思われます。

 

当事務所では、遺産分割に関する相談を承っております。早めのご相談がより良い解決につながります。お悩みの方は、まずは当事務所の無料相談にお越しください。

 

脚注

最高裁第三小法廷平成16年4月20日判決など。ただし、定額郵便貯金や、委託者指図型投資信託の受益権、個人向け国債等については、可分債権にあたらないことから、当然分割が否定されていました。

今回の大法廷決定は、預貯金が当然に分割されるという最高裁第三小法廷平成16年4月20日判決を変更しましたが、「可分債権」に関する当然分割理論を述べた最高裁昭和29年4月8日判決は変更していません。賃料債権や損害賠償請求権などの「可分債権」に関する当然分割理論は今なお生きています。

なお、今回の判例は普通預金・通常貯金と定期貯金について述べたものですが、判決文の述べる預貯金債権の内容及び性質からは、定額貯金や定期預金、当座預金、別段預金、定期積金なども同じであり、結論としてすべての預貯金に及ぶものと考えられます。なお、定期預金について、本決定に続く最高裁第一小法廷平成29年4月6日判決において同様の判断がされています。

コラムの内容は更新時のものであり、最新の情報と異なることがあります。

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