タイトル通りですが、日本に殆ど帰国ができない海外在住の日本人が、日本に住む日本人を訴えることができるかどうか知りたいです。相手は、千葉の実家にいる弟嫁で、私の義妹になります。
まず、準拠法についてですが、当事者による準拠法の選択がない場合、当事者間の法律行為に最も密接な関係がある地の法によるとされます(法適用に関する通則法8条1項)。
本件では、日本人同士の紛争とのことですので、日本法が適用されると思われます。現在の居住地に関する外国法の適用の可能性については捨象します。
ただし、同法8条2項・3項等による例外もあるので注意する必要があります。ここでは詳細は割愛します。
次に、日本での提訴に関してですが、全ての事案において、被告の住所地を管轄する裁判所には管轄権が認められます(民訴法4条1項)。
したがって、地方裁判所に提訴する場合、相手が千葉市在住であれば千葉地裁本庁、それ以外、例えば松戸市在住であれば千葉地裁松戸支部、成田市在住であれば千葉地裁佐倉支部に管轄が認められますが、いずれの場合も日本国内での提訴自体は可能でしょう。
この場合、日本の弁護士を代理人に選任して訴訟を行なうことになると思われます。通常の期日では代理人のみ出廷で良いですが、原告本人尋問を実施する場合は原告本人の出廷が必要となります。
また、通常訴訟ではなく家事事件の調停・審判の場合、家庭裁判所から申立人本人の出廷を求められる場合が多いので、注意する必要があります。
ごんた - 2017年02月04日 03時04分
ご回答をありがとうございます。訴える場合には、やはり私が日本に帰国することが少なくとも1回、その後の状況次第では裁判所からの出頭命令があることなど、教えていただきましてありがとうございます。現在は私は日本国籍ですが、近い将来、アメリカ国籍を取得する予定です。この場合、国籍が違う者同士の争いとなるので、私はアメリカで弁護士を見つけて日本の義妹を訴えるということになるのかと想像しています。もっと複雑で大変なことになるのでしょうか?
小川 智史 弁護士 - 2017年02月04日 11時26分
法適用に関する通則法38条1項但書では、当事者の国籍のうちいずれかが日本国籍である場合には、日本法を当事者の本国法とすると定めています。したがって、現行法上では、日本での裁判が可能です。日本で裁判を行なう場合には、日本の弁護士に依頼した方がよいでしょう。
なお、管轄に関しては、厳密には特許権・意匠権等の知的財産権に関する例外があります(民訴法6条、6条の2)。通常の財産権に関する訴訟は被告住所地管轄裁判所に提訴可能です。
ただ、トランプ大統領の政策がどうなるか分からないため、今後日米間で新たな条約が締結されて上記法律の適用が変更となる可能性には注意する必要があります。
投稿時の情報です。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。
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