弁護士への相談・依頼はどう進む?問い合わせから解決までの流れ
[投稿日] 2018年04月05日 [最終更新日] 2018年04月06日
うーん、困ったなあ……。
どうしたの?
ちょっとトラブルになっちゃって。でもどうしたらいいのかわからないんですよ。
そうなんだ……。でも、確かにこういうとき相談できる人もいないしねえ。
そんなときは弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
べ、弁護士?! そんな大げさな話にならないかもしれないし……。
日本では弁護士を少し縁遠く感じる方が多いかもしれませんが、そんなことはありません。
トラブルが大きくなる前に、話を聞いてみるといいですよ。
でも確かに、法律事務所に行ったことがないとちょっと怖いかもしれませんね。
それでは、弁護士に相談するとどんな流れで進むのか、ご説明していきましょう。
目次 |
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まずは、弁護士とつながらなければ何も進みません。
ちょっとハードルが高いと思っているかもしれませんが、気軽に問い合わせて大丈夫ですよ。
1-1 電話?メール?飛び込み訪問?
弁護士に相談などをしたいとき、まずは弁護士に問い合わせをすることから始まりますよね。
では、どのように問い合わせをすればよいのでしょうか。
基本的には、相談をしたい弁護士のホームページやLegalusなどの弁護士紹介サイトの機能を使って、まずは電話やメールで連絡をするのがよいでしょう。
住所がわかっている場合も、アポなしの飛び込み訪問は避けたほうがよいでしょう。
弁護士は1日中事務所にいるわけでもありません。さまざまな対応で外出していることも多いものです。
いたとしても来客の可能性もあり、空振りになるか、せっかく行ったのに十分な時間が取れないという可能性は十分にあります。
そんなこともあり、事務所によっては、飛び込み訪問のお客さんについては断っているというケースもあります。
結局、予約をして改めて訪問することになるので、電話やメールで予め予約しておいた方がスムーズなのです。
1-2 どんなふうに問い合わせをしたら良い?
紹介者がいるのであれば、「○○さんから紹介されたのですが、××の件で相談をしたいことがあります」と説明します。
紹介者がいない場合には、「Legalus(などのサイト名)で見たのですが、××の件で相談をしたいことがあります」と言えばよいでしょう。
電話の段階でどの程度ヒアリングするかは弁護士によって異なりますが、電話ではそれほど詳しくは内容を聞かない弁護士が多いようです。
できるだけ早めの相談を希望している場合は、その旨を伝えましょう。
例えば刑事問題であれば、早急な対応が必要となります。弁護士の方でも、どれくらいのスピード感で進めるべきなのか判断をしてくれます。
問い合わせたら、今度は面談の約束をしましょう。
問い合わせをすると、弁護士が面談日時を提案してきます。可能な日程を調整しましょう。
もちろん、相談者から都合の良い日時を告げてもかまいません。
弁護士の都合の良い日時が相談者の都合に合わないときもあるでしょう。
営業時間外の夜や土日祝日でも相談に応じてくれる弁護士は少なくないので、それでもよいかを確認してみましょう。
次は実際の面談です。
3-1 訪問する?電話でも大丈夫?
弁護士に相談をする場合、基本的には訪問をして相談・面談をすることになります。
弁護士によっては、電話での相談も受け付けているという場合もあります。しかし、あくまで定型的でかつ難しい法律問題を含まない内容に限っていることが多いようです。
通常は訪問をして面談をするということになります。
なお、弁護士事務所を訪問する際には、相談する内容に関係しそうな書類などがあれば、そのすべてを持参するようにしましょう。
自分で、これはあまり関係がないからいいかと考えずに、少しでも関係しているものであれば、持参するようにしてください。
3-2 相談で問題が解決することも
弁護士と面談をした結果、その相談だけで、相談者が抱えていた不安や問題点が解消してしまうということもよくあることです。
例えば、今後の見通しを聞けたので、自分だけでも解決ができそうだと判断できることもあります。
また、自分で作成した書類をチェックしてもらって、その場で修正をしてもらってそれで終了ということもあります。
また、その場でトラブルの相手方に電話をして、相手が納得したので終了ということもあります。
とにかく、まずは相談をしてみることです。
3-3 必ずしも依頼しないでOK
弁護士に相談をしたからといって、その弁護士に必ず事件処理を依頼しなければならないというものではありません。
まず、上記のように相談だけで済んでしまうこともあります。
また、弁護士によって事件への見解や費用も異なってきますし、人間同士なので相性もあります。
誰に依頼するかは依頼者側の自由なので、セカンドオピニオンとして意見を聞くなど、相談だけをして依頼をしないことに問題はありません。
次は、気になる費用面です。法律事務所や弁護士によって異なるので、しっかり確認することが大切です。
4-1 弁護士費用の種類
弁護士の費用体系は少し特殊なので、簡単に説明していきましょう。
■相談料相談だけで終了した場合の費用です。
相場としては、30分5,000円、それを超えて1時間までは5,000円の加算(以後同様)ということが多いようです。
相談だけは無料という弁護士も少なくありません。
なお、案件を依頼することになったら、この相談料は不要とする場合もあります。相談の際に聞いてみるとよいでしょう。
■着手金「着手金」とは、事件処理を実際に依頼するときに、弁護士に支払う費用をいいます。
これは、事件が解決するかどうかに関わらず、取り掛かる際に予め支払うものです。
着手金は、個々の事件内容や、どんな対応をするのか(例えば相手方との交渉だけでよいのか、訴訟提起までするのかなど)によって異なります。
過払い金請求のようにほぼ確実に相手方から金銭を取得できるような事案の場合には、弁護士によっては、完全成功報酬制で、着手金を不要とすることもあります。
金額の決め方は弁護士や案件によって様々です。
案件によって固定で決まっている場合もありますし、依頼者が受ける利益をもとに算出する場合もあります。
(例えば、多くの弁護士事務所が採用している旧日弁連報酬基準では「経済的利益の5%+9万円」となっているので、500万円の貸付金を回収することを依頼した場合、着手金は5%の25万円に9万円を加えて34万円とするのが原則となります。)
「報酬金」は、事件が終了した場合に発生する成功報酬のことをいいます。
依頼者が受けた経済的利益をもとに決められることが多いようです。
例えば、上記の旧日弁連報酬基準に基づくと「経済的利益が300万円以下の場合には経済的利益の16%を成功報酬とする」となっていますので、事件処理の結果300万円の利益を得られた場合、48万円を追加で支払うことになります。
着手金・報酬金方式で費用を定めた場合には、支払う金額は「着手金」と「報酬金」のみであることが多いようです(消費税は別途必要です)。
ただし、弁護士が裁判所に出頭する場合に出頭日当が必要となったり、遠方への出張を要する場合に出張日当が必要となる場合等、着手金と報酬金以外にも費用がかかることもありますので、よく弁護士に確認しておくとよいでしょう。
経済的利益の算定が難しい場合や事案処理の方向性が定まりにくい場合など、事案の内容によっては、上記の着手金・報酬金方式ではなく、タイムチャージ方式(時間制報酬)がとられる場合もあります。
この場合には、1時間あたりの費用をあらかじめ決めて、弁護士が使った時間の分だけ支払うことになります。
いずれにせよ、報酬については事前にしっかり確認しておきましょう。
■実費裁判をする場合には、訴訟費用として印紙代や郵便切手代が必要となります。また、相続などの事案では、幾通もの戸籍謄本を取り寄せたり、固定資産評価証明書や不動産登記簿謄本も取り寄せたりしなければならないこともあります。
そのための実費として、依頼時に弁護士に対して、おおよそ5万円から10万円(事案によって異なりますが)を予め預けることもよくあります。
事件終了後に精算をして、使われなかった分は返還されることになります。
4-2 提示されない場合も必ず確認しよう
問題の解決を弁護士に依頼した場合、どのような費目で、いくらの費用がかかるのかについては、必ず確認をしてください。
弁護士の方から、事件処理を受任した場合、この程度の費用がかかりますと提示されることも多いのですが、弁護士からの提示がない場合にも、きちんと聞いておきましょう。
第5章 正式に依頼する場合の流れ(契約締結)実際に依頼するときはどんな風に進むのでしょうか?
5-1 契約書を交換する
依頼が決まったら、弁護士との間で委任契約書を作成することになります。
ごくごく簡単な事案では契約書を作成しないこともあるのですが、できる限り契約書を作成してもらうようにしましょう。
契約書には弁護士費用のことも明記されるので、後日のトラブルを防ぐことができるからです。
委任契約書のうち重要な事項は、依頼内容と弁護士費用です。
依頼内容というのは、例えば、「相手方は誰なのか」「相手方との交渉だけを依頼したのか」「交渉をしたけれどもそれがうまくいかない場合には調停を提起するのか」「訴訟提起をするのか」などの依頼内容を明記した条項です。
弁護士費用の種類については、対応内容によってどれくらいになるかなどが明記されます。よく確認しておきましょう。
また、契約書の内容についてわからないことがある場合は、遠慮せずに確認するようにしましょう。
5-2 着手金の支払い
事件処理を依頼した際に、原則として着手金を支払うことになります。
ただし、契約を締結した当日に支払う必要はなく、後日に銀行振込みなどで支払うことになります。
とはいえ、着手金が支払われない限り事件に着手できないというケースもあるので、できるだけ早く支払うようにしましょう。
実際の進み方は、案件によって異なります。
ここでは、「貸したお金を返してもらうために、貸した相手に返還請求する」ことを弁護士に依頼した場合を例に、典型的な進み方を見てみましょう。
6-1 交渉
状況によりますが、まずは相手方との交渉から入るということもよくあります。
弁護士の名前で内容証明郵便によって支払いの催促をすることがよく行われています。
この場合、相手方は弁護士が関与したことで、支払いに応じたり話し合いに応じたりすることもよくあります。
それで解決し事件終了というのもよくあることです。
6-2 調停
弁護士が交渉をしても話し合いに応じない場合や、話し合いがうまくいかない場合、円満な解決方法として、裁判所への調停の申し立てを選択することもあります。
調停を申し立てると、裁判所から相手方に呼び出し状が送付されることになります。
それまで話し合いに応じなかった相手でも、裁判所からの呼出状ということになれば、調停の場に出頭して、調停が成立して終了するということもあります。
ただし、相手方が裁判所に出頭しなくても、法的な拘束力が発生するわけではありません。
6-3 訴訟
話し合いが不調に終わったり、そもそも話し合いが難しい状況だったりする場合には、交渉や調停を経ることなく、いきなり訴訟提起ということも考えられます。
提訴すると、相手方に対して裁判所から呼出状および答弁書提出の催促がなされます。
裁判となれば、答弁書を提出せずに出頭しなければすぐに(概ね1週間後)に判決が出されます。また、答弁書を提出してもその後に何度も出頭しないということが続けば、やはり判決が出されることになります。
もっとも、判決が出たからといって、それをもって貸付金が戻ってくるわけではありません。
判決後に強制執行をすることになります。
ただ、相手方に目ぼしい財産がない場合には、結局お金は回収できないということになり、判決書をもらっただけという結果になってしまいます。
このような回収の見込みについても、事前に弁護士とよく相談をしておきたいところです。
第7章 事件終了、報酬金の支払い依頼した内容が完了したら、報酬金を支払うこととなります。
7-1 報酬金の支払い
事件が終了した場合には、事前の契約内容にしたがって報酬金を支払うことになります。
なお、相手方から金銭を受け取るような事件の場合には、弁護士名義の口座に振り込んでもらうことが一般的です。
そして弁護士が、その振り込まれた金額から報酬金を差し引いて、残額を依頼者に渡すということになります。
7-2 実費精算
最後に、実費として金銭を弁護士に預けておいた場合には、精算されることになります。何にいくらかかったのかという明細や領収書と共に、残金があれば、その返還を受けることになります。
ただし、逆に不足が発生した場合は、足りない分を追加で支払うことになります。
どうでしょうか。イメージできましたか?
そうですね。とりあえずどんなことをするのかわかりましたし、行っても必ず依頼しなくても大丈夫ということなので、まずは相談してみます!
更新時の情報をもとに執筆しています。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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