
よりよく暮らすために!7大住環境トラブルについて学ぼう
境界線に関するトラブル
不動産に関するトラブルの1つ目として、境界線に関するトラブルがあります。
土地を所有している場合には、隣地との境界線が問題になるケースがあります。そのような境界問題を境界線に関するトラブルと言います。
不動産の境界線に関してトラブルが起こると、隣人との関係が悪化してその場所に非常に住みづらくなります。また、相続した物件について境界トラブルが起こると、相続税の納付などもスムーズにできなくなる可能性があります。
以下で、より具体的に見てみましょう。
境界トラブルは、土地の境界に関して隣人などの利害関係人との間で起こるトラブルのことですが、この問題を検討するために、土地の境界とはどのようなものなのかを理解しておく必要があります。
土地の境界とは、土地の登記をした際に定められた土地と隣地の境界線のことです。この境界のことを筆界とも言います。筆界は、隣地の所有者同士が話し合いによって勝手に決めることができません。もともと決まっている公的な線です。
よって、境界線がわからなくなった場合などには、土地の境界について、土地家屋調査士に依頼して調査してもらう必要があります。隣地の所有者同士が決めることができないからです。
このような公的な線である筆界に対し、当事者同士が勝手に決めることができる境界があります。このことを所有権界と言います。
隣地の所有者同士が納得して所有権界を定めていても、それはその当事者同士だけで通じる線です。たとえば一方の土地の所有者が第三者に土地を売却した場合などには、土地の購入者に対して所有権界を主張することはできません。
これに対して、筆界(境界)は、公の土地の境界線なので、土地売買の際の基準にもなりますし、当然土地の購入者に対しても有効になります。
境界線に関するトラブルが起こるケース土地の境界線に関するトラブルは、どのようなケースで起こるのでしょうか?
1つ目のパターンとして多いのが、隣地の所有者同士で土地の境界について意見が合わなくなるケースです。
土地と土地の間にはブロック塀などがおいてあることもありますが、古くなってくるとブロック塀が崩れたり、新たにフェンスを設置することもあります。
土地の所有者が変わったら、それまであった塀が取り壊されるケースもあります。このようにして、時が経つにつれて土地の境界があいまいになり、いつのまにか隣地の所有者同士で土地の境界線について異なる認識を持つようになるケースがあります。
このような場合、お互いに異なる線を土地の境界であると主張するようになるので、争いが起こります。
2つ目のパターンとして、土地の相続が起こったケースがあります。土地を相続した場合には、複数の相続人が土地を相続するケースがあります。この場合、相続人全員が土地の境界について同じ意見を持っていれば良いですが、ときには相続人間で境界についての認識が異なるケースがあります。
このような場合、そもそも相続人同士で土地の境界がどこかを決められなくなります。
そうなってくると、当然その土地と接している隣地の所有者も巻き込んだトラブルになります。
きょうだいのうちどちらが言っていることが正しいのか、隣地の所有者はきょうだいのどちらの意見に賛同するのか、もしくは全く別の境界線を主張するのか、いろいろな問題が噴出して収集がつかなくなるケースがあります。
境界トラブルが起こるとどうなる?土地の境界トラブルが起こると、具体的にどのような問題が発生するのでしょうか?
この場合、まず、隣地の所有者との関係が悪化して、その土地に大変住みづらくなります。
特に、自宅がある土地について境界トラブルが起こると、毎日隣地の所有者と顔を合わせる度に嫌な思いをしなければなりませんし、相手によっては嫌がらせをしてくるケースなどもあります。
また土地に境界トラブルがあると、その土地を処分することが難しくなります。境界トラブルを抱えたままの土地は、売却することも困難です。通常、土地を購入しようとする人は、境界トラブルを抱えたようなリスクのある物件を購入したいとは思わないからです。
また、境界トラブルがある土地の場合、それを担保にして銀行借入をすることなども難しくなります。銀行も、境界トラブルを抱えたリスクのある物件には担保的価値を認めないからです。
さらに、相続に関して境界トラブルが起こると、大きな問題が発生します。それは、相続税の納付に関する問題です。
相続税を納付する際、現金一括で納付ができない場合には、物納や延納などの方法を利用することができます。
物納とは、相続税を相続した土地などをそのまま納付することによって支払う方法です。
延納とは、相続税を数年間にわたって分割払いする方法です。
ところが、土地に境界トラブルがある場合には、上記の物納や延納を利用することが困難になります。
すると、結局相続税をどうしても現金一括払いしなければなりません。このとき、もし相続人らが相続税を支払えるだけの資力を持っていなければ、税務署から相続人の財産を差し押さえられてしまうおそれもあります。
相続人同士や隣地の所有者と境界に関して争いがあると、結局は相続人らが最も大きな不利益を受ける可能性が高くなるのです。
境界トラブルは、いったん起こってしまうと解決することが難しくなります。そこで、トラブルを予防することが大切です。
土地の境界トラブルを予防するためには、境界トラブルが起こる前に隣地の所有者ときちんと話し合いをして、土地の境界を定めておく方法が効果的です。
具体的には、土地家屋調査士に依頼して土地の測量を行い、境界を調べてもらいます。そして、境界標などの目印を立てて、その後土地の境界がわからなくならないようにします。土地の測量の際には、隣地の所有者ら利害関係人が全員立ち会います。
その上で、隣地の所有者同士が境界確認書を作って、全員が署名押印します。境界確認書には、そのとき作成した地積測量図を添付します。
このように、隣地の所有者同士が全員土地の境界について同意をしたことが明らかになるので、後々境界トラブルが起こることを避けられるようになります。
土地の相続の予定などがある場合には、相続後境界トラブルが起こることを防止するために、早めに境界確認書を作成しておきましょう。
土地の境界確認書を作成出来ないまま、実際に隣地の所有者や相続人同士で土地の境界トラブルが起こってしまうことがあります。
この場合、いくつか解決方法があります。
まずは、法務局で筆界特定制度を利用する方法です。筆界特定制度とは、隣地所有者などの利害関係人の申請にもとづいて、法務局が土地の筆界を調べて特定してくれる制度です。
これを利用すると、登記官が専門の筆界調査委員の意見を聞いたり土地家屋調査士に測量を依頼するなどして、土地の境界を明らかにしてくれます。
この制度によって特定された境界に当事者らが納得できれば土地の境界トラブルは解決できます。
しかし、筆界特定制度による決定には不服申立ができます。
その場合には、この制度によって土地の境界トラブルを解決することができません。
裁判所で境界確定訴訟を起こすことによって、土地の境界を確定してもらう必要があります。
境界確定訴訟は、調査しなければならない内容も多く、訴訟をするための弁護士、土地測量をするための土地家屋調査士などにも依頼しなければならないので費用も相当かかります。
ただ、当事者同士の争いが激しく、他の方法ではどうしても解決することができない場合には、境界確定訴訟をすると、裁判所に終局的な判断をしてもらえます。
このように、境界トラブルがいったん発生してしまうと、負担がかなり大きくなります。
土地の境界トラブルは未然に防ぐことが後々の負担軽減につながります。隣人との間で具体的な問題が発生する前に、境界確認書を作成して未然にトラブルを防ぎましょう。
参考コンテンツ:
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不動産売買に関するトラブル
不動産に関するトラブルの2つ目に、不動産売買に関するトラブルがあります。
不動産を所有している場合には、売却することがあります。また、マイホームなどがほしい場合には、不動産を購入する機会があります。
不動産は高額なものですし、普段日常的に売り買いするものではないことから、不動産売買についてはよくわからないことが多いですし、トラブルもつきまといがちです。
不動産売買に関するトラブルとしては、売買契約の当事者同士で起こる問題と、不動産仲介業者との間で起こるトラブルがあります。
そこで、以下ではこの2つのトラブルの内容と対処方法を解説します。
不動産売買では、いろいろなトラブルが起こります。どのようなトラブルがどの時点で起こるのかを理解する前提として、不動産売買の取引の流れや仕組みを理解しておく必要があります。
そこで、以下では、不動産売買の流れを説明します。
不動産売買が行われる場合、まず不動産を売りたい側が、不動産仲介業者に依頼して、不動産の売り出しをします。
このとき、売り主は不動産仲介業者との間で不動産売却に関する媒介契約を締結します。
媒介契約とは、不動産売買を仲介する契約のことです。媒介契約には、一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。
一般媒介契約の場合には、依頼者は契約した不動産業者以外の業者に依頼して不動産を売却することができますし、自分で売却することもできます。
専任媒介契約の場合には、依頼者は、契約した不動産業者以外の業者に依頼して不動産を売却することはできません。ただし、自分で売却することは可能です。
専属専任媒介契約の場合には、不動産は契約した不動産仲介業者に依頼して売却することしかできず、依頼者が自分で買い手を探してきたとしても、契約した不動産仲介業者を利用して売却しなければなりません。
このように、媒介契約の形態はさまざまなので、自分の目的に応じた契約を選んで締結する必要があります。
売り主側の不動産業者が不動産を売り出したら、その広告を見て購入希望者が現れます。この場合、買い手側が売り手側に連絡を入れます。すると、通常売り主が買い主に対して不動産の内覧をさせます。買い手側が不動産を気に入って購入希望を出すと、そこから売り主側と買い主側との間で価格交渉が開始されます。
このとき、買い主側も不動産仲介業者に依頼することが多いです。その場合は、仲介業者同士が価格交渉をすることになります。
売り主と買い主の間で、価格について合意ができれば売買契約が成立して、売買契約を締結します。
売買契約が締結されたら、通常は買い主が売り主側に手付金を支払います。手付金とは、不動産購入代金の一部を先に売り主に支払うことです。
手付金の授受によって、売り主側も買い主側も、簡単には不動産契約を解除できなくなります。
そして、実際の決済日を決めて、決済日が来たら、残代金の支払をして不動産の引き渡しが行われます。
これが、だいたいの不動産売買の手続きの流れです。
不動産売買では、不動産仲介業者が大きな役割を果たします。
ただ、不動産仲介業者と依頼者との間のトラブルも多いです。そこで、まずは不動産仲介業者とのありがちなトラブルについて、ご紹介します。
不動産仲介業者に依頼する際には、仲介手数料が発生します。
この仲介手数料に関するトラブルが非常に多いです。
以下で、ケースごとに説明します。
仲介手数料をいくらにするか
まず、仲介手数料をいくらにするのかという問題があります。不動産業者によっては、仲介手数料の金額は法律で決まっていると言ってくる人がいます。
このとき、具体的な金額としては「不動産の売買価格×3%+6万円+消費税」だと説明されることが多いです。
ただ、実際には不動産仲介手数料は法定されているわけではありません。法律(宅地建物取引業法)に定めがあるのは、上限だけなので、実際にはそれ以下の金額とすることは自由です。もし、このような説明をしてくる不動産業者がいたら、その業者の姿勢などを疑ってみた方が良いでしょう。
仲介手数料以外の費用を請求される
仲介手数料以外のお金を請求してくるケースがあります。たとえば、「コンサルタント費用」などと言われることがあります。
しかし、仲介業者に対して不動産売買契約の仲介を依頼した場合、発生するのは不動産仲介手数料のみです。不動産売価契約にもその旨記載されているはずです。
よって、後になって不動産業者がそのような追加費用を請求してきても、支払に応じる必要はありません。
もし、このような請求をされたら、「契約書にも記載はないし、コンサルタント契約はしていないので、コンサルタント料を支払う義務はありません。」と言ってはっきり断りましょう。
不動産業者が、不動産媒介契約とは別にコンサルタント契約を締結しようとしてきた場合には、問題のある業者である可能性が高いので、依頼しないことが大切です。
違法な悪徳業者である可能性もあるので、場合によっては警察に相談に行くと良いでしょう。
不動産売買契約を解除した場合にも仲介手数料を払うのか
不動産売買契約を解除した場合に不動産仲介手数料を請求できるのかという問題があります。
たとえば、いったんは不動産を購入する契約をしたけれども、その後気に入った物件があったので、手付金を放棄して売買契約を解除するケースなどがあります。この場合にも、不動産仲介業者から仲介手数料を請求されるので、買い主にしてみれば「実際には購入していないのに」と感じてトラブルになることがあります。
しかし、いったん売買契約が成立した以上、その後売り主や買い主の事情で解除された場合でも、不動産仲介手数料は発生します。不動産仲介業務の目的は、不動産売買契約を成立させることなので、その後の解除の有無は問題にならないからです。不動産仲介業者との媒介契約書においても、通常「契約が成立した際には、不動産業者は報酬(仲介手数料)を請求することができる」と記載されています。仲介業者の責任で解除に至った場合には適用されませんが、不動産会社に責任がない事由で契約が解除された際には、仲介手数料が発生します。
このように、契約を後に解除しても、不動産業者に仲介手数料を支払わなければならないことには注意しておく必要があります。
広告宣伝費用を請求される
不動産仲介業者から仲介手数料とは別に広告宣伝費用を請求されるケースがあります。
たとえば、所有している別送を売却する手続きを依頼したら、大きく広告を出すので30万円の広告宣伝費を支払ってほしいなどと言われるケースがあります。
しかし、このような特別の費用について、特段の契約を交わしていなければ支払の必要はありません。
不動産業者に依頼しているのは、あくまで不動産売却の仲介手続きであり、必要な広告などについては、原則的に不動産業者が負担すべきものです。
しかし、もし媒介契約内において、不動産の広告費用については別途依頼者が負担するという内容の条項があれば、依頼者が負担しなければならない可能性もあります。
そこで、このようなトラブルを避けるためには、不動産媒介契約の内容をしっかり確認して、自分に不利な内容が定められているような業者との仲介契約は避けることが望ましいです。
仲介業者の注意義務違反によるトラブル不動産仲介業者との間のトラブルとしては、仲介業者の注意義務違反や説明義務違反によるトラブルがあります。
不動産仲介業者は、不動産取引の専門家として依頼者の利益を守るべく不動産仲介業を行っているものです。不動産仲介を行うためには宅地建物取引業者となる必要があり、宅地建物取扱業者は、不動産取引に関して専門的な知識や経験、調査能力を持っているものと期待されています。そこで、不動産の取引の場において、不動産仲介業者に対しては、とても高いレベルでの注意義務が求められます。
具体的には、不動産仲介業者が依頼者に対して、対象物件について問題がないか、法的制限がないかなどの調査を行った上で説明義務を負うとされています。
さらに、依頼者ではなく契約の相手方に対しても、一定の範囲で調査義務や説明義務があると考えられています。
もし不動産仲介業者がこのような調査義務や説明義務に違反した場合には、損害賠償責任を負うのです。
たとえば、不動産を購入した場合、対象となる不動産に雨漏りなどの欠陥があったり、建築基準法や都市計画法などの法令による制限があるのにそのことを仲介業者がきちんと調査、説明してくれなかった場合には、仲介業者に対して損害賠償を請求することができます。
対象となる不動産の所有関係について、売り主には権限がないのにそれを調べてくれなかった場合や、勝手に代理人と名乗っている人が売却手続きをしていた場合にそれを見逃した場合などにも不動産仲介業者に責任追及ができます。
近年では、不動産の購入後に隣地に高度の高い建物が建ってしまい、太陽の光が届かなくなってしまった場合などにも、事前に調査してくれなかった仲介業者に損害賠償請求するケースなどが増えています。
不動産売買に関するトラブルとしては、売買の相手方との間のトラブルも多いです。以下で具体的に見てみましょう。
物件に問題があるケース不動産の売買の相手方との間のトラブルとして多いのは、対象物件に問題があった場合です。不動産に問題がある場合、一見しただけではわからないことが多いです。たとえば立て付けが悪かったり雨漏りをするなどの欠陥があるケースもありますし、都市計画法上の規制などの法令による制限があるケースもあります。
このような売買の目的物に関する隠れた問題のことを、隠れた瑕疵と言います。
不動産売買契約をする場合、買い主側は通常隠れた瑕疵がないことを前提に代金を定めて支払をしているので、後日隠れた瑕疵が発見されるとトラブルになります。
このような場合には、買い主は売り主に対して瑕疵担保責任を追及することができます。
瑕疵担保責任とは、売買などの目的物に瑕疵がある場合に、売り主が買い主に対して解除や損害賠償の責任を負うことです。
不動産売買において、対象物件に隠れた瑕疵がある場合、買い主は売り主に対して、まずは瑕疵についての損害賠償請求をすることができます。もしその瑕疵が重大であり、瑕疵のために契約の目的が達成できない場合には、買い主は売買契約を解除することもできます。たとえば欠陥が酷すぎて住居に住むことができないようなケースです。
ただし、瑕疵担保責任については不動産売買契約で当時者同士が定めることができます。
そもそも売り主が瑕疵担保責任を負うのかどうか、負うとしたら、不動産を引き渡してからどのくらいの期間瑕疵担保責任を負うのかなどが定められています。
これについては、個別の契約によっても異なるので、不動産売買契約をする場合には、瑕疵担保責任の内容がどうなっているのかをしっかり確認しておく必要があります。
売り主が不動産会社(宅地建物取引業者)の場合には、2年以上の間瑕疵担保責任を負うことになっています。
さらに、不動産会社が新築住宅を売る場合、売却する建物の基礎や柱、屋根などの主要構造部分については、瑕疵担保責任の期間が10年以上になります。
不動産売買に関するトラブルとしては、解除と手付金に関するトラブルがあります。
不動産売買契約を締結すると、通常は代金の一部を先払いします。このお金のことを手付金と言います。
手付金を支払うと、その後の解除や解約が制限されます。
買い主側が解除する場合には、支払った手付金は返ってこないので放棄することになります。売り主側が解除する場合には、手付金を倍返ししなければなりません。
これは、いったん契約関係に入った以上、簡単に解除されると契約を信頼した当事者が不利益を受けるので、解除を制限することによって信頼を保護しているのです。
このように、手付金の授受が行われた後に解除すると、金銭的な負担が増えます。そこで、このことを正しく理解していないと、解除の際にトラブルになる事があります。
不動産売買では、いったん契約関係に入ったら気軽に解除出来なくなることを理解しておく必要があります。
不動産を購入する場合、高額になるので現金で一括払いができず、住宅ローンを利用することが多いです。
しかし、売買契約時には、まだ住宅ローンを利用できるかどうかわからないことがあります。
いったんは、売買契約を締結しても、その後住宅ローン審査に落ちたら結局は代金支払いができなくなってしまいます。
この場合、手付金を放棄して解除しなければならないとすると、非常に負担が大きくなりますし、不利益です。
そこで、不動産売買契約では、ローン特約をつけることが多いです。
ローン特約とは、もし住宅ローンが利用できなかった場合には、契約を無条件に解除できるという特約のことです。これがついていたら、住宅ローン審査に通らないことが原因の解除の場合には手付金を放棄する必要がなくなります。
反対に、ローン特約がないと、住宅ローン審査に落ちた場合に不動産も買えない上に手付金までとられてしまうので、大変な損失になり、トラブルになります。
そこで、不動産を購入する場合で住宅ローンを利用しようとしているなら、不動産売買契約にローン特約がついているかどうかをきちんと確かめておく必要があります。
不動産売買に関するトラブルを避けるためには、契約書をきちんと読んで理解しておくことが重要です。
不動産業者との媒介契約書、売買契約の相手方との不動産売買契約書などには、不動産取引に関する重要なことがたくさん書かれています。
たとえば、媒介契約書には仲介手数料に関する定めがありますし、不動産売買契約書には手付金や瑕疵担保責任、ローン特約などの記載があります。
実際にトラブルが起こってしまったら、まずはトラブルの相手方とよく話し合うことです。
話し合いではどうしても解決できない場合には、弁護士に相談して代理交渉してもらったり、場合によっては裁判手続きを利用して解決することも考えられます。
不動産は高額なので、トラブルが起こったときの損失も大きいです。今回の記事を参考にして、くれぐれの不動産売買取引で失敗しないように注意しましょう。
参考コンテンツ:
取引が不成立でも、不動産仲介業者に仲介手数料を支払わなくてはダメ?
住宅ローンの滞納について
住宅ローンが残った状態でアパートを借りれますか?
不動産賃貸に関するトラブル
不動産に関するトラブルとして代表的なものに、不動産賃貸に関するトラブルがあります。
人間、一生の間に1度や2度は、賃貸物件を借りて居住することがあるものです。自分が物件の所有者となって、他人に賃貸することもあるでしょう。
このように不動産の賃貸借契約をする場合には、いろいろなトラブルがつきまといます。
不動産賃貸に関するトラブルとしては、主に不動産仲介業者との間のトラブルと賃貸人(大家)とのトラブルがあります。
以下で、それぞれのケースについて見てみましょう。
不動産を借りる際には、通常は不動産仲介業者に仲介を依頼します。
仲介業者に依頼しない場合、自分で不動産を探さないといけなくなりますし、対象の物件がどのような物件か、問題がないかなども自分で調べないといけなくなるので、大変になります。
不動産仲介業者には、いろいろな業者がいます。大手で全国展開している会社もありますし、地元で営業している中小業者もあります。
また、法人化している仲介業者もいますし、個人営業の人もいます。
このようにたくさんある不動産仲介業者ですが、中にはモラルがきちんとしていない会社や事業者がいます。
そのような業者に賃貸の仲介を依頼すると、トラブルが起こりがちです。
具体的に、どのようなトラブルが起こるのか、ご紹介します。
仲介手数料には上限がある
不動産仲介業者との間のトラブルで多いのは、仲介手数料に関するトラブルです。不動産仲介業者に依頼して不動産賃貸契約を締結した場合、不動産仲介業者に対して仲介手数料を支払わなければなりません。
賃貸の場合の仲介手数料の金額は、不動産業者と依頼者との間で話し合って決めることができますが、法律上、上限が定められています。
具体的には、賃料の1ヶ月分が上限となります。
そこで、この金額を超える仲介手数料を請求することは、違法になります。
通常の不動産業者であれば、賃料の1ヶ月分以上の仲介手数料を請求してくることはありません。
しかし、不動産業者も、金儲けのためにいろいろな手段を使ってきます。
仲介手数料という項目ではお金をとらなくても、それ以外の方法でお金をとる手段を講じてくるので、そのことが原因で賃貸人や賃借人とトラブルになります。
駐車場の斡旋を受けた場合
不動産仲介業者が駐車場の斡旋をしてくるケースがあります。この場合、宅建業法の適用がないとして、仲介手数料の上限を超える1.5ヶ月分や2ヶ月分などの費用を請求することがあります。
このような場合、依頼者としては1ヶ月分という上限が適用されるのではないかと主張してトラブルになります。
実際、駐車場を借りる場合、その目的の土地の賃貸を仲介してもらったら、宅建業法の適用があるので仲介手数料の上限が1ヶ月分になります。
しかし、これに対して、車両1台分の月極駐車場の賃貸借を仲介した場合には、宅建業法が適用されないと考えられています。この場合、当事者同士で話し合って仲介手数料の金額を決めることになります。
よって、車1台分の駐車場のあっせんをしてもらった場合には、必ずしも上限が月額賃料1ヶ月分にならない可能性があるので注意が必要です。
契約更新料を請求される場合
不動産賃貸契約をしている場合、契約更新の必要があります。通常、賃貸借契約では、期間が1年や2年などと定められているので、その期間が到来したら、継続のために更新しないといけないからです。
このとき、不動産仲介業者から、更新事務手数料などという名目でお金を請求されることがあります。金額的には、当初の仲介手数料の金額と同様、賃料の1ヶ月分などと言われることが多いです。
依頼者としては、もともとそのような金額を支払うことを想定していなかったので、不動産業者との間でトラブルになります。
この場合の考え方ですが、賃貸借契約の更新業務に対しては、宅建業法の適用がありません。よって、更新事務に関して手数料が制限されることがないのです。
そこで、更新事務手数料については、不動産仲介業者と依頼者との間で話し合って決めなければなりません。
ただし、これは契約ごとなので、不動産仲介業者が一方的に決めることができるものではありません。もし、当初の不動産屋との契約内できちんと決まっていなかった場合には、再度更新事務の内容と手数料の金額について、話し合いをして決め直すことが必要になります。
仲介業者と大家(賃貸人)の間のトラブル
不動産仲介業者との間のトラブルは、大家と不動産業者との間でも起こります。
不動産仲介業者は、大家の依頼を受けて不動産の借り主を探して契約を媒介します。
このとき、仲介手数料の上限は貸し主側から受け取る分と借り主側から受け取る分の合計で賃料の1ヶ月分となっています。そして、支払をする当事者が了解していれば、一方から1ヶ月分をとっても良いことになっているため、現場の運用としては、借り主から賃料1ヶ月分の仲介手数料をとることが通例化しています。
ところが、不動産業者によっては、大家に対して仲介手数料の支払いを要求してくる業者がいます。この場合、大家としては自分が仲介手数料を支払うことを想定していないので、トラブルになります。
確かに、宅建業法と同法に基づく国交省の告示によると、不動産業者は借り主からでも貸し主からでも賃料1ヶ月分を上限として仲介手数料を受け取ってよいことになっています。
よって、もしもその不動産業者が借り主から仲介手数料を受け取っていないのであれば、貸し主から仲介手数料を受け取ることもできます。
もし借り主からも仲介手数料を受け取っておきながら、さらに貸し主にも仲介手数料を要求しているのであれば、それは宅建業法違反になります。
次に、不動産業者が大家に対して、広告料を請求してくるケースがあります。
不動産業者は、仲介手数料名目では賃料の1ヶ月分までしかお金をとれないので、それ以上のもうけを得るためにこのような費目でお金を請求してくるのです。
宅建業法の考え方に関する「宅建業法の解釈・運用の考え方」によると、不動産仲介業者は、貸し主が依頼したことによって発生した広告費用相当額以外に、別途案内料や申込料を請求することはできないと考えられています。広告料については、貸し主が特別に依頼したことによる広告料以外には、貸し主は支払う必要はないのです。
よって、事前に何の説明もなかったのに、いきなり不動産業者が「広告費用がかかった」と言ってきて、内容のよくわからない広告料を請求してきたようなケースでは、その費用を支払う必要はありません。
このように、不動産賃貸借においては、不動産仲介業者との間の仲介手数料に関するトラブルが非常に多いので、注意が必要です。
トラブルを避けるためには、良心的できちんと仕事をしてくれる良い不動産業者を探して仲介を依頼することが大切です。
大家と賃借人のトラブル不動産賃貸借に関するトラブルとしては、大家とのトラブルも多いです。
大家とのトラブルとして多いのが、敷金に関するものです。
敷金については、名前は聞いたことがあるけれども、はっきりと理解されていないことがあります。
敷金とは
敷金とは、賃貸借契約を締結する際に賃借人が賃貸人に対して差し入れるお金で、賃借人が賃料滞納などをした場合に備えて担保にするものです。
これは、一種の担保のお金なので、賃貸人に払いきってしまうものではなく、契約終了時には返還されることが予定されています。
敷金は保証金と呼ばれることもあります。保証金も契約当初にお金を差し入れて、契約終了時に返還されるタイプのお金です。
これに対して、不動産賃貸借契約当初に賃借人が賃貸人に支払うお金として、礼金もあります。礼金は、不動産を使わせてもらうお礼として支払うお金なので、賃借人が賃貸人に支払いきってしまうものです。
よって、賃貸借契約が終了した場合にも、礼金は返ってきません。
ここで、賃借人が敷金と礼金を混同していて礼金も返ってくると誤解していると、契約終了時にトラブルになることがあります。
よって、不動産賃貸借契約をする場合には、礼金は返ってこないことを前提として、敷金がいくらで礼金がいくらになっているのかについて、きちんとチェックしておく必要があります。
敷金はどのくらい返ってくるのか
敷金の返還額についてもトラブルが起こりがちです。
敷金は担保金なので、契約終了時に返ってくることが前提ですが、全額は返ってこないことが普通です。家賃を滞納していたら当然ここから差し引かれますが、家賃を滞納していなくても敷引きがあります。
敷引きの目的は、物件の原状回復のための費用に充てるためです。賃貸借契約をした場合、賃借人は目的物件を、原状に戻して返還する必要があります。
原状とは、契約締結当初の状態と言うことです。
ただし、この場合、本当に契約当初の新品の状態にしなければならないという意味ではありません。
ものには経年劣化がありますので、その自然な摩耗分については原状回復の内容に含まれません。
そこで、敷金は、経年劣化分以外の原状回復費用に充てるための費用だけを差し引いて、賃貸人が賃借人に返還しなければならないのです。
しかし、実際には「経年劣化」がどの部分で、「原状回復に必要な部分」がどのくらいなのかについて、一見して明らかにならないことが多いです。
不動産業者によっては、一律で大きな金額を敷引きとして差し引いてくることも多いですし、実際には原状回復分以上の敷引きがなされることもよくあります。
すると、敷金が返ってくると期待していた賃借人との間でトラブルが起こります。
賃貸人と賃借人のどちらがどのような負担をするかという問題は難しい問題ですが、基本的に普通に使っていて年数の経過によって劣化した部分については賃借人が負担する必要がありません。その限度を超えて、賃借人の使い方がまずかったために傷んでしまった部分については賃借人の負担になります。
敷金返還方法の具体例
以下では、具体的な敷金の返還方法について見てみましょう。
たとえば、エアコンが故障している場合、賃借人が普通に使っていても古くなって故障した場合には賃貸人の負担になりますが、きちんと手入れしていなかったので壊れた場合などには賃借人の負担になります。
壁の汚れについても、焼けなどの自然消耗が起こっている場合や冷蔵庫の後ろが汚れている場合などには賃貸人の負担になりますが、タバコのヤニで汚れが酷くなっていたり、賃借人がねじ穴や釘穴を空けたりしている場合には、賃借人の負担になって敷金から差し引かれます。
床やフローリングについて、家具などが置いてあるためにへこみができた程度であれば賃貸人が負担しますが、大きな傷ができている場合などには、賃借人が負担します。
ハウスクリーニング代についてもよく問題になります。これについては、原則的には貸し主の負担になると考えられていますが、借り主が負担するという内容の特約が有効になるとされています。
そこで、多くの場合には、特約によってハウスクリーニング代を賃借人の負担として敷金から差し引く内容にしていることが多いです。そのような場合には、ハウスクリーニング代が敷金から差し引かれて返還されます。
以上のように、敷金に関しては問題が多いので、賃貸借契約でトラブルを避けるためには、敷金について正しく理解しておくことが重要です。
不動産賃貸借の場面では、更新料という費用が問題になることがあります。更新料とは、契約更新のための費用であり、賃貸借契約の更新のたびにかかります。敷金とは異なり払いきってしまうお金なので、返ってくることがありません。
そもそも更新料については、賃貸人と賃借人が話し合って決めるものですので、当初契約内で約束していない限りは支払う必要がありません。
また、更新料特約を無効と判断した裁判例もあります。
更新料がかかると、契約後更新の度に費用がかかって負担が大きくなりますので、賃貸借契約を締結する場合には、更新料の定めがなく更新料支払いの必要がない物件を選ぶと良いでしょう。
不動産賃貸借契約の場面では、対象となる物件の補修が必要となるケースがあります。
たとえば、使っていたエアコンが故障したりお湯が出なくなったり、電気が切れてしまったり、雨漏りがするなどのケースがあります。
このような場合、誰が修理をしなければならないのかという問題が発生します。
賃貸借契約においては、賃貸人には修繕義務があります。よって、上記のようなケースでは、賃貸人が自分の費用で修繕をしなければなりません。
ところが、賃貸人がきちんと対応をしてくれない場合にトラブルになります。
その場合、賃借人が自分で補習することも認められ、かかった費用については賃貸人に対して支払い請求ができます。
ただ、賃借人ができるのは、物件の維持に必要な限度の行為です。それを超えて、物件の形状を変更するような行為はできません。たとえば、狭いからと言って賃借人が勝手に増築したり、2部屋の間の壁をぶち抜いて1つの部屋にしてしまうなどの工事をすることはできません。賃借人がこのようなことをすると、契約終了時は原状回復が必要になります。
不動産賃貸借に関するトラブルで多いのが、賃料の滞納に関するトラブルです。賃借人が賃料を滞納する問題です。
この場合、滞納が1ヶ月や2ヶ月ですぐに契約を解除出来るのかという問題があります。
賃貸借契約では、賃貸人と賃借人が密接な信頼関係にあるので、1ヶ月、2ヶ月程度の賃料滞納では解除が認められにくいです。ただ、滞納期間が半年以上にもなってくると、信頼関係が破壊されたと考えられて賃貸借契約の解除が認められます。そうなると、賃借人は家を出て行かなければなりません。
トラブルを避けるためには、家賃はきちんと支払うことが重要です。
不動産賃貸借では、解除の場面でも問題が起こりがちです。特に賃貸人から解除する際にトラブルになります。
賃貸借契約では、賃借人保護の必要性があるので、賃貸人からの解除については正当事由がないと認められません。
貸し主の都合で物件を使いたくなったからというような理由では、解除は認められません。
解除が認められるためには、物件が古くなって修補や立替の必要があり、賃貸人に利用の必要があり、賃借人に対する十分な立退料を支払ったなどの十分な補償をした場合など、正当事由が認められる場合にしか解除が認められないのです。
賃貸人から一方的に解除通知をされても、必ずしも従う必要はないので覚えておくと良いでしょう。
このように、不動産賃貸にはトラブルがつきものですので、ポイントを抑えてなるべくトラブルを避けるように行動しましょう。
参考コンテンツ:
立退きだと敷金は返してもらえない?
退去して1年経ちますが敷金の返却がありません
契約前に聞いていた条件と違うことが判明。契約解除したのに大家がお金を返してくれない場合
新築・リフォームに関するトラブル
不動産に関するトラブルとして、住居などの建物の新築やリフォームに関するものがあります。
新築・リフォームに関するトラブルとは、建物の新築工事やリフォーム工事を業者に請け負ってもらう場合に起こるトラブルのことです。
このとき、良い業者を選んできちんと工事をしてもらわないと、工事の進行中や物件の完成後などにさまざまなトラブルが起こってしまいます。
新築やリフォームを業者に依頼する場合の契約は、法律上は請負契約になります。
そこで、新築やリフォームを行う場合には、請負契約による規律を受けることになります。
以下で、トラブルと対処方法をケースごとに解説します。
住居などを業者に発注して新築・リフォームなどを行う場合、工事費用が大きな問題になります。工事費用は比較的高額になりがちなので、トラブルが起こると損失も大きくなります。
よくあるのが、工事業者からどんどん追加費用を請求されるパターンです。
請負契約では、きちんと請負契約書を作成しないことがあります。すると、工事の内容が特定されず、業者が追加で「このような工事をした。」「追加措置が必要になった」などと言ってきて、当初聞いていなかった費用をどんどん請求してくることがあります。
このような支払をしていると、当初の話よりも大幅に費用が上がってしまい、トラブルになります。
また、契約書を作成している場合でも、曖昧な内容で工事の内容が特定されていないと、同じ問題が起こってしまいます。
そこで、業者に新築やリフォーム工事を依頼する場合には、必ずきちんとした請負契約書を作成しておくことが重要です。このとき、工事の内容とそれにかかる費用について、詳しく明確に記載しておくことが後のトラブルを避けるために有効です。追加費用がかかる場合については、どのような場合にどれくらいかかるのか、その場合の費用の決め方などについても定めておきましょう。
小さなリフォーム工事の場合には、契約書を作らずに済まそうとすることも多いですが、この場合にも契約書を作っておかないとリスクが高まりますので、必ず作成しましょう。
支払条件に関するトラブル新築・リフォーム工事におけるトラブルは、工事代金の支払い条件に関しても発生します。
工事代金の支払方法は、注文者と受注者との間で自由に定めることができます。工事発注時に一括払いしてもかまいませんし、全額後払いにすることもできます。
しかし、通常は双方が不利益を被らないため、段階的に支払っていくことが多いです。
たとえば、契約時に10%、着工時に20%、上棟時に30%、引渡時に40%などと定めます。
このようにしておけば、途中解約をする場合などにも代金に関する手続きがスムーズに行われます。
ここで、契約当初に近い段階で多額の費用を支払う支払条件の契約にしてしまうと、後になってトラブルが発生することがあります。
たとえば、工事の途中で契約を解除した場合には、代金返還を求めることができるケースがありますが、相手方が返還に応じないこともあります。
すると、既に支払っている金額が大きければ大きいほど返ってこない金額が高くなってしまい、損をします。
このことが原因で、本当は契約解除をしたいのに解除ができなくなることもあります。
このように、契約当初やそれに近い時期に大きな金額を支払ってしまう条件にすると、発注者が後になって不利益を被るおそれが高いので注意が必要です。
新築やリフォーム工事を依頼する場合のトラブルとしては、工事を途中解約するケースがあります。
いったんはリフォーム工事を依頼したけれども、その後気が変わって工事を辞めたくなるケースもありますし、物件に問題があるので契約を解除したいケースもあります。
まず、できあがった工事の目的物に問題があって、それが利用に堪えないような状態であれば、契約を解除することができます。
また、注文者は、工事が完成するまでの間は、いつでも工事をキャンセル(解除)することができます。ただし、この場合、注文者は業者に対して、損害賠償をしなければなりません。損害賠償の内容は、業者がすでに準備していた材料などの費用や、工事完成によって業者が得るはずであった利益部分などの金額です。
いったん契約関係に入った以上は、自己都合で解除をするとそれなりの賠償が必要になります。
新築やリフォーム工事を依頼する場合には、慎重に検討して、後に簡単に気が変わって解除することなどのないように注意しましょう。
欠陥住宅だった場合のトラブル新築やリフォーム工事をしてもらう場合、できあがった物件が欠陥住宅であったり工事に施工ミスがあった場合のトラブルが起こりがちです。
きちんと当初に工事の内容について詰めておかなかったり、適当な業者に工事を発注してしまうと、このようなトラブルが発生する可能性が高まります。
せっかく注文した新築住宅が欠陥住宅だったと言うことになると、損失は非常に大きいです。
また、欠陥住宅や施工ミスがあった場合、一見してもすぐにはその欠陥や施工ミスがわからないことが多いです。しばらく住んでみて、はじめて問題点に気づくのです。
たとえば、家が傾いていたり、立て付けが悪かったり、雨漏りがするなどの問題があります。
このように欠陥住宅や施工ミスがあった場合には、業者に対して瑕疵修補請求ができます。瑕疵修補請求とは、物件の隠れた瑕疵(傷)について、修繕を請求する権利です。
業者は、これに応じて修理する必要があります。仮住まいのための賃貸住宅の費用が発生した場合などには、業者に対し、修繕とともに損害賠償請求をすることも可能です。
ただし、どのようなケースでも瑕疵修補請求が認められるわけではありません。瑕疵の程度が軽くて、修補のために過大な費用がかかるケースでは、瑕疵修補請求はできません。
瑕疵修補請求をする場合には、まだ支払っていない代金があれば、その代金支払いを拒絶することができます。代金支払と修補義務は、同時履行(引き替え給付)の関係になるからです。工事代金の支払を拒絶することによって、相手業者にプレッシャーをかけて、修補の対応を促すことができます。
欠陥住宅や施工ミスがあった場合、基本的には瑕疵修補請求によって対応できますが、瑕疵の程度が酷く、修繕をしても家に住める状態にならないケースでは、業者に対して損害賠償請求をすることによって対処します。
複数業者に見積もりをとる請負業者との費用に関するトラブルを避けるためには、契約する前に複数の業者に見積もりをとることが役立ちます。
工事にかかる代金の相場は、素人には非常にわかりにくいです。そもそもどのような場合にどのような工事が必要になるのかについても、専門的な知識のない人にはわからないことが普通です。
もし、1社でしか見積もりをとらないと、その業者が言ったことを信用するしかありません。不要な工事が含まれていたり、費用が相場よりもかなり高額であっても気づくことができずに契約してしまいます。このことによって、悪徳業者にひっかかる可能性も高くなってしまいます。
この点、複数の業者から見積もりをとって説明を受ければ、業者を比較することができます。どのような工事が必要なのか、そのためにどれだけの費用がかかるのかを聞いてみて、業者による対応を比較することによっても、対応の良い業者を選ぶことができます。
親切に説明をしてくれる良心的な業者に依頼すると、後日になって費用に関するトラブルが起こることを避けられます。
さらに、工事の工程表を提出してもらうことも大切です。工程表とは、着工時から完成までの間、どのくらいの時期にどのような工事をするのかについて記載してもらった予定表のことです。
これがあることによって、工事の進行中もきちんと工事がすすんでいるかどうかが明らかになって安心です。
もし工程表がないと、工事が順調に進んでいるのかどうかわかりませんし、業者が怠慢であったり工事を放棄していても、気づくことができない可能性があります。
以上のように、新築やリフォーム工事をする場合には、良い業者を選んできちんと契約書を作成しておくことが、トラブル防止のために重要です。覚えておくと良いでしょう。
不動産登記に関するトラブル
不動産に関するトラブルとして、不動産登記に関するトラブルがあります。
不動産登記とは、土地や建物などの不動産について、その形状や場所などの物理的状態や、所有者などの権利関係に関する情報を公示する制度です。
土地や建物には、それぞれ登記がなされています。登記簿(全部事項証明書)は、全国の法務局において取得することができます。
登記簿があると、どこにどのような土地や建物があるのかが一見してわかります。その不動産の地積や面積、場所などが特定できますし、建物の場合には構造までわかります。不動産の所有者もわかりますし、抵当権がついているのかどうかや、いくつついているのかまで明らかになります。
よって、登記簿を見ると、たとえば不動産を購入したい場合などに、その物件がどこのどのような物件であるかがわかり、抵当権の被担保債権額からだいたいの価格相場などの見当をつけることができます。また、所有者が明らかになるので、他人が勝手に売買することも難しくなります。
さらに、銀行等が融資する際や抵当権をつける際、すでに別の抵当権者がいるかどうかなどもわかるので安心して融資ができます。
このように、不動産登記は、不動産の状態を公示することによって、不動産取引が安全に行われるようにするための制度です。
不動産登記簿のことは知っているけれども、その記載内容をしっかり見たことはない、という人が多いでしょう。しかし、不動産登記に関するトラブルを理解するためには、不動産登記の内容を理解しておく必要があります。
そこで、以下では基本的な知識として、不動産登記簿の記載内容を確認しておきましょう。
不動産登記簿には、土地と建物の2種類があります。どちらも法務局で申請して取得できますが、表示内容は少し異なる部分があります。
どちらの場合も、登記簿は表題部と甲区、乙区、共同担保目録という4つの部分から構成されています。
この中で、表題部しかないものもあれば、表題部と甲区だけのもの、表題部と甲区、乙区だけのものもあります。
表題部には、対象物件の場所や面積、番号や種類などの物理的な状態が記載されます。
土地登記簿の表題部の記載
土地の表題部には、その土地の不動産番号、所在、地番、地目、地積、分筆や合筆、地目変更などの情報が記載されています。不動産番号によってその土地を特定することができます。所在を見ればその土地の場所がわかりますし、地番を見ればその土地の土地としての番号が特定されます。地目を見れば、その土地の種類がわかります。
地目としては、たとえば山林や田、宅地などがあります。
地積を見ると、その土地の面積がわかります。1つの土地が分かれることを分筆と言い、逆に複数の土地を1つにまとめることを合筆と言います。
地目変更とは、たとえば田を宅地に変更するなど、地目を変えることです。登記簿を見れば、このような分筆合筆や地目変更の経緯がわかります。
建物登記簿の表題部の記載
建物の表題部には、不動産番号、所在、家屋番号、建物の種類、構造、床面積、登記原因、表題部の所有者の記載があります。
不動産番号は、土地の場合と同様、その建物の番号です。建物の所在は、建物がある場所を示すものです。家屋番号は、その建物の建物としての番号です。建物の種類は、たとえば居宅や事務所など、その建物の種類を表します。建物の構造は、たとえば木造スレート葺き2階建てなど、構造についての記載です。
床面積では、建物の各階ごとの面積が記載されます。土地の場合には地積と表示されていた部分です。建物の場合、表題部の登記原因が記載されます。たとえば新築や増築などの記載があり、その原因が起こった日付が書かれます。
「表題部の所有者」の欄には、建物の表題登記をした際の建物所有者名が記載されます。建物の場合、表題登記をしても所有者の登記がまだであるケースがあるので、まずは表題部の所有者という形で登記をします。
その後、所有権設定登記をすると、登記簿の甲区に所有者の登記がなされますので、表題部の所有者の欄は抹消されます。
権利に関する表示は甲区と乙区に記載される
不動産登記簿には、甲区と乙区があります。
甲区と乙区は、不動産の権利関係を表す部分です。
まず、甲区には、不動産の所有関係が記載されます。登記されてから現在に至るまでの所有者が、順番に記載されています。所有権の移転原因や移転日も記載されているので、いつどのような原因で誰から誰へ所有権が移ってきたのかが一見してわかります。
乙区には、不動産の所有権以外の権利関係が記載されます。主に抵当権や根抵当権の設定登記がなされるのがこの部分です。
抵当権設定登記についても、過去から現在に至るまでの設定と抹消の登記がなされます。
また、現在有効な抵当権については、1番抵当権者から順番に順位をつけて登記されます。
このように、所有者や抵当権者についてはっきりわかりやすく掲載することによって、安心して不動産取引ができるようになります。
共同担保目録の記載内容
不動産登記簿には、共同担保目録という部分があるものがあります。
共同担保目録とは、1つの債権について複数の物件を担保に取っている場合、どの物件とどの物件が担保になっているのかを表す登記です。
不動産登記簿は、上記の4つの部分から成り立ちます。
不動産登記についてのトラブルの原因は登記内容が必ずしも真実でないことから起こることが多いです。
不動産登記の制度は、物件の形状や権利関係を公示して、取引の安全を守ることが目的です。しかし、現実的には、物件の状態が変更されても必ずしもすぐに登記されるとは限りませんし、所有者などの権利変更があっても、必ずしも登記されるとは限りません。
通常、不動産の権利移転などがあっても、登記しなかったからと言って罰則はないので、不動産の権利移転があっても登記をせずに長らく放置するケースもあります。
そうなると、登記を信頼して取引をした人が思わぬ不利益を受けて、トラブルになるケースがあります。
たとえば、不動産を売却したとしても、売却したことを登記していないために、前の所有者が現在も所有しているかのように見えるケースがあります。
また、抵当権を設定しても登記していなければ、傍目には抵当権がついている物件なのかどうかがわかりません。
さらに、本当であれば借金を完済して抵当権は消えているのに、抹消登記をしていなければ、今でも抵当権が残っているかのように見えるのです。
このように、不動産登記は、不動産の状態を正しく表示していれば取引の安全に役立ち、トラブル防止になりますが、実態とは違った表示をしている場合にはトラブルの原因になります。
不動産取引で、登記に関するトラブルとしてありがちなのが、二重譲渡のケースです。
二重譲渡とは、不動産の所有者が、ある人に不動産を売却したにもかかわらず、所有権移転登記をする前に、別の第三者にも不動産を売却してしまうのです。不動産が二重に譲渡されるので二重譲渡と言います。
この場合、不動産登記上の所有者は、もとの所有者になっています。そこで、当然買い主は2人とも、所有者に売却権限があると信じて不動産を購入します。
しかし、実際には不動産は最初の買い主に売れてしまっているので、後の買い主は無権利の人から不動産を購入したということになるはずです。
また、当然不動産は1つしかないので、買い主が2人いても、どちらか1人にしか所有権を移転することができません。
二重譲渡の場合、先に買った人と後で買った人のどちらが優先されるのかということでトラブルが起こります。
この場合には、先に不動産所有権移転登記を済ませた方が優先されます。民法177条において規定されています。
不動産取引の安全は、不動産登記制度によって図られているのだから、先に登記を済ませた方を保護しようという考え方です。
先に不動産を購入していたとしても、早めに登記を済ませていないと後から購入した人に優先されてしまうということです。
不動産を購入して所有権を得た場合には、すぐに所有権移転登記をすることが大切です。
放置していると、登記上の所有名義人が悪用して、二重譲渡や抵当権設定などをしてしまい、トラブルが起こる可能性があります。
不動産登記は、相続が起こった場合にもトラブルの原因になります。
相続が起こると、相続人がひとりならその相続人名義に書き換えれば良いだけですが、相続人が複数いると、誰が相続するかで争いになるケースがあります。
誰が所有するか決まった場合でも、そのまま相続登記をせずに放置してしまうことがあります。特に誰も所有を希望しないような物件の場合にも、相続登記がなされずに登記が放置されます。
この場合、不動産登記は既に死亡している被相続人の所有名義のままになります。すると、後日不動産を売却する際には、不動産の共有者(相続人)全員の同意と署名、印鑑などが必要になります。
この問題は、相続人が死亡して2代目の相続が起こったときにより大きな問題になります。
被相続人(祖父)が死亡して相続人(子)も死亡して孫が所有者となったケースです。
この場合、相続人(子)らがきちんと遺産分割をして登記をしていないと、不動産の登記名義はもとの所有者である被相続人(祖父)のままです。しかし、孫達のうちの誰かが固定資産税を支払わなければならないので、誰が負担するのかという問題が起こります。
負担を避けるために不要な不動産を売却するなどの処分をする際には、共有者である孫達全員の同意や署名や必要になります。しかし、孫達は、互いにつきあいがないことが多いですし、会ったことがなく、顔も知らないということも珍しくありません。そこで、不動産の処分のためには、まずは共有者である他の孫全員を探すところから始めないといけません。そして、全員に事情を説明して署名や押印を得ることが必要になります。
このようなことは非常に煩雑でトラブルの原因になります。
よって、相続が起こった場合には、遺産分割協議をして、誰が相続するか決まったらすぐにその内容に従って登記をしておくことが、後々のトラブル防止につながります。
このように、不動産登記にもトラブルがつきまといがちなので、今回の記事を参考にして賢くトラブルを避けましょう。
近隣トラブル
不動産に関するトラブルとして、近隣トラブルがあります。
近隣トラブルとは、近隣住民との間でトラブルが起こる事例です。
マンションの隣人や階上、階下の住人、一戸建ての場合の隣人などとの間で様々なトラブルが起こります。
近隣トラブルが起こると、その場所に非常に住みづらくなりますし、ストレスが溜まります。
ストレスが強くなりすぎて、相手宅に怒鳴り込んでいったり、ときには傷害や殺人事件にまで発展してしまうケースもあります。
このように、近隣トラブルが起こると大変深刻な問題が起こりますので、近隣トラブルについて正しく理解して、対処方法を押さえておくことが重要です。
近隣トラブルは、被害者になるケースだけではなく、自分が加害者になってしまうこともあるので、日頃の自分の行動も振り返りながら、より慎重に問題に取り組む必要があります。
近隣トラブルについての意識調査のアンケート結果があります。
日本法規情報による法律問題意識調査レポートの、「近隣トラブル意識調査」というアンケートです。
これによると、回答者の43%が「近隣トラブルに遭ったことがある」と回答しました。近隣トラブルに遭ったことがないと答えた人は57%です。この結果を見ると、半数近くの人が何らかの近隣トラブルに遭ったことがあるということになります。
現代社会生活では、近隣トラブルを完全に避けることは難しく、身近な問題になっていることがわかります。
近隣トラブルでどのような事例が多いのかを見てみましょう。
上記の近隣トラブル意識調査アンケートによると、トラブル内容としては、騒音トラブルが最も多く、31%となっています。
次いでペットトラブルが多く、15%となりました。違法駐車の13%、ゴミの不法投棄が10%、境界線の問題が9%、理由不明のクレームが8%、タバコの煙やポイ捨てが7%、車体に傷をつけられるが7%となっています。
このように、現代社会では、近隣による騒音トラブルに悩まされるおそれが非常に高いです。自分が騒音を出さないように注意することも重要です。
さらに、近年のペットブームによって、ペットトラブルも増加しています。ペットによる迷惑行為を受けた場合の対処方法を知っておく必要がありますし、やはり自分がペットを飼う場合のマナーや注意点も抑えておく必要があります。
近隣トラブルに遭うと、被害者になっても加害者になっても非常に不快な思いをします。正しい対処方法を把握して、トラブルをなるべく避けましょう。以下で、それぞれのトラブルの類型と対処方法をご紹介します。
騒音トラブル近隣トラブルの中でも、騒音トラブルは全体の31%もの割合を占めていました。このことから、騒音トラブルに悩む人がとても多いことがわかります。
自分もいつ巻き込まれるかわからない騒音トラブルについて、理解を深めておく必要があります。
早速見てみましょう。
騒音トラブルとは
騒音トラブルとは、近隣の住民が出す音によって起こるトラブルのことです。
騒音の種類は特に限定されず、ピアノやバイオリンなどの楽器の音であることもありますし、子どもが暴れたり走ったりする際の足音や、洗濯機、掃除機などの家電をかける音、ステレオの音、一軒家の場合には、車庫などのシャッター音が騒音になることもあります。
近所に幼稚園や小学校があって、そこから子どもの声などが響いてくることもあります。
騒音トラブルが起こると、毎日聞きたくもない音を延々聞かされることになるので、非常にストレスが溜まります。また、音はいったん気になり出すと、とめどなく気になってしまい、忘れることができません。
結局、ストレスが溜まりに溜まって、殺人に発展したケースすらあります。
有名なのが、ピアノの音に耐えられなくなって起こったピアノ殺人です。
ピアノの音は、特に鉄筋コンクリート造りのマンションの場合響きやすく伝わりやすいという特徴があります。
自分たちではさほどの騒音であるとは思っていなくても、他人にとっては耐えがたい苦痛になっていることもあるので、注意が必要です。
騒音トラブルの具体例
騒音トラブルの具体的な事例をご紹介します。
新築マンションを購入したAさんは、階下の住民から「うるさい!」と言われて天井をつつかれて、ドアに生卵を投げつけられました。
Aさんは身に覚えがなかったので不審に感じていましたが、実は騒音の原因が他の入居者の生活音であったことが後日になって判明しました。
このように、自分では実際には騒音を出していなくても、勘違いされて騒音トラブルに巻き込まれるケースがあります。
もう1つ事例をご紹介します。
マンションの階上の部屋に新しい住民が引っ越してきたけれども、その家の子どもが暴れたり走ったりする音や子どもの叫び声、子どもをしかる母親の声などの騒音に悩まされているBさんのケースです。
Bさんは、文句を言いに行きたい気持ちはありますが、自分もペットを飼っているので「あなたも同じようにうるさいではないか」と言われてしまうのではないかと考え、結局我慢するしかなく、1年以上も耐え続けてきました。
しかし、階上の音が気になって家に帰りたくなくなり、夜も眠りにくいなどのノイローゼのような症状がでてきたので、引っ越しをするしかなくなりました。
騒音トラブルの解決方法
騒音トラブルに悩まされている場合、我慢してしまうケースが多いですが、我慢を続けていると最終的に爆発して事件を起こしてしまったり、引っ越ししなければならなくなったり、ノイローゼなどの精神的な疾患にかかってしまうことがあります。
そのようなことになる前に、対処する必要があります。
騒音トラブルの解決のためには、賃貸住宅の場合には管理会社に相談をしてみましょう。管理会社や大家は、賃借人に対して住みよい環境を提供する義務がありますので、問題のある住民に注意してくれる可能性が高いです。
分譲マンションの場合には、マンション管理規約で騒音トラブルについての規定がないかを確認したり、理事会に問題を挙げて検討してもらったりすると良いでしょう。
これらの対応方法では改善しないケースもあります。その場合には、裁判所の調停手続きを利用して相手方と話し合いをしたり、弁護士に相談に行って対処を考えてもらいましょう。
相手の出す騒音が酷い場合には、不法行為が成立して損害賠償請求などができるケースもあります。
近年のペットブームの影響もあり、ペットトラブルも非常に件数が増加しています。そこで、以下では近隣トラブルでありがちなペットトラブルについて解説します。
ペットトラブルとは
ペットトラブルとは、広くペットが原因で発生する近隣トラブルのことです。
多いのが、犬の無駄吠えなどペットが出す音による被害です。一軒家などの場合には、ペットが隣家に行って糞尿をする被害も出ます。
ペットの体臭による悪臭が問題になることもあります。
そもそもペットが飼えない住居でペットを飼っていて問題なることもありますし、飼い犬が他人に噛みつく被害が出ることもあります。
逆に、自分が飼っているペットが傷つけられたり、殺されたりする被害も起こることがあります。
このように、ペットトラブルの内容はケースによってさまざまで、その被害の程度も重大なケースから軽微なケースがあります。
飼い主としてはかわいいと思っていても、他人から見ると単なる害獣としか見られないこともあるので、ペットを飼う際には、隣人との関係に充分配慮しながら飼育する必要があります。
ペットトラブルへの対処方法
ペットトラブルに巻き込まれた場合の対処方法をご説明します。
この場合、ケースにもよりますが、まずは被害者と加害者が話し合いをすべきです。
そして、加害者に問題点を伝えて、迷惑していることをわかってもらいます。
ペットを飼っている人は、自分のペットが人に迷惑をかけているという意識がないことがあるため、まずは被害が発生していることをわからせる必要があります。
そして、今後のペットの飼育方法などについて、両者で話し合って決めます。このとき、迷惑料や慰謝料などの支払いをしてもらう約束にしても良いでしょう。
話し合いが成立したら、その内容を示談書などの書面にまとめて記録化しておきましょう。
当事者同士で話し合いをすることが難しければ、裁判所の調停手続きを利用したり、弁護士に間に入ってもらい、代理交渉してもらうこともできます。
特に、飼い犬に噛まれた場合などには、損害賠償請求ができますので、このような法的な手続きをとるメリットが大きくなります。
ゴミの不法投棄問題近隣トラブルアンケートで、騒音トラブルとペットトラブルに次いで多かったのが、ゴミの不法投棄によるトラブルです。
ゴミの不法投棄とは、ゴミ捨て場以外の場所にゴミを捨てる行為が典型的ですが、収集日以外の日にゴミを出すことも不法投棄にあたります。
不法投棄されるゴミは、テレビや洗濯機など家電、家具や自転車、タイヤなどさまざまです。
ゴミの不法投棄は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」という法律によって禁止されています。不法投棄は犯罪であり、5年以下の懲役または1,000万円(法人には1億円まで加重ができる)以下の罰金刑に科せられる可能性があります。
不法投棄に悩んでいる場合には、警察や市町村に相談をしましょう。
そのとき、ゴミを発見した日時や発見場所、捨てていた人の特徴や乗っていた車のナンバー、不法投棄されたゴミの内容などの情報をわかる範囲で伝えると効果的に対処してもらえる可能性があります。
以上のように、近隣トラブルはさまざまなものがあります。被害者だけではなく、知らず知らずの間に自分が加害者になる可能性もあるので、自らの行動にもきちんと責任をもって適切な行動をとるように心がけましょう。
参考コンテンツ:
父が隣の犬に傷害を負わせました。
モンスター隣人のことを隠していた売主に損害賠償を請求できる?
隣に建物が建設中です。風通しが悪くなり、日も当たらなくなります。
自治会・町内会に関するトラブル
不動産や生活に関するトラブルとして、自治会や町内会に関するトラブルがあります。
自治会や町内会に関するトラブルとは、町内にある自治会や町内会の活動や参加・不参加などに関するトラブルです。金銭的な問題が絡むケースもあります。
自治会や町内会は、通常その地区の住民が全員加入していることが多く、いったんトラブルが起こるとその地域に非常に住みにくくなると言う問題があります。
そこで、自治会や町内会がある場合には、トラブルを起こさないようにする方が生活がしやすいです。
しかし、特に近年では、若い人と高齢者との間で自治会や町内会についての意識や考え方に違いが出てきており、調整が難しくなっています。このことによって、自治会や町内会との間でトラブルが起こるケースも散見されます。
そこで、自治会や町内会との間でなるべくトラブルを起こさないための対処方法を知っておく必要があります。
以下で、具体的に見てみましょう。
自治会や町内会とトラブルを起こさないためには、まずはこれらの会がどのようなもので、どのような性質を持つものであるのかを知っておく必要があります。
自治会や町内会には法的な根拠があるのかという疑問を持っている人もたくさんいるので、まずは自治会や町内会の法的な性質や存在の根拠などについて説明します。
自治会や町内会とは、日本において伝統的に、一定の区域内の住民が全員参加することによって運営してきた自主的な団体です。
自治会や町内会について、町内で結成しなければならないという法律はありません。
この点、自治会や町内会は、地方自治法などの要件を満たした場合、法人化することができ、法人化された自治会のことを、認可地縁団体と言います。ただ、認可地縁団体になったとしても、自治会が特に法律上保護されているということはありません。
つまり、自治会や町内会は、あくまで基本的には近隣の住民が自主的に寄り集まって組織している任意団体です。
法人格を取得していることも少ないので、その場合には単なる人の集まりということです。
このように、自治会や町内会の法的な性質は、単なる任意団体(法人格を取得していない場合)であり、その存在に法的な根拠があるわけではありません。
自治会や町内会は、日本中の全国の地域に存在しており、その場所によって、町会や区会と呼ばれたり、地域振興会、地域会、常会などと呼ばれている場合もあります。
自治会の活動内容も、特に法律で規定されているわけではありません。
よくあるのは、区域内の住民間で回覧板などを回して連絡をとりあい、集まった住民で何らかの活動をします。
たとえば、道路上のゴミを拾って地域の清掃活動をしたり、花壇に花を植えたりして美化活動することもありますし、交通安全運動をすることもあります。
交通安全週間などに、横断歩道の近くに立って通行人の誘導などを行っているケースです。
新聞紙や古着などの資源ゴミを回収してリサイクル運動をしている自治会も多いですし、体育館を借りて地域住民が集まって運動をしたり、スポーツを習ったりする体育活動をしているケースもあります。
このように、自治会や町内会の活動は、広く地域の振興と環境整備などを目的としているものであり、その目的は有益なものですし、上手につきあっている限りは特にトラブルになることもなく、恩恵に預かるケースも結構あります。
自治会役員の人選に関するトラブル問題が起こっていない場合には恩恵にもあずかることの多い自治会や町内会ですが、ふとしたきっかけで大きなトラブルになることがあります。
まず1つ目にありがちなのが、自治会役員の選任に関するトラブルです。
自治会や町内会は、上記のとおり任意団体ですので、特に法律によって自治会役員の選任方法が決められているわけではありません。選任に関しては、各自治体の自由な運営に任されています。
自治会の役員の種類も、特に法律では決まっていないので、各自治会が自由に定めています。通常は、まず会長がいて、副会長、助役、会計(収入役)、総務などがいることが多いです。書記官などという役職がある自治会もあります。
自治会役員の選任方法は、選挙などが行われるケースは少なく、多くの場合には地域住民の持ち回りになっています。
この場合、意欲的な人が自治会役員に選任されたり、人の世話をすることが嫌ではないケースなら良いのですが、役員業務などやりたくない人が選任されるとトラブルになります。
普段忙しく働いているのに自治会の仕事まで回されると、対応できない場合もありますし、身体が弱かったり人付き合いが苦手なので、自治会運営に関わりたくない人もいます。
ところが、自治会や町内会に所属している以上は、役員が回ってきた場合に断れないことが多いです。結局は我慢をして役員を受けるしかなくなり、非常にストレスが溜まります。
自治会・町内会に関するトラブルの事例として、自治会の活動に関するトラブルがあります。
自治会や町内会では、地域振興などの目的でさまざまな活動をしています。地域の美化活動を行うこともありますし、商店街のイベントを主催したり、スポーツイベントや音楽イベントを開催することもあります。
このような自治会の活動やイベントに参加するかしないかは、基本的に個人の自由です。そもそも自治会自体が単なる任意団体なのですから、個人に会の活動を強制できる根拠はありません。
しかし、それにもかかわらず、自治会活動への参加が事実上強制されるケースがあります。
地域の雰囲気からして自治会活動への参加を断ることができずに嫌々参加しているケースはたくさんありますし、勇気を出して断った場合に、近隣住民から激しい嫌がらせを受けてノイローゼ状態になってしまうケースなどもあります。
自治会との関係が悪くなると、結局はその地域で非常に住み心地が悪くなりますし、引っ越しなどを余儀なくされることもあり、重大なトラブルにつながってしまいます。
自治会・町内会の加入・脱退に関するトラブル自治会や町内会のトラブルとして多いのが、自治会や町内会への加入や脱退に関するトラブルです。
自治会・町内会は、任意団体なので、地域住民に参加を強制することはできないはずです。しかし、事実上加入を強制してくる自治会や町内会が非常に多いです。
たとえば引っ越しをしてきたら、すぐに自治会の案内が来て、当然のように自治会に参加することになるケースがあります。このとき、参加を断ると、その後その地域で暮らしていく際に不都合があるので、多くの人は言われるがままに自治会に加入します。
自治会や町内会では、脱退を認めない風潮もあります。
自治会に入っていると、自治会費の納付の必要があります。さほど高額ではないことが多いですが、自治会活動に関心がない人にとっては、支払うだけ無駄なお金だと感じることもあります。
また、自治会や町内会に加入していると、上記のように自治会役員の順番が回ってくることもありますし、自治会活動への参加もしないといけなくなります。
このようなことを避けるために、自治会をやめたいと考える人も多いです。
ところが、脱会を申し出ても自治会がこれを認めなかったり、嫌がらせが始まったりするケースがあります。
しかし、自治会への加入は強制ではありません。そもそも法的な根拠がとくにあるわけではない自治会には参加義務はありませんし、自治会側にも地域住民に加入を強制する権限はありません。
個人は、自治会に参加するかしないかを自由に選べます。
判例も、自治会へは強制参加義務は無いことを前提に、参加を強制した自治会に対して損害賠償請求の支払い命令を出したケースがあります。
このように、自治会に加入したくない場合や脱会したい場合、その自由があるので、自分の考えや信念に従って行動すると良いでしょう。
以上のように、自治会や町内会には特に法的な根拠はなく単なる任意団体に過ぎません。加入は強制ではありませんし、役員就任も義務ではありません。
ただ、自治会とトラブルが起こると実質的にその地域に住みづらくなるので、なるべくトラブルを起こさないよう賢く立ち回ることも大切です。
参考コンテンツ:
町内会には必ず加入しなければならない?
自治会から課される罰金
自治会を退会させて貰えない
以上のように、不動産や住環境に関するトラブル事例はたくさんあります。
土地の境界線の問題、不動産売買や不動産賃貸、住居の新築やリフォームの際の工事請負契約におけるトラブル、不動産登記に関するトラブル、近隣トラブルや自治会・町内会とのトラブルなどがあります。
自分がどれだけ注意していてもトラブルに巻き込まれることがありますし、自分では気づかない間に加害者になってしまうケースもあります。今回の記事を参考にして、住環境にまつわるトラブルについて正しく理解して、なるべくトラブルに遭わないよう賢く対処しましょう。もしトラブルに遭ってしまったら、できるだけ早めに解決することが大切です。
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