突然の立ち退き要求!期間の延長や立ち退き料増額の要求はできる?

User image 1 匿名ユーザーさん 2016年03月29日 02時12分

 実家の年老いた母が35年間住み続けた借家について、いきなり立ち退き要求されました。

 今年の8月7日に大家がどこかの不動産屋と一緒に家に来て「10月いっぱいで立ち退いてくれ。引越し代8万円と、5万円までの物件なら敷金、礼金、手数料を払いますよ」といってきました。

 敷地内には同じ建物が全部で8軒建っており、そこを全部つぶして新しくアパートを建てるそうです。しかし ある会社に丸ごと貸すので入居は出来ないとの事。

 現在の家賃は2万5千円。母も73歳になり、少ない年金生活。家賃5万円では、生活できないと言います。それでも、先方の決めた期日までには、出て行かないとならないのでしょうか?

 出て行かざるを得ないとしても、立退料の増額は認められないのでしょうか。


(40代:男性)

匿名弁護士

 突然の立ち退き要求で、期間の延長や立ち退き料増額が可能かどうかですが、前提として、大家さんがご相談者様のお母様に対し立ち退き要求をするためには、35年間にわたり住み続けた建物における賃貸借契約をいったん終わらせなくてはなりません。

 また、お母様が家賃の滞納といった債務不履行をされていない限り、この契約を終了するには、更新の拒絶(契約期間の定めがある場合)が認められ、解約の申し入れ(契約期間の定めがない場合)が認められなくてはなりません。



 今回のケースでは、借家契約に期間の定めがあるのか、ないのか定かではありませんので、以下では、場合を分けてご紹介します。

 ちなみに本件は、お母様が35年同じところに住み続けているようですので、建物の賃借契約が平成4年8月1日に施行された借地借家法より以前のケースとなり、旧借地法(借地借家法28条)に則ったうえでの、更新拒絶の通知や解約の申し入れの内容となります。



 まずは借地契約の期間の定めがあった場合についてです。

 このケースでは、期間満了までは大家さんが突然契約を終わらせることはできません。家主は期間満了前の1年前から6カ月前の期間に更新拒絶通知を出す必要があります。また、正当事由というものも備えなくてはならないのです。



 では、この場合の正当事由はどのように判断されるのでしょう。

 条文の直接の適用はないものの、借家法当時の判例を整理し、法文化したものが借地借家法28条であるといわれています。同条では、正当事由について4つの要素を基に判断するとされています。



(1) 建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情



 これはつまり、大家さんとお母様のどちらが、建物使用の必要性が高いかについて比較する基準です。多くの場合、正当事由の基本的な判断基準となります。



(2) 建物の賃貸借に関する従前の経過



 "従前の経過"とは、借地契約が成立した後から存続期間が満了するタイミングまでの期間に、当事者の間で起こった事情のことです。契約時や入居時にあった事情や、権利金・更新料があるかどうか、賃料の多寡、滞納などの状況を指します。



(3) 建物の利用状況及び建物の現況



 借家の利用状況や、構造の老朽化、防災上の危険性などを考慮した基準です。ただし、建物がある地域の状況については、当事者には直接関係がない事情と考えられるため、独立の判断要素にはなりません。



(4) 財産上の給付をする旨の申出



 立ち退き料を支払ったかどうか、といった点です。補完的な要素とはなりますが、額や多寡も正当事由の判断要素になり得ます。なお、立ち退き料は必須ではなく、さらに立ち退き料を支払ったからといって、正当事由が確実に認められる、ということでもありません。



 次に、期間の定めがない借家契約の場合についても見ていきましょう。なお、こちらは解約権が留保された期間の定めがある賃賃借についても含みます。



 この場合、大家さんが借家契約を終了するためには、賃貸借契約終了の6カ月前に解約の申し入れを行う必要があります。

 さらに、更新拒絶と同じく正当事由が必要です。8月の申し入れで、10月に立ち退きということですから、その要求は認められません。

 また、詳細について不明なため明言はできませんが、大家さんの事情である「新しいアパートの建設」とお母様の事情「73歳の高齢で、年金生活。さらに、35年住み続けていて、引越しが困難」を比較すると、立ち退き料の支払い等を考慮したとしても、正当事由は認められないでしょう。



 もしも10月でなく2月以降の立ち退きとなり、これが認められたとしても、立ち退き料が増額になる可能性は高いです。

 ただし、ご自身で大家さんと交渉をするのは大変ですので、立ち退き料交渉については専門の弁護士に任せるのがよいでしょう。

 費用的な心配もあるでしょうから、まずは日本司法支援センター(法テラス)に相談するのがお勧めです。

2016年03月29日 02時12分

投稿時の情報です。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。

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