落し物の拾い主から過剰な金銭要求が・・・

Legalus編集部さん 2015年04月21日

先日、子供の財布(最初から現金なし、免許証入り)を拾った拾い主に、謝礼として手土産と礼金(1万円)を渡しました。

ところが、その後も拾い主は、「財布を拾う際に負った怪我で治療費や休業損害などの損害が発生しているので多少お金を助けてほしい」旨の電話をかけてきました。

謝礼は十分足りていると思いますし、治療費や休業損害などの損害まで支払う必要はないと思うのですが、どうでしょうか。



なお、財布を発見・怪我に至る経緯については、拾い主によると「深夜ジョギング中にそのスーパー駐輪場奥で数人の少年が何やらゴソゴソしているので声をかけて見ると、財布を開き中身を物色中だったので、声をかけたところ、喧嘩になり数発殴られて、腕と足に怪我を負ってしまった」とのことです。

 また、負った怪我についての警察への届出はなぜか地元警察でなく、隣の市の警察でおこなったそうです。



拾い主が最初に自宅に訪れたのは深夜2時だったこと、その後の電話も夜の11時過ぎで、近所を車で走りながらであったこと、拾い主が刺青もある男性であることから、今後のどのように対応してよいか悩んでいます。どうぞよろしくお願いいたします。



(40代:男性)

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Legalus編集部

     まず、落とした財布への謝礼が十分だったのかについて考えてみましょう。

    遺失物法28条1項は、落とし物(「物件」)の返還を受ける所有者など(「遺失者」)は、落とし物の価格の5%以上20%以下に相当する額の報労金を、拾い主(「拾得者」)に支払わなければならないと規定しています。
    今回の「物件」は、現金の入っていないお子さんの財布です。これに対してあなたは「報労金」として、手土産及び礼金(1万)を「拾得者」に渡しています。財布がよほどの高級品でない限り、報労金が相当額に達していることは明らかであり、あなたの謝礼は十分だったといえるでしょう。



     では、拾い主が負った怪我による「損害」もあなたが賠償しなければならないのでしょうか。

    まず、前提として、他人の財布を拾う行為が事務管理民法697条702条)に当たるのかが問題となります。

     事務管理とは、頼まれてもいないのに他人のために家の修理や洗濯などをする行為で、簡単にいえば他人の親切に当たるような行為です。

    法律上の成立要件としては、(1)法律上の「義務なく」、(2)「他人のために」、(3)他人の「事務の管理を始め」(697条1項)、(4)「本人の意思に反し、又は本人に不利であることが明らか」でないこと(700条但書)が必要となります。

     今回の財布の拾い主は、警察官など職務上の義務があったわけでなく、財布を拾うことにつきあなたと契約があったわけではないので、(1)「義務がなく」といえます。

     また、仮に報労金目当てであっても、他人に事実上の利益を与える意思が並存していれば(2)「他人のため」といえます。財布や免許証が戻すという事実上の利益を与える意思もあったと思われるので(2)も認められます。

     (3)「事務の管理」とは本人にとって生活上・社会活動上必要な一切の仕事の処理をいい、財布を拾うことも含まれるでしょう。

     (4)免許証入りの財布を拾ってもらうことは、落とし主の利益になるので(4)「本人の意思に反」することが明らかとはいえません。

    したがって、事務管理が成立します。



    事務管理が成立すると、拾い主(「管理者」)は落とし主(「本人」)に「本人のために有益な費用」の償還を請求できることとなります(702条1項)。

     この「有益な費用」とは本人(落とし主)の利益に適すべき費用をいい、有益費(物を改良して価値を増加させる費用)や、必要費(物の保存と管理に必要な費用)も含みます。

     では、今回の怪我による「損害」も「有益な費用」に含まれるのでしょうか。

     この点、「損害」は「有益な費用」に含まれず、管理者(拾い主)は本人(落とし主)に費用として償還請求できないのが原則です。

     なぜなら、委任契約では損害賠償請求を認めていますが(650条3項)、事務管理ではこの委任の規定を準用していない(702条2項650条2項参照)ので、法は事務管理での本人(落とし主)への損害賠償請求を否定していると考えられるからです。また、委託したわけでなく、勝手に行った管理者(拾い主)の損害を本人(落とし主)に転嫁するのは相当でないからです。

     ただし、「損害」のうち、当該事務の管理に当たって当然予想される損害は「費用」に含まれます。例えば、溺れる者を救う際に汚損する着衣といった損害です。

     今回の拾い主の怪我は、財布を拾うに当たって当然予想される損害とは言えないでしょう。したがって、怪我による「損害」は「費用」に含まれず、拾い主は治療費・休業損害をあなたに請求することはできません。

    よって、あなたのご指摘どおり、これ以上金銭を拾い主に支払う必要はありません。



     最後に、今後の対応について考えてみましょう。

     今回の事例では、不自然な点がいくつかあります。財布の発見・怪我に至る経緯、財布持参時刻、治療費・休業損害要求の状況、傷害事件の届出場所などです。

     このような事情も加味すると、拾い主が不当に利益を得ようとしている可能性があります。支払いを拒絶しても、金銭の要求を止めないのであれば、最寄の警察署か各地の弁護士会に相談し、適切に処理してもらうのがよいでしょう。

2015年04月21日

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